下痢を出し切る方法はある?原因や種類、対処法について解説

下痢出し切る方法

「なかなか下痢が収まらない」

「下痢になったらどうしたらいいのか」

など、下痢についてお悩みの方はいらっしゃいませんか?

下痢の正しい治し方を理解するためには、下痢の種類や原因を知っておく必要があります。

今回は、下痢の種類や、下痢になる原因、出し切る方法などについて詳しく解説していきます。

下痢の種類

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下痢には、急性下痢と慢性下痢があります。

それぞれ、解説していきます。

急性下痢

下痢の持続期間が2週間以内の場合、急性下痢であることが多く、主な原因はウイルスや細菌などによる感染症です。

ウイルスによる急性下痢は水様便や嘔吐などの症状が伴い、血便がなく、腹痛が軽度であることが特徴です。

対照的に、細菌による急性下痢では、血便や強い腹痛、発熱が見られます。

慢性下痢

慢性下痢は、大腸の病気や炎症、特にがんの可能性があります。

また、過敏性腸症候群と呼ばれる疾患の影響も考えられます。

病気によって症状が異なり、血便や腹痛、お腹の張り感、そして便秘と下痢が繰り返されるなど、症状は様々です。

関連記事:腹痛と頭痛が同時に起こる病気は?自律神経失調症の恐れあり

下痢になる原因

急性下痢と慢性下痢は、発症する原因が異なります。

急性下痢の原因

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急性下痢の原因は、以下が考えられます。

  • ウイルス
  • 細菌
  • 薬剤
  • 飲食物

それぞれについて解説します。

ウイルス

腸に以下のウイルスなどが感染すると炎症が起こり、下痢になります。

  • ノロウイルス
  • ロタウイルス
  • アデノウイルス
  • その他ウィルス

嘔吐したものや、便で汚染された手でドアノブを触ると、それを介して感染が広がりやすくなります。

そのため、家庭や共有スペースでは特に注意が必要です。

ノロウイルスはアルコールでは死滅しないため、次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒することが重要になります。

細菌

以下は下痢を引き起こす細菌と潜伏期間です。

  • 病原性大腸菌(12~36時間)
  • サルモネラ(12~24時間)
  • 腸管出血性大腸菌(3~5日)
  • 腸炎ビブリオ(8~12時間)
  • カンピロバクター(1~7日)
  • 病原毒素原性大腸菌(12~72時間)

感染源となる食品は、生野菜や十分に加熱されていない肉や魚などです。また、ペットから感染する場合もあり、注意が必要です。

主な症状は、発熱や激しい腹痛、時には粘液便や血便があります。一方で、強い便意があるにも関わらず、排便量が少ないこともあります。

飲食物

アルコールや牛乳などの乳製品、キシリトールなどの人工甘味料は、下痢になる場合があります。

また、それ以外にも、暴飲暴食により食べ過ぎたものが腸で消化されず、下痢になる場合もあります。

薬剤

薬剤によって下痢になる場合もあります。

具体的には以下のような薬剤です。

  • 緩下剤
  • 抗菌薬
  • 消炎鎮痛剤
  • 抗がん剤
  • 漢方薬
  • 降圧薬
  • 胃酸分泌抑制薬

薬剤が原因の場合は、服用を中止すると数日から1週間程で症状が治まります。

慢性下痢の原因

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慢性下痢の場合は、以下の疾患が考えられます。

  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • 炎症性の腸疾患
  • 過敏性腸症候群

それぞれ解説していきます。

大腸がん

以下の症状を伴うと、大腸がんの可能性があります。

  • 便に血が混じる
  • 下痢と便秘を交互に繰り返す
  • 便が細い
  • 残便感がある
  • 体重減少がある

初期の大腸がんの場合、自覚症状はあまり見られません。

大腸がんが進行すると、便通異常が生じ、下痢と便秘が交互に現れ、便が細くなることがあります。

大腸ポリープ

大腸ポリープが大きくなると、下痢の症状が現れることがあります。

また、ポリープを放置するとがん化する可能性があるため、切除することで大腸がんの予防につながります。

炎症性の腸疾患

炎症性の腸疾患においても、下痢が生じることがあります。

潰瘍性大腸炎やクローン病などは、下痢の症状が現れやすい時期と、比較的症状が穏やかな時期を繰り返すことが特徴です。

下痢が慢性化していると、大腸がんや炎症性の疾患など深刻な病気の可能性も考えられるため、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、下痢や腹痛、膨満感などの症状が見られるにもかかわらず、大腸カメラ検査などで炎症やがんなどの異常が確認されない状態をいいます。

ストレスなどが影響すると考えられ、急に下痢の症状が現れ、頻繁にトイレに駆け込むことがあります。

これにより、仕事や学業に支障をきたし、日常生活で排便に関する悩みを抱えるという特徴があります。

下痢を出し切る方法はある?

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結論から言いますと、下痢を出し切る方法はありません。

下痢の原因で一番多いのは、感染性腸炎です。

多くの場合、数日で自然に下痢は治まるので、水分摂取や消化の良い食事をすること、安静にすることを心掛けます。

下痢は、有害物質を体外に排出する自然な防御反応であるため、下痢止めは基本的に使用しません。

整腸剤などの薬を補助的に使用しながら、自然な回復を待ちます。

もし慢性的な下痢が持続する場合、背後には深刻な病気が潜んでいる可能性があります。

そのため、大腸カメラ検査や便培養検査などを行い、詳細に調査していくことになります。

関連記事:盲腸かもしれない初期症状とは?痛みの特徴や位置などについて解説

下痢が長引く時に考えられる病気

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下痢が長引く場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。

過敏性腸症候群や感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープなどが考えられます。

以下で詳しく解説します。

過敏性腸症候群

腹痛や腹部不快感などが3ヶ月以上持続する疾患です。

過敏性腸症候群には以下の種類があります。

  • 下痢型
  • 便秘型
  • 下痢と便秘が交互に繰り返される型

激しい腹痛や下痢、便秘、膨満感などの症状が発生し、これらの症状に器質的な問題がないという特性が見受けられます。

感染性腸炎

ノロウイルスやサルモネラ菌、O-157などに感染すると、激しい水下痢を引き起こします。

水下痢だけでなく、腹痛や吐き気、嘔吐、発熱、血便などの症状も見られます。

下痢だからといって、市販の下痢止めを安易に使用すると、原因となる細菌やウイルスの排出ができなくなり、状態が悪化する恐れがあります。

そのため、下痢止めの使用は避けましょう。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に、慢性的な炎症が起こる病気です。

未だ、はっきりとした原因は解明されていませんが、遺伝子の異常などが関与している可能性があります。

症状は、下痢や血便、腹痛、動悸、息切れ、めまい、体重減少などがあります。

また、これらの症状が一時的に改善されたとしても、何度も再発する傾向があります。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、良性腫瘍ですが、長期間放置すると、がん化する可能性があります。

主な原因は、食生活の欧米化※などです。

多くの場合、発症しても自覚症状がほとんどありません。

なお、できた部位によっては、下痢や血便などの症状が発生することがあります。

※食生活の欧米化:西洋文化や食文化の影響を受けて、かつての日本やアジアの食文化から離れ、主に洋食やファーストフードなどを摂取する傾向のこと

下痢になったときの対処法

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水分補給

下痢の際は、体内の水分やナトリウム、カリウムなどの電解質が減少しているため、これらを補給することが重要です。

例えば、スポーツドリンクを飲むことで、水分や電解質の不足を補うことができます。

ただし、スポーツドリンクはそのまま飲まず、少し水で薄め、塩を溶かした上で飲みましょう。

また、経口補水液もお勧めです。

栄養を摂取する

下痢で脱水症状を引き起こし、体内の栄養素が失われる場合もあるため、栄養を摂取することが大切になります。

ただし、大腸の機能が低下している状態なので、以下などの消化の良いものを食べましょう。

  • おかゆ
  • うどん
  • 味噌汁
  • すり下ろしたりんご

調理する際は、食材をできるだけ細かく切り、蒸したり、煮たり、ゆでたりして柔らかくしてから食べると良いです。

逆に肉や魚、海藻類、ラーメン、玄米、生野菜、ケーキ、お菓子、パンなどの食材は、消化吸収が悪いため、避けましょう。

また、コーヒーや炭酸飲料、お酒などは大腸を刺激するので、控えてください。

市販薬の服用

市販薬の服用で症状を抑えることもできます。

しかし、無理に下痢を止めると体内に細菌やウイルスが留まり、かえって体に害を及ぼす可能性があります。

そのため、市販薬を服用する際は、医師や薬剤師に服用できるかどうか確認してからにしましょう。

関連記事:ウイルス性胃腸炎の症状で下痢のみが起きる理由|何日で治る?

下痢の治療方法

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下痢の治療方法には、原因や症状によって異なることがありますが、一般的には以下のような方法があります。

水分補給

下痢で水分が失われるため、充分な水分補給が必要です。

特に小さな子供や高齢者は脱水症状になりやすいので、こまめに水や経口補水液を摂るようにしましょう。

適切な食事

胃腸に優しい食事を心掛けましょう。

おかゆ、トースト、うどん、りんご、プリン、ヨーグルトなど、消化の良いものを食べるようにしてください。

辛いものや脂っこいもの、刺激物は避けましょう。

安静にする

下痢の症状が出ている間は、できるだけ安静に過ごすことが重要です。

体力を消耗しないようにし、充分な休息をとるようにしましょう。

薬物療法

症状が軽度であれば、薬物療法は必要ありませんが、痛みや発熱がある場合には医師に相談して適切な薬物治療を受けることがあります。

抗生物質は通常、細菌性の感染にのみ有効であるため、ウイルス性の下痢には効果がありません。

しっかりと医師や薬剤師と相談することが大切です。

下痢の原因を特定することが治療の鍵となります。

長引く場合や他の症状がある場合は、医師に相談して検査を受けることが重要です。

発熱などの症状は横浜内科・在宅クリニックへ

発熱などの症状がある場合は、横浜内科・在宅クリニックにご相談ください。

下痢の場合でも、発熱を伴うことがあります。

当院では、発熱のある患者様に対して、発熱外来を行っております。

一般の外来とは入口や診察室が異なり、院内感染のリスクを限りなく0に近づけています。

安心してご来院ください。

神奈川県で急な往診は横浜内科・在宅クリニックをご利用ください

夜間・休日に、急な往診が必要になった場合、横浜内科・在宅クリニックでは「家来るドクター」として患者様のご自宅にお伺いし、診察や検査、薬の処方までを行います。

医療相談もできますので、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、下痢の種類や、下痢になる原因、出し切る方法などについて詳しく解説しました。

下痢でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

下痢が慢性化している場合は、重篤な病気が隠れている可能性もあります。

まずは、お近くの病院でしっかりと診察を受け、原因を究明することが大切です。

参考文献

日本消化器病学会|過敏性腸症候群(IBS)
胃と大¥腸の内視鏡ナビ|下痢の治し方や対処法とは?病院を受診すべき症状についても解説!
ユビー病気のQ&A|下痢
かがみ消火器内科クリニック|水下痢
イシャチョク|下痢を出し切る方法はある?止まらない下痢を早く治す方法

この記事の監修医師

 

循環器内科:小正 晃裕 医師 

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者