動脈硬化で起きる症状とは|改善方法や治すことはできる?

横浜内科・在宅クリニックの院長の朝岡です!!

健康診断や病院に行くとよく目にする『動脈硬化』ってどんな状態か知っていますか?

人間の体には動脈と静脈の2本の血管があります。

心臓から送り出された血液を『動脈』、心臓に戻る血液を『静脈』と呼びます。

動脈硬化とは文字通り、この動脈が硬くなる病気のことを言います。

つまり血管の壁が厚くなり、その結果血流が妨げられる状態になるのです。

これはいわゆる『血液がドロドロ』とも表現されます。

この動脈硬化が起きる原因としてはもちろん年齢もありますが、一般的には、高血圧、高コレステロール血症、喫煙などの不健康な生活習慣により引き起こされます。

今回は、動脈硬化の症状や、放置した時のリスク、動脈硬化を改善する運動などについて詳しく解説していきます。

動脈硬化によって起きる症状

動脈は体のいろんなところにあります。

動脈が固くなると、その部分に血液が十分に届かなくなります。

すると、その部分の臓器や筋肉が正常に働かなくなります。

これが動脈硬化の症状です。

でも、最初はあまり気づかないことが多いです。

眠気や足のだるさ、筋肉痛が長引くこともあります。

これらが起きるようになってくると血液がドロドロになっている証拠です。

動脈硬化が進むと、もっとひどい症状が出てきます。

体の部分別にみていきましょう。

・歩いていると足が痛む
・じっとしていても足が痛む
・足が冷たくなる

初期の動脈硬化の自覚症状としては、不明な原因の眠気、足の疲れ、運動後の筋肉痛が長引くなどが実はあります。
これらは血液の循環が十分でなくなり、必要な酸素や栄養素が体全体に届かないことで起こると考えれらています。
特に足に関しては、動脈硬化が進行すると歩行中の痛み(跛行痛)や静止しているときの足の痛み、足の冷えなどの症状を認めます。

心臓

・胸が痛む
・息切れする

心臓に影響が出れば、胸痛や息切れが起きます。
これは心臓への血液供給が不十分になるためで、重篤な場合には心筋梗塞を引き起こす可能性があります。

・めまいや頭痛がする
・目が見えにくくなる
・話すことや考えることが難しくなる

脳に影響が出れば、めまい、頭痛、視覚障害、言語障害などの神経症状(脳卒中)が起こります。
これは脳への血液供給が不十分になるためで、重篤な場合には脳梗塞や脳出血を引き起こす可能性があります。

腎臓

・血圧が高くなる
・尿の量が少なくなる

腎臓に影響が出れば、高血圧や腎不全が起きる可能性があります。
これは腎臓への血液供給が不十分になることで引き起こされます。

陰部

・勃起しなくなる

動脈硬化は性別による差も見られます。
男性では、勃起不全として現れることがあります。
これは陰茎への血液供給が不十分になるためです。

動脈硬化を放置するリスク

動脈硬化を放っておくと、血液がドロドロになって、血管の中がどんどん詰まってしまいます。

最後には、血管がふさがってしまうこともあります。

これによって、心臓や脳などの大切な臓器に血液が届かなくなると、命が危なくなることがあります。

心臓や脳の血管がふさがれば、心臓や脳の一部が死んでしまいます。

これは心筋梗塞や脳梗塞と言い最悪の場合、命を落としたり、体が動かせなくなったりします。

腎臓の血管がふさがることがあれば、腎臓がうまく働かなくなります。

これは腎不全と言い、血液をきれいにする機械につながれて生活しなければならなくなります。

また、足に血液が十分に行かなくなると、足が痛くなったり、歩きづらくなったりする「末梢動脈疾患」という病気になります。

最悪の場合、足が腐ってしまい、足を切らなければいけなくなります。

これらの病気はすべて命に関わりますし、健康にも悪影響を与えます。

それらが起こる前に動脈硬化を防ぐことが、自分の命を守るためにはとても大切なのです。

▶︎心筋梗塞の危険な前兆と症状|後の生活や後遺症について

動脈硬化は治るのか

動脈硬化は一度進むと、元に戻すのは難しいです。

しかし、早めに気づいて対策をすれば、症状の進行を遅らせ、痛みや苦しみを少しでも減らしたりすることはできます。

対策として、ストレッチ・運動をすることや食べ物・飲み物を気を付けることがあります。

次の章で詳しく解説していきます。

▶︎尿管結石で石が出る前兆は?バナナやポカリスエットが効果的?

動脈硬化を改善するストレッチ・運動とは

定期的なストレッチや運動は、血液の流れを改善し、動脈硬化のリスクを軽減することができます。

例えば、軽いジョギングや、水泳などの有酸素運動は、血液の流れを良くします。

またこれらの運動は、血圧やコレステロールの数値も下がります。

有酸素運動だけでなく、ストレッチも効果的です。

ストレッチをすることで筋肉を柔らかくし、血液の流れを良くします。

▶︎高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?

動脈硬化を改善する食べ物・飲み物

動脈硬化を改善するためには、食生活の改善が非常に重要です。

特に、心臓に良い食べ物と飲み物を選ぶことで、血液の流れを改善し、動脈硬化の進行を遅らせることが可能になります。

具体的には、以下の食べ物・飲み物を摂取することをお勧めします。

  • 野菜・果物・穀物・低脂肪のタンパク質(魚・鶏肉・豆腐など)
    特にオメガ-3脂肪酸が豊富な魚(サーモン・マウロ・鯖など)は、心臓にとても良いとされています。
    また、たまねぎも、動脈硬化改善に役立ちます。
    たまねぎに含まれるケルセチンという成分が強力な抗酸化作用を持ち、動脈硬化を防ぎます。
  • お茶(特に緑茶)・コーヒー
    お茶・コーヒーに含まれる抗酸化物質は動脈硬化を引き起こす原因の【悪玉コレステロール(LDLコレステロール)】の生成を抑制します。
    ただし、コーヒーは、摂取量に注意が必要です。
  • アルコール
    アルコールを適度に摂取することは、心臓に良い影響を及ぼすとされています。
    特に赤ワインに含まれるレスベラトロールは動脈硬化の予防に役立ちます。
    ただし、適量を超えると逆効果になるため、適度な摂取が大切です。
  • ナッツ類・オリーブオイル・アボカド
    上記などの良質な脂質も動脈硬化の予防に役立ちます。

以上の食事や飲み物を意識的に摂取することで、動脈硬化の予防・改善が期待できます。

それだけでなく、適切な運動やストレス管理、十分な睡眠など、全体的な生活習慣の改善も大切です。

食事はあくまで一部であり、健康的な生活を送ることが動脈硬化を防ぐ最良の方法です。

▶︎脳卒中の原因、どんな人がなりやすいか、脳卒中の症状や前兆症状、予防対策をご紹介

動脈硬化の検査に行くべきタイミングや目安

自分ではわからないこともあるので、定期的に病院で動脈硬化の検査を受けることが大切です。

特に、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などのリスク要因がある場合は、毎年1回は健康診断を受けることをお勧めします。

病院では、血液や尿の検査だけでなく、血管の状態を見る検査も行えることもあります。

そのため、より詳細に動脈硬化について調べることができるため、病院での検査は非常に重要です。

動脈硬化の治療について

動脈硬化の治療は、まずは生活習慣を改善することから始めます。

これまでに解説してきたとおり、タバコをやめたり、野菜や魚などの健康的なものを食べたり、運動をしたりしましょう。

しかし、動脈硬化が進行している場合には、薬や手術が必要になることもあります。

医療介入としては、薬の処方が一般的に用いられます。

スタチンなどの薬は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の数値を下げ、動脈硬化を防ぐことが可能です。

抗血小板薬は、血栓の形成を制御し、血管が詰まるリスクを低減します。

手術は、血管が詰まってしまった場合に行われます。

詰まった部分を広げたり、別の血管とつなげたりする方法があります。

薬での治療を行っていても、さらに動脈硬化が進行し、著しく血液の流れが悪いといった場合には、カテーテル治療(バルーンやステントで血管を広げる)や、血管のバイパス手術(血流が良い血管同士をつなげる手術)が行われることもあります。

これらの治療によって、動脈硬化の進行を遅らせ、さらなる合併症を予防することが可能となります。

しかし、動脈硬化は『治る』わけではないもので、その影響を最小限に抑えることは可能です。

横浜内科・在宅クリニックでの対応方法

横浜内科・在宅クリニックでは、動脈硬化の早期発見と予防に取り組んでいます。

また、患者さん一人一人に合った治療を提供します。

具体的には、食生活の指導や適度な運動習慣の提案などを行っています。

リスクが高いと判断させる方は動脈硬化の判断方法として、超音波を用い、頸動脈における壁肥厚の検査を行います。

また原因となる高脂血症や糖尿病などの検査含め治療まで行います。

誰しもがなりえる病気ですので、気になったらいつでもご相談くださいね。

神奈川県で急な往診は横浜内科・在宅クリニックをご利用ください

急にお医者さんが必要になるということもあるかと思います。

そんなときも、私たち横浜内科・在宅クリニックは神奈川県内を中心に対応しております。

お年寄りや体が不自由な方など、お家でお医者さんが必要な方にも診療を行っています。

まとめ

動脈硬化はこれまでにも解説してきた通り、早期発見と適切なケアが大事です。

毎日の生活で健康に気をつけることで、そのリスクを減らすことができます。

食事や運動に注意して、定期的に健康診断を受けましょう!

もし何か気になることがあったら、お気軽に横浜内科・在宅クリニックにご相談ください。

参考文献

動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版

Fleg, J. L., Forman, D. E., Berra, K., Bittner, V., Blumenthal, J. A., Chen, M. A., ... & Piña, I. L. (2013). Secondary prevention of atherosclerotic cardiovascular disease in older adults: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation, 128(22), 2422-2446.

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者