腹痛と下痢が続くのはどんな病気?脱水症状に注意しよう

腹痛下痢

突然の腹痛と下痢が起きた経験が皆さんあるのではないでしょうか。

電車の中や会議中で動けない状況にある時、非常に困りますよね。

また、これらの症状が慢性的に続く場合、それは深刻な健康問題の兆候かもしれません。

今回は、腹痛と下痢を引き起こす可能性のある病気や疾患、またそれらの対処方法等を解説していきます。

腹痛と下痢を引き起こす病気・疾患

腹痛下痢

まず、腹痛と下痢を引き起こすメジャーな疾患について見てみましょう。

これらの疾患は、下痢を伴うことが一般的ですが、他にも考えられる原因もあります。

以下に、病気の一部を紹介します。

  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
  • 食中毒
  • 胃腸炎(ウイルス、バクテリア)
  • 接触性アレルギー性腸症候群(FPIES:Food Protein-Induced Enterocolitis Syndorome)
  • 腸閉塞
  • 排泄障害(便秘に対する過剰な下剤の使用)

これら以外にもさまざまな原因が考えられます。

下痢を伴う疾患は多岐にわたり、正確な診断が必要です。

関連記事:腹痛の原因は?疑うべき病気と和らげる方法

下痢のメカニズム

腹痛下痢

下痢は、通常、食べ物や飲み物が消化管を通過する過程で水分や電解質が正常に吸収されないことによって引き起こされます。

正常な消化と吸収の過程で、食物が胃から小腸、大腸に移動し、必要な栄養素や水分が体内に吸収されます。

しかし、下痢の場合、このプロセスに異常が生じます。

過剰な水分の分泌

腸の壁(腸管)には、水分を排泄するための機構が存在します。

一部の状況では、腸の細胞が過剰な水分を腸内に分泌し、腸内の水分量が増加します。

これにより、便が緩くなり、下痢の原因となります。

吸収の障害

正常な場合、腸内の細胞は栄養素や水分を吸収し、血液に送り込みます。

しかし、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)や感染症のような状態では、腸の内壁が損傷し、吸収が阻害されます。

その結果、水分や電解質が便に残り、下痢が発生します。

過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)

過敏性腸症候群は、下痢と便秘を繰り返す病気で、腸の運動や感受性に異常がある症状です。

腸が過度に収縮することがあり、便が急速に腸を通過するため、十分な水分が吸収されません。

これが下痢の一因となります。

また腸が動かないことで過度に水分が吸収されることがあります。

これが便秘(兎状のコロコロした便)の一因となります。

食中毒

食中毒により、腸内に有害な細菌や毒素が侵入し、腸の炎症を引き起こすことがあります。

この炎症が水分の過剰分泌を促し、下痢を引き起こします。

ユッケなどの生肉に混入していたO-157大腸菌や牡蠣などに混在するノロウィルスなどが有名です。

腸の運動の亢進

一部の状態では、腸の運動が亢進し、便が急速に腸を通過します。

これにより、十分な水分が吸収されず、下痢が生じます。

要するに、下痢は腸の運動、水分の分泌、吸収の障害など、さまざまな要因が組み合わさって引き起こされる症状です。

下痢が続く場合や慢性的な場合、医師の診察が不可欠です。

医師は原因を特定し、適切な治療を提供するために必要な検査を行います。

関連記事:下痢を出し切る方法はある?原因や種類、対処法について解説

下痢の治し方や対処法

腹痛下痢

下痢の症状を和らげるために、以下の4つの具体的な対処法を紹介します。

ただし、下痢止めの使用については注意が必要です。

また、下痢が続く場合に何も食べずに水分を摂らない人々に関する実話も紹介します。

安静にする

下痢のときは、休息が大切です。
体を休め充分な睡眠を取りましょう。

消化のよいものを摂る

消化の良い食事を摂ることで、胃腸の負担を軽減できます。
白米、蒸した野菜、鶏むね肉などを試してみてください。

下痢止めを服用する(ただし注意が必要)

下痢が続く場合、下痢止めが有効なことがあります。
しかし、胃腸炎などのウィルスなどが原因の場合は体内でウィルスが増殖してしまう可能性があるため、下痢止めを控えた方が良いこともあります。
下痢止めに関しては使用を慎重に、また医師のアドバイスを受けましょう。

関連記事:過敏性腸症候群かもしれないチェック項目や症状、治し方について解説

下痢で水分を摂らずにいると脱水症状の危険が!

腹痛下痢

下痢によって体内の水分が失われることはよく知られていますが、驚くことに一部の人々は結局水分を摂らずにいることがあります。

脱水症状についての実話を紹介いたします。

20代の女性の方で、3日前から胃腸炎にかかり、嘔吐を繰り返しており、その後下痢もするようになりました。

何を食べても吐いてしまうため、食事はとらないようにしており、下痢がでるようになってからは、水分をとっても下痢になってしまうため、控えるようにしていたそうです。

どうしても動けなくなってしまったので、当院に往診のご相談がありました。

往診に駆け付けると、脱水の状態がひどく、しばらく点滴を行い体調が改善されました。

この事例では、水分摂取が下痢の要因になっていると考えてしまい、水分を摂取しなかったことで、脱水を助長してしまいました。

例え、吐いたとしても、下痢が増えたとしても、水分摂取を行うことで、多少は腸から吸収されているので、こまめな水分摂取は必ず必要です。

関連記事:腹痛と頭痛が同時に起こる病気は?自律神経失調症の恐れあり

急な腹痛や下痢の検査・治療なら横浜内科・在宅クリニックへ

急な腹痛や下痢の症状が続く場合、横浜内科・在宅クリニックは超音波検査を行い、腸の動きに異常がないか確認します。

軽度の場合は対処療法として胃薬や整腸剤の処方をさせていただきますが、急を要する場合は紹介状を作成し、救急病院へご案内いたします。

ご不安な方はいつでも当院に来院して頂ければ、ご対応させていただきますので、お気軽にご相談くださいね。

横浜市で急な往診は横浜内科・在宅クリニックをご利用ください

横浜市にある、横浜内科・在宅クリニックでは夜間・休日の救急往診も行っており、当院の診察時間外では往診としてご自宅などに診察に伺うことが可能です。

往診では血液検査や画像検査は行うことはできませんが、医師による診察に加え、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の抗原検査などの簡易検査から腹部の超音波検査も行うことができます。

また、救急車を呼ぶべきかどうか困った場合の電話相談なども受け付けております。

夜間や休日の急な体調不良でお困りの際は横浜内科・在宅クリニックにご相談ください。

まとめ

腹痛と下痢は、健康問題のサインであるため、軽視せずに適切な対処をすることが大切です。

自己診断や自己治療は避け、医師のアドバイスを受けることで、症状を管理し健康を守る手助けになります。

早期の対処が、より健康的な未来への第一歩です。

参考文献

一般社団法人日本感染症学会、公益社団法人日本化学療法学会|感染症ガイドライン2015年

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者