子供の成長痛とは?痛がる原因や対処法を解説
こんにちは! 横浜内科在宅クリニック院長の朝岡です!
夜に子供が足の痛みを訴えていたけど、翌朝はなんともなかったようにしていることありませんか?
その痛み「成長痛」かもしれません。
今回は成長痛の原因や、成長痛になった時の対処法をお伝えしていきます!
子供の成長痛とは?
成長痛は、主に4〜14歳の子供に見られる一過性の痛みです。
主に夜間や運動後に、脚の筋肉や関節に痛みを感じる症状のことを指します。
成長に伴う生理的な変化によって起こると考えられており、多くの場合、深刻な病気ではありません。
痛みの強さも人それぞれで、眠れないほど痛かったり、違和感程度の痛みだったりと幅があるのが特徴です。
関連記事:内出血の症状について!打撲や腫れたときの対処法を解説
子供の成長痛が起こる原因
成長痛は、単なる「体の成長による痛み」ではありません。
専門家の研究によると、主な原因として「心のストレス」と「体の疲れ」が指摘されています。
特に3〜12歳の子供は、新しい環境や人間関係など、大きな変化を経験する時期です。
大人が仕事のストレスで頭痛になるように、子供の場合は足の痛みという形でストレスが表れることがあります。
また、発達途中の体は疲れやすいものです。
一日の活動で疲れた筋肉や関節が、夜になって痛みを感じるというケースも多いです。
子供の成長痛の症状
下記のような症状が2週間から1か月ほど継続している場合は成長痛の可能性があります。
- 夕方~夜(寝ている間)に痛みがあり、特に膝周辺に生じる
- 痛みを訴えた翌朝には何事もなかったように痛みが治まる
- 月1~2回、週1~2回など不定期に痛む
- レントゲンを撮っても、特に異常が見当たらない
- 親がさする、触ると痛みが消える
- 痛みは30分~1時間程度で治まるケースが多い
- 痛みの場所が特定できない(ここら辺が痛い、の様な訴えがある)
痛みが左右対称に現れることが多いものの、片側のみに発生することもあるという特徴があります。
気になる症状が続く場合は、小児科医に相談しましょう。
関連記事:子供のアザの原因は?注意すべきアザの種類や応急処置を解説
子供の成長痛の対処方法
マッサージやストレッチ
運動前後にストレッチを行うことで、ケガの予防に加え、成長痛を予防することが可能です。
痛みのある部分を優しく撫でることで、緊張した筋肉をほぐし、リラックスさせることができます。
特に親子で一緒にこれらのケアを行うことで、より良い効果が期待できます。
安静にする
成長痛が発生した際は、落ち着いて安静にすることが最も重要です。
痛みは永続的なものではなく、一時的な症状です。
十分な休息と質の高い睡眠を心がけることで、子供の身体は自然に回復します。
- 痛みを感じたら安静にする
- 十分な睡眠をとる
- 子供の体調に注意を払う
アイシング
痛みのある部位を氷のうや湿布で冷やすことで、症状を和らげることができます。
逆に、お風呂などで温めることで改善する場合もあります。
子供の様子を慎重に観察し、個々の症状に合わせて柔軟に対応することが大切です。
ただし、中には様子を見ずに病院へ受診したほうがいい症状もあるので、注意が必要です。
子供の成長痛と間違えやすい病気
以下の症状がある場合は、成長痛ではなく別の疾患の可能性が高いため、すぐに病院を受診してください。
- 8時間以上痛みが続く
- 毎回同じ場所が痛む
- 腫れている
- 発熱を伴う
- 朝になっても痛みが続いている、もしくはひどくなる
- 足を引きずっている
- 14歳以上になっても痛みがある
オスグッド病
オスグッド病は、太もも前面の筋肉と脛骨の接続部に発生する疾患です。
以下のような特徴があります。
- 触れると痛みが強くなる
- 膝のお皿の下あたりに腫れがある
- 日中も持続的な痛みがある
特に注意が必要な点は、スポーツを行う子供に多く発症することです。
ジャンプや屈伸運動の多いスポーツ(バスケットボール、サッカー、バレーボールなど)で発症リスクが高くなります。
成長痛との大きな違いは、症状の持続性と局所的な痛みです。
成長痛 | オスグッド病 | |
---|---|---|
痛みの特徴 | 夕方から夜にかけて、両足が痛む | 運動時に痛みが強くなる |
痛みの部位 | 場所が特定しにくい | 膝のお皿の下のみに限られる |
触った時の変化 | 触っても痛みは変わらない | 触ると痛みが強くなる 腫れることもある |
運動との関係 | 運動との関連は少ない | ジャンプや屈伸で症状が悪化する |
単純性股関節炎
3〜10歳の男児に多く見られる疾患で、関節液が股関節に溜まることで痛みが発生します。
風邪やケガがきっかけとなることが多く、成長痛とは明確に異なる特徴があります。
- 微熱がある
- 主に股関節に強い痛み
- 歩行が困難になるほどの痛み
成長痛との決定的な違いは、症状の深刻さと歩行への影響にあります。
歩けないほどの痛みが見られる場合は、迅速に病院を受診しましょう。
成長痛 | 単純性股関節炎 | |
---|---|---|
痛みの特徴 | 夕方から夜にかけて両足が痛む | 風邪やケガをきっかけに急に発症する |
痛みの程度 | 我慢できる程度の痛み | 歩行が難しいほどの痛み |
発熱 | 発熱はしない | 37~38℃の発熱 |
痛みの部位 | 両側が痛む 場所は特定しにくい | 片側の股関節や太もも全体 |
安静時の変化 | 朝には自然と改善している | 安静時も痛みが続く |
ぺルテス病
ペルテス病は大腿骨頭が変形する病気で、血流の悪化により骨が弱くなると考えられています。
成長痛との微妙な違いに注意が必要です。
以下の特徴的な初期症状が現れます。
- 軽度の痛み
- 足を引きずるような歩行
- 成長痛と類似した症状
成長痛との区別は難しいため、少しでも気になる症状がある場合は、すぐに病院に相談することが重要です。
成長痛 | ペルテス病 | |
---|---|---|
痛みの特徴 | 夜間に痛み、朝には改善する | 数週間から数カ月で、徐々に軽い痛みが進行する |
歩き方の変化 | 歩行に影響なし | 足を引きずるような歩き方 疲れやすくなる |
運動への影響 | 翌日には運動可能 | 股関節の可動域が徐々に制限 長距離歩行で痛みが悪化する |
大腿骨頭すべり症
大腿骨頭すべり症は、太ももの付け根の骨(大腿骨頭)が徐々にずれていく成長期特有の疾患です。
以下のような特徴的な症状があります。
- 片側の足に痛みが集中する
- 動くと痛みが増強する
- 足を外側に向けた状態で歩く
- 股関節の痛みなのに、膝や太もも全体が痛む
成長期の肥満傾向がある子供に多く発症するのが特徴です。
急激な体重増加と骨の成長のアンバランスが原因とされています。
特に注意が必要なのは、放置すると歩行困難になる可能性があることです。
片側の足の痛みが続く場合は、成長痛ではない可能性を考え、できるだけ早く医師の診察を受けることをおすすめします。
成長痛 | 大腿骨頭すべり症 | |
---|---|---|
痛みの部位 | 両側が痛む、痛む箇所が特定しにくい | 片側が痛む、股関節から膝、太もも全体が痛む |
運動との関係 | 運動との関係は少ない | 運動で痛みが悪化、徐々に可動域が制限される |
朝の状態 | 朝にはよくなる | 朝になっても改善しない |
歩き方の変化 | 歩行に影響はない | 足を外側に向けて歩く、股関節を回転させるような動きを避ける |
悪性骨腫瘍
悪性骨腫瘍は、骨にがんができる重大な疾患です。
非常に稀な病気ですが、初期症状が成長痛と似ているため、見逃さないように注意が必要です。
以下のような特徴的な症状があります。
- 持続的で進行性の強い痛み
- 夜間の激しい痛み(睡眠が妨げられるほど)
- 患部の腫れや熱感
- 鎮痛薬が効きにくい痛み
- 原因不明の発熱
- 急激な体重減少
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
特に注意が必要なのは、痛みが時間とともに急速に悪化することです。
成長痛と異なり、朝になっても痛みは改善せず、むしろ徐々に強くなっていきます。
特に夜間の激しい痛みや患部の腫れが見られる場合は、速やかに病院で診察を受けることが重要です。
成長痛 | 悪性骨腫瘍 | |
---|---|---|
痛みの進行 | 痛みは一定、徐々に改善する | 痛みが急激に強くなる、鎮痛剤が効きにくい |
腫れや変形 | 腫れや変形なし | 局所の腫れ、皮膚の色が変化 |
全身症状 | 痛み以外の症状はなし | 倦怠感、発熱、体重減少 |
運動との関係 | 運動との関係なし | 動かすと激しい痛み、睡眠が困難になるほどの痛み |
横浜内科・在宅クリニックでできる対応
当院では成長痛の診断と治療を行うことが可能です。
成長痛に特別な治療法はなく、さすったり、マッサージを行ったりしながら様子を見ることになります。
もしも重大な疾患の可能性がある場合は、大きな病院への紹介状も作成可能です。
痛みが強いようであれば湿布や鎮痛剤を処方します。
また、当院ではオンライン診療も行っています。
自宅に居ながら診察が可能で、ご希望の薬局で薬が受け取れます。
受診方法などがわからない場合は、お気軽にご相談ください。
まとめ
成長痛は子どもの成長過程でよく見られる症状で、身体的な成長とともに、心理的なストレスも大きく関係しています。
温かいマッサージやコミュニケーションで、お子さまの痛みとストレスを和らげてあげましょう。
ただし、以下の症状がある場合は要注意です。
- 片側だけの痛み
- 激しい痛みが続く
- 歩き方が変わる
- 腫れや熱感がある
「病院に行くほどでもないかな...」と迷われるかもしれませんが、心配な時は気軽に受診してください。
早期発見・早期治療が、お子さまの健やかな成長につながります。
参考文献
とどくすり|アトピー性皮膚炎を改善する方法。正しい予防と治療を知ろう
あい鍼灸院・接骨院|成長痛の原因と、緩和セルフストレッチのご紹介!
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者
投稿者プロフィール
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