咽頭結膜熱(プール熱)ってどんな病気?大人もかかる?流行性角結膜炎との違いも解説!

みなさん、こんにちは!
横浜内科・在宅クリニック院長の朝岡です!
暑い夏がやってきましたね💦
この時期は、子どもたちの間で流行する3大夏風邪、ヘルパンギーナ、 手足口病、 咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)への注意が必要です。
このうち今回は、咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)をピックアップしてみたいと思います。
咽頭結膜熱は、目やのどを赤く充血させしまう病気で、別名「プール熱」とも呼ばれます。
今回は、プール熱の原因や、大人にもうつるのか、流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)との違いなどを詳しく解説していきます!
咽頭結膜熱(別名:プール熱)の原因・感染経路

咽頭結膜熱(以下、プール熱)は、6月頃から増え始め、7~8月にピークを迎える感染症です。
まさに夏風邪、ですね。
参考として、横浜市内の咽頭結膜熱の患者さんの数を示した下のグラフもご覧いただければと思います。
プール熱は、主にアデノウイルスというウイルスに感染することで発症します。
アデノウイルスにはさまざまなタイプがあり、そのなかの特定の型がプール熱を引き起こします。
感染経路には、咳やくしゃみによる飛沫感染や、タオルの共有や手指を介した接触感染があります。
ところで、どうして「プール熱」と呼ばれるのかをご存じでしょうか?
夏になるとプールで遊ぶ機会が増えますよね。
そこで、プールの水やタオルなどを介する感染が多発したため、通称”プール熱”と呼ばれるようになったのです。
ただ、実際は、プール以外の経路でも感染することもある、要注意な感染症です。

※全数把握と定点把握
感染症には、すべての医療機関に報告義務がある全数把握対象疾患とよばれるものと、医療機関の中から選定し協力を得た定点医療機関からのみ報告されている感染症とがあり、これは定点把握対象疾患と呼ばれます。
参考:感染症情報/定点当たりとは
咽頭結膜熱(プール熱)の潜伏期間

プール熱には、潜伏期間があります。
潜伏期間とは、ウイルスに感染してから症状が現れるまでの期間のことをいいます。
プール熱の場合、潜伏期間は通常5〜7日程度とされています。
最初の数日はとくに感染力が強く、まだ本人に症状が出ていないこの潜伏期間でも、周囲への感染リスクがあります。
この潜伏期間中の感染リスクのために、保育園や幼稚園、小学校などでは、学級閉鎖を余儀なくされる場合があります。
咽頭結膜熱(プール熱)の症状

主な症状としては、頭痛、急な発熱、咽頭痛などがあります。
これらは、新型コロナウイルス感染症や、インフルエンザ感染症の症状と似ています。
そのほかにも、目の充血や痛み、目やになどの結膜炎症状が出ることもあります。
この目の症状は、一般的な風邪ウイルスでは生じない、プール熱に特徴的な症状です。
さらに、呼吸困難、腹痛、嘔吐、下痢といった症状が出ることもあります。
のどの痛みのために、食事や水分の摂取量が減ってしまいやすいため、脱水にも気をつけないといけません。
咽頭結膜熱(プール熱)と似た病気との違い

アデノウイルスとの関係
1でお伝えしたように、プール熱の原因はアデノウイルスへの感染です。
しかし、すべてのアデノウイルス感染が、プール熱の発症につながるわけではありません。
アデノウイルスにはたくさんの型があり、それぞれ異なる疾患を引き起こす可能性があるのです。
プール熱の場合、とくにアデノウイルス3型、4型、7型がメインになります。
流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)との違い
流行性角結膜炎の原因も、プール熱と同じくアデノウイルスです。
感染経路も、咳やくしゃみによる飛沫感染や、タオルの共有や手指を介した接触感染です。
これだけみると、プール熱とほぼ同じ病気のように思われます。
しかし、アデノウイルスの型が違うので、それに応じて症状も変わってきます。
流行性角結膜炎では、アデノウイルス8型、19型、37型が原因ウイルスになります。
潜伏期間は8~14日程度と、プール熱より長いのが特徴です。
症状は、目の赤み、かゆみ、涙目、白目の腫れなど、目の症状が中心です。
一方、プール熱の場合は、結膜炎症状に加え、咽頭痛や発熱などの症状もともないます。
咽頭結膜熱(プール熱)は大人もかかる?

基本的には、幼児から小学校の子どもに多く発症する病気ですが、大人でも感染する可能性は十分あります。
とくに、免疫力が低下している場合や、初感染の場合には、症状が重くなる可能性があります。
もしご家族のなかで感染者が出た場合は、感染予防を徹底しましょう!
▶︎高脂血症になりやすい原因とは?脂質異常症との違いや治療について
咽頭結膜熱(プール熱)により、出席・出勤停止になる基準

プール熱の原因であるアデノウイルスは、感染力がとても強いウイルスです。
そのため、症状が軽い場合でも、感染力があると判断される期間中は、出席や出勤を控えましょう。
小学生のお子さんの場合、基本的には、熱や咽頭痛、結膜炎の症状が消えてから2日経過するまでが出席停止となります(これは、学校保健安全法で決められています)。
大人に関しては、出勤を停止するような法律はありません。
しかし、感染力の強さを加味し、完治してから出社するよう心がけましょう。
咽頭結膜熱(プール熱)の治療について

プール熱に対しては、特別な治療方法はありません。
発熱に対する解熱剤や、咽頭痛に対する抗炎症剤、結膜炎症状に対する目薬など、対症療法となります。
治癒までの期間は、通常1〜2週間とされています。
しかし、お一人ひとりの症状や体調により治癒までの期間はさまざまです。
療養期間中は、水分をしっかりとることを心がけましょう。
横浜内科・在宅クリニックでの対応方法
当院では、ほかの感染症や病気の可能性がないかを含め、丁寧な診察を行います。
解熱鎮痛剤や抗炎症剤などの内服薬や、点眼薬などで治療します。
また、ご自宅での対応方法も具体的にご説明いたします。
お困りの際は、ぜひ当院にご来院ください。
横浜内科・在宅クリニック院長 朝岡が実際に経験した例!
デノウィルスの特徴として、発熱期間が長い、咽頭痛も強め、大量の目脂にびっくりするなど他のウィルスとは違った特徴を示します。
基本的にはアデノウィルスによる感染症は抗ウィルス薬があるわけではないので、解熱薬などの対症療法での対応となります。
症状が重いので他の感染症や川崎病との鑑別診断が困難です。
実際にアデノウィルスを疑われて近医で受診された方が、川崎病だったケースは何例も経験したことがあります。
まとめ
今回は、咽頭結膜熱(プール熱)についての話をいたしました。
いかがだったでしょうか?
プール熱は、毎年のように流行している家族内での感染も起こりうる病気です。
症状も個人差はありますが、小さなお子さまほど重症化リスクも高くなります。
プール熱の予防のためには、手指消毒の徹底や、感染者との接触をできるだけ避けるといった工夫が大切です。
症状でお困りの場合や、対応方法に悩まれる場合には、いつでも横浜内科・在宅クリニックをご利用ください!
予防や対策をしっかりとし、最高の夏を過ごしましょう!
参考文献
‣感染症の出席停止期間の基準(小学校・中学校用)|高梁医師会
‣咽頭結膜熱 PCF(Pharyngoconjunctival fever)|東京都感染症情報センター
‣咽頭結膜熱について|厚生労働省
‣グラフで見る報告定点あたり疾患別患者数推移|横浜市ホームページ
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者
投稿者プロフィール
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