睡眠障害はコロナ後遺症?症状はいつまで続く?対処法や治療について
こんにちは!
横浜内科・在宅クリニックの院長の朝岡です。
COVID19ウィルスによるコロナ感染症が蔓延している昨今ですが、2022年3月の時点で日本の人口の4%の人がコロナ感染歴があることがわかっています。
2023年現在ではオミクロン株の流行もあり、かなりの人数の方がコロナの感染歴があり、4人に1人はコロナ後遺症に悩まされています。
コロナ後遺症にも様々な症状がありますが、その中でも睡眠障害を認める人が10%もいることをご存じでしたか?
睡眠は体の健康を保つのに非常に大切であり、コロナ後遺症の中でもツライ症状のうちの1つになります。
今回はコロナ後遺症における、睡眠障害について詳しく説明していきますね!
睡眠障害とは
睡眠障害とは、睡眠に関するさまざまな問題を指します。
睡眠障害には、大きく分けて7つの種類があります。
具体的には、以下といいます。
①不眠症
②睡眠時無呼吸症候群
③中枢性過眠症(ナルコレプシー、特発性過眠症など)
④概日リズム睡眠異常
⑤睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害、夢中遊行)
⑥睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群)
⑦その他の睡眠障害
ただ、少しわかりづらいですよね。
それぞれの睡眠障害には、原因や症状、治療法が異なります。
ここでは、代表的な3つの睡眠障害について、もう少しわかりやすく説明してみます。
不眠症
不眠症とは、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚める、寝ている感じがしないなどの不眠の症状があり、それが日中の生活に影響を与える状態です。
日中の影響とは、疲れやだるさ、集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みやイライラ、眠気などです。
不眠症の原因は、ストレスや生活習慣、心身の病気などさまざまです。
不眠症の治療法は、薬物療法や認知行動療法などがあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることで、低酸素状態になり、睡眠の質が低下する状態です。
呼吸が止まる原因は、喉の筋肉が弛緩して気道を塞ぐ閉塞性型と、脳から呼吸の指令が出ない中枢性型があります。
睡眠時無呼吸症候群の症状は、いびきやむせるなどの睡眠中の異常と、昼間の眠気や頭痛などの日中の影響です。
睡眠時無呼吸症候群の治療法は、気道を開く装置や手術などがあります。
詳しくは[こちら]をご覧ください。
中枢性過眠症
中枢性過眠症とは、ナルコレプシーなどのことで、日中に強い眠気を感じることで生活に支障をきたす状態です。
ナルコレプシーでは、笑ったり驚いたりすると筋肉が弛緩する「強直発作」や、「入り込み」(夢と現実が混同する)、「睡眠麻痺」(目覚めた時に身体が動かせない)などの特徴的な現象も起こります。
中枢性過眠症の原因は、脳内の覚醒を司る物質であるオレキシンが減少することだと考えられています。
中枢性過眠症の治療法は、覚醒剤や抗うつ薬などがあります。
以上が3つの睡眠障害についての説明です。
もし自分に当てはまるものがあれば、専門医に相談してみることをおすすめします。
睡眠は健康や幸せに大きく関わるものですから、睡眠障害を放置せずに、適切な治療を受けることが大切です。
コロナ後遺症で睡眠障害になる原因
いまだに何故コロナ感染後に後遺症として睡眠障害が出現するのかは解明されていません。
コロナ感染によって全身に生じる炎症によって、サイトカインの異常が生じて、体内のバランスが崩れるとも考えられています。
また不眠症の原因としてのうつ病の併発もコロナ後遺症では多いこともあり、後遺症による精神障害が原因で起きているとも考えられています。
▶︎コロナ後遺症に多い筋肉痛や関節痛の特徴|治療や改善方法を解説
コロナ後遺症における睡眠障害の特徴
コロナ後遺症のことを『Long COVID』、『post COVID-19 condition』とも呼びます。
コロナ感染後から少なくとも2か月以上持続し、また他の疾患による症状として説明がつかなかったものを後遺症と定義しています。
その中でも岡山大学病院が発表した報告では睡眠障害の中では、
現在流行しているオミクロン株に感染した人達は27%程度の睡眠障害の訴えがあり、従来株、デルタ株に感染した人達は13%程度の睡眠障害の訴えがありました。
このことからオミクロン株による、現在のコロナ後遺症で困っている人は睡眠障害の方が多いということになります。
一方、従来の株では味覚障害、倦怠感、頭痛、ブレインフォグ(考えがまとまらない)などの後遺症がおおかったのですが、現在流行しているオミクロン株ではその割合は減っています。
睡眠障害の型としては『不眠症』がやはり多く、一般的な生活習慣の是正や睡眠導入剤を投与することで改善されるケースが多いです。
また睡眠障害以外にも他の後遺症症状が一緒に生じているケースがありますが、睡眠の質が上がることで、他の症状が改善されるケースも多々あります。
▶︎コロナ後遺症で頭痛が起こる理由|偏頭痛との見分け方や対処法について
その他考えられる睡眠障害の原因
ただし、コロナに関係なく、睡眠障害になる人はたくさんいます。
その原因は人それぞれです。
睡眠障害を医師が病気と診断するには、詳しい話を聞いたり、身体を調べたりする必要があります。
睡眠障害には『不眠症』以外にも『過眠症』や『概日リズム睡眠覚醒障害』などがあります。
『過眠症』は夜に十分寝ても昼間に眠くなってしまうもので、『概日リズム睡眠覚醒障害』は体内時計がずれて夜寝られなくなってしまうものです。
夜に寝すぎても疲れがとれないのは辛いですし、ストレスが多いと睡眠に影響します。
実はうつ病や不安障害などの精神的な問題がある人も多く、早めに医者に相談することが大切です。
また飲んでいる薬が睡眠障害の原因になっていることもあります。
薬をやめると睡眠が良くなることがありますが、勝手にやめるのは危険なので、専門家に相談しましょう。
コーヒーやタバコには覚醒作用があって、睡眠を邪魔します。
これらの嗜好品を控えることも大切です。
アルコールの飲酒について寝つきが良いと考えられている方がいますが、アルコール自体に脳神経を抑制する作用があり、脳の活動を一時的に低下させるため、睡眠に誘導されます。
しかし、眠りがどうしても浅くなってしまい途中で起きてしまったり、十分な睡眠がとれていないケースが散見されます。
アルコールを飲まないと眠れない方こそ、しっかりと睡眠障害の原因を診断し、治療を行う必要があります。
▶︎COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコが原因?症状や治療を解説
睡眠障害になりやすい人の特徴
睡眠障害にはいつくつもの原因があり、その原因によって、その人の特徴があります。
代表的な睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる病気で閉塞性と呼ばれるタイプでは以下などの物理的な要因によって生じる睡眠障害です。
✅肥満体型
✅顎が小さい
✅のどちんこ(口蓋垂)や扁桃がかなり大きい
また不眠症の多くはうつ病、不安障害の併発があり日頃ストレスを感じている方が睡眠障害になりやすいです。
▶︎高脂血症になりやすい原因とは?脂質異常症との違いや治療について
睡眠障害の治し方
まずは睡眠障害の原因と重症度を調べます。
軽度の不眠症なら『生活習慣の改善』で良くなることもあります。
毎日同じ時間に起きたり寝たりするようにして、睡眠リズムを整えましょう。
必要ならば、睡眠薬を使うこともあります。
睡眠障害の種類によって合う睡眠薬が違います。
もし他にうつ病や不安障害などの精神的な問題があれば、それも一緒に治療します。
睡眠薬は依存性が高いと思われがちですが、今は安全に使える睡眠薬もあります。
でも自分で勝手に決めずに、医者と相談しながら治療しましょう。
横浜内科・在宅クリニックでの対応方法
当院では『新型コロナウィルス後遺症外来』を毎日、休まずに行っています。
コロナ後遺症には睡眠障害以外にも様々な症状があり、それぞれに合わせて漢方薬や対症療法薬の処方を行い、それぞれに合わせた認知行動療法を行い、改善を目指します。
患者さん自身、もともとは病気なんて今までかかったことなかったけど、後遺症を機に今までの自分じゃないっといった喪失感でいっぱいの方がたくさんいらっしゃいます。
それぞれに合わせた治療を行いますので、お気軽に当院にいらしてくださいね。
まとめ
今回はコロナ後遺症における睡眠障害についてお話しさせて頂きました。
不眠症並びにうつ病や不安障害といった精神疾患も隠れていることが多くあります。
適した治療を行うためにしっかりと原因の追究を行うことが必要な病気になります。
いつでも困ったら横浜内科・在宅クリニックにご相談くださいね。
参考文献
厚生労働省 『新型コロナウィルス感染症のいまに関する11の知識』
厚生労働省 『新型コロナウィルス感染症診療の手引き:罹患後症状のマネジメント』
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年
西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者