日焼けとやけどの正しい知識|正しい対処法と受診のタイミングを解説

日焼けとやけど

夏になると、ビーチやプール、バーベキューなどのアウトドア活動が増えますね。

楽しい時間を過ごす一方で、気をつけたいのが日焼けややけどです。

これらは痛みを伴うだけでなく、後々の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

今回は、日焼けとやけどの正しい知識と対処法、そして受診のタイミングについて解説します。

日焼けとやけどとは?

日焼けとやけど

日焼けとは

日焼けとは、紫外線(UV:Ultra Violet)による皮膚の損傷のことを指します。

特に夏場は紫外線が強く、短時間で肌にダメージを与えます。

日焼けはUV-Bによる表皮の損傷が主な原因であり、赤くなったりヒリヒリする症状が一般的です。

日焼けには「サンバーン」と「サンタン」の2種類があります。

サンバーンは、強い紫外線を浴びることで肌が赤くなり、やけどのように痛くなる状態です。

サンタンは、肌が紫外線から守ろうとする防御反応で、メラニンという色素が増えて肌が黒くなることです。

どちらも紫外線によるダメージなので、日焼け止めや適切な服装で対策することが大切になってきます!

やけどとは

やけど(熱傷)は、熱や火、化学物質、電気などによる皮膚の損傷です。

やけどは程度によって、1度から3度に分類されます。

軽度のやけどは表皮の損傷で済みますが、重度のやけどは真皮やさらに深い組織にまで損傷が及びます。

やけどの程度シチュエーション痛み症状
1度軽い日焼け、熱いものに短時間触れたとき軽い痛み皮膚が赤くなる、腫れる
2度熱湯がかかった、長時間の日焼け強い痛み皮膚が赤くなり、水ぶくれができる
3度火事に巻き込まれた、電気によるやけど痛みを感じないこともある(神経が損傷)皮膚が白くなったり、黒く焦げたりする。皮膚の全層が損傷

関連記事:日焼けのしすぎによるリスクとは?対策方法やおすすめの日焼け止めを紹介

日焼けとやけどの原因

日焼けとやけど

日焼けの原因

日焼けの主な原因は紫外線です。

日焼けややけどに関して、紫外線(UV)のことを知ることはとても重要です。

紫外線には主に「UV-A」、「UV-B」、「UV-C」の3種類があります。

それぞれの特徴と肌への影響について、説明します。

UV-A(紫外線A波)

  • 波長が長い: UV-Aは波長が長く、肌の深い部分まで届きます。
  • 日常的に降り注いでいる: UV-Aは一年中、晴れの日でも曇りの日でも降り注いでいます。
  • 肌の老化を引き起こす: UV-Aは肌の奥にあるコラーゲンやエラスチンを壊し、しわやたるみなどの肌老化の原因になります。

UV-B(紫外線B波)

  • 波長が短い: UV-Bは波長が短く、肌の表面に影響を与えます。
  • 夏に強くなる: UV-Bは特に夏の時期に強くなり、日焼けを引き起こしやすくなります。
  • 日焼けの原因: UV-Bは肌の表面にダメージを与え、赤くなったり、水ぶくれができたりする日焼けの原因となります。

また、長期的には皮膚がんのリスクも高まります。

UV-C(紫外線C波)

  • 波長が一番短い: UV-CはUV-AやUV-Bよりも波長が短く、非常に強力な紫外線です。
  • 地表には届かない: 幸いなことに、UV-Cは地球の大気層(オゾン層)によってほとんどすべて吸収されてしまいます。
    そのため、通常は地表に到達しません
  • 人工的に作られることがある: UV-Cは自然には地表に届きませんが、殺菌灯などの人工的な装置で作られることがあります。

このUV-Cは非常に強力で、細菌やウイルスを殺す効果があります。

そのため、病院や食品工場などで使われています。

通常、自然環境下ではUV-Cは地表に届かないため、私たちの肌に影響を与えることはありません。

しかし、人工的に作られたUV-Cに直接触れると、肌や目に重大なダメージを与える可能性があります。

UV-AとUV-Bの対策

どちらの紫外線も肌にダメージを与えるため、両方を防ぐことが重要です。

市販の日焼け止めを選ぶ際には、「SPF」と「PA」の表示を確認しましょう。

SPF

これは主にUV-Bを防ぐ効果を示します。

SPF30以上のものを使うことが推奨されます。

PA

これはUV-Aを防ぐ効果を示し、「+」の数が多いほど効果が高いです。

PA+++やPA++++のものを選ぶと良いでしょう。

また、帽子やサングラス、長袖の服を着用することも効果的です。

日陰を利用することや、外出時間を工夫することも紫外線対策になります。

これらの対策を組み合わせて、しっかりと紫外線から肌を守りましょう。

特にUV-Bは皮膚に直接影響を与え、短時間でも皮膚を赤く炎症させます。

また、UV-Aは皮膚の奥深くまで届き、長期的には皮膚の老化や皮膚がんの原因となります。

やけどの原因

やけどは様々な原因で発生しますが、主な原因は以下の通りです。

  • 熱源(火、熱い液体、熱い物体)
  • 化学物質(酸やアルカリ)
  • 電気(電流によるやけど)
  • 放射線(例:放射線治療)

日焼けとやけどの症状

日焼けとやけど

日焼けの症状

日焼けの症状は、軽度から重度まで様々です。

主な症状は以下の通りです。

  • 軽度:皮膚が赤くなる、ヒリヒリする
  • 中度:皮膚が腫れる、水ぶくれができる
  • 重度:皮膚が剥がれる、強い痛み

また、過度な日焼けは皮膚がんに繋がる可能性もあります。

やけどの症状

やけどの深さや広さによって症状が異なります。

以下は一般的なやけどの症状です。

  • 1度やけど:赤くなる、痛み、軽い腫れ
  • 2度やけど:水ぶくれ、強い痛み、皮膚の剥がれ
  • 3度やけど:白くなるまたは黒く焦げる、無痛(神経が損傷しているため)

関連記事:低温やけどの治し方は?水ぶくれの処置や対処法について解説

日焼けとやけどの対処法

日焼けとやけど

初期の冷却

日焼けややけどが発生した直後には、冷却が重要です。

冷水で患部を冷やすことで、痛みを和らげ、損傷の拡大を防ぎます。

冷却時間は15分から30分が目安です。

適切な保湿

冷却後は、保湿が必要です。

特に日焼けの場合、乾燥した皮膚を保湿することで、皮膚の回復を促進します。

アロエベラジェルや保湿クリームを使用すると効果的です。

ひどい場合は受診

症状がひどい場合や、痛みが続く場合は、医師の診察を受けることが重要です。

特に以下の症状が見られる場合は、早めに受診しましょう。

  • 大規模な水ぶくれ
  • 激しい痛み
  • 発熱や寒気
  • 皮膚が黒く変色
項目日焼けやけど
主な原因紫外線(UV)熱、化学物質、電気、放射線
軽度の症状皮膚が赤くなる、ヒリヒリする皮膚が赤くなる、痛み、軽い腫れ
中度の症状皮膚が腫れる、水ぶくれができる水ぶくれ、強い痛み、皮膚の剥がれ
重度の症状皮膚が剥がれる、強い痛み白くなるまたは黒く焦げる、無痛
対処法冷却、保湿、必要に応じて受診冷却、保湿、必要に応じて受診

よく耳にする民間療法に関して

ローカルな話で、「こうすれば良い」といった、民間療法についての噂はよく出回ります。

それらは正しいのか?実行していいのか?意外と気になる所だと思います。

医学的に推奨されるかどうかをまとめました。

日焼け

民間医療方法医学的な評価推奨度
アロエを塗るアロエには抗炎症作用があり、日焼け後の肌を冷却し、痛みを和らげる効果がある
ヨーグルトを塗るヨーグルトの乳酸菌が肌を冷却し、炎症を抑える効果があるが、科学的根拠は乏しい
冷たい牛乳を塗る牛乳の冷却効果で一時的な痛みを和らげるが、長期的な効果は期待できない
酢を水で薄めて塗る酢の冷却効果で一時的に痛みを和らげるが、刺激が強く、肌を傷つける可能性がある×
きゅうりのスライスを肌に乗せるきゅうりの冷却効果で一時的に痛みを和らげるが、持続的な効果は乏しい

やけど

民間医療方法医学的な評価推奨度
バターを塗るバターはやけど部分を冷やす効果がなく、細菌感染のリスクを高めるため推奨されない×
歯磨き粉を塗る歯磨き粉はやけど部分を冷やす効果がなく、刺激が強いため肌にダメージを与える可能性がある×
みそを塗るみそには冷却効果がなく、感染リスクが高まるため推奨されない×
生の卵白を塗る卵白は感染リスクが高く、やけどの治癒を遅らせる可能性があるため推奨されない×
冷水で冷やす冷水はやけど部分を冷却し、痛みと腫れを和らげるため、初期対応として非常に有効

日焼けの予防方法

日焼けとやけど

紫外線の強い時間帯は外出を控える

紫外線が最も強い時間帯は、午前10時から午後2時です。

この時間帯はなるべく外出を控えるようにしましょう。

日焼け止めを使用

外出する際は、日焼け止めを使用することが効果的です。

SPF30以上の日焼け止めを、外出前にしっかりと塗りましょう。

SPFとは?

日焼け止めを選ぶときに、必ず目にするのが「SPF」という表示です。

SPFは「Sun Protection Factor」の略で、日本語では「紫外線防止指数」と言います。

SPFの数値は、日焼け止めがどれだけ紫外線から肌を守るかを示しています。

具体的には、SPFの数値が高いほど、日焼け止めの効果が高いことを意味します。

例えば、SPF30の日焼け止めは、何も塗っていない状態に比べて30倍長く紫外線から肌を守ることができます。

ただし、これは理想的な条件下での話なので、実際には定期的に塗り直すことが大切です。

SPF30以上の日焼け止めのおすすめ

日焼けとやけど

ここでは、SPF30以上の日焼け止めをいくつか紹介します。

これらは市販されているもので、手軽に手に入れることができます。

  • ビオレ UV アクアリッチ ウォータリーエッセンス SPF50+ PA++++
    軽いつけ心地で、汗や水に強いウォータープルーフタイプです。
  • アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク SPF50+ PA++++
    美肌ケア成分が配合されており、長時間紫外線から肌を守ります。
  • ニベア サン プロテクトウォータージェル SPF50+ PA+++
    べたつかないジェルタイプで、日常使いに最適です。
  • ラ ロッシュ ポゼ UVイデア XL プロテクショントーンアップ SPF50+ PA++++
    敏感肌の人にもおすすめの低刺激タイプです。

日陰を利用

日中の外出時には、日陰を利用することで、直接的な紫外線の影響を減らすことができます。

日傘・帽子

日傘や帽子を使用することで、顔や首を紫外線から守ることができます。

広いつばの帽子を選ぶと効果的です。

UVカットの衣服を着用

UVカット効果のある衣服を着用することで、紫外線の影響を大幅に減らすことができます。

サングラスの使用

紫外線は目にも有害です。

サングラスを使用して、目を紫外線から守りましょう。

関連記事:熱中症の治し方や予防対策|熱射病や日射病との違いは?

日焼けで水ぶくれができてしまった時は?

日焼けとやけど

水ぶくれができてしまった場合は、無理に破らずに清潔に保つことが重要です。

また、抗菌クリームを塗ると感染を防ぐことができます。

症状がひどい場合は、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

横浜内科・在宅クリニックでできる対応

症状に心当たりがある場合は、横浜内科・在宅クリニックにご相談ください。

当院では、親身になって診察させていただき、治療法の提案をさせていただきます。

症状が急に悪化した場合はもちろん、通常の診療時間、夜間休日の救急往診も可能です。

これにより、迅速に医療診察を受けることができます。

また、一度の往診だけでなく、外来診察に来ていただくことで継続的なフォローアップと長期的なサポートを受けることが可能です。

当院ではオンライン診療も行っております。

事前に登録しておく事で、スムーズに受診受付ができます。

詳しくはこちらから↓

オンライン診療の流れ

まとめ

通常日焼けが原因で救急外来などに来るケースは低いです。

しかしやけどに関しては、過小評価されているケースが多く、ひどくなった状態で受診されます。

例えばお湯をかけてしまったやけどなどは、最初は皮膚が少し赤くなっているとだけかと思われますが、実は重度の熱傷になっていることがあります。

その場合は皮膚がえぐれて潰瘍化してしまい、結果的に治療に時間がかかり、もっと早く受診すればよかったと後悔される患者さんが非常に多いです。

日焼けややけどは、夏のアクティビティで避けられないこともありますが、正しい知識と対処法を知っておくことで、被害を最小限に抑えることができます。

適切な予防策を講じ、万が一の際には迅速な対応を心がけましょう。

参考文献

やけど・日焼け | 勝野クリニック

日焼け・シミ・そばかす|原因・症状・対策・予防法|大正健康ナビ|大正製薬

日焼け | 湘南内科皮フ科クリニック町田院

日焼け後は素早いケアが必須!肌ダメージを軽減するためには?|肌育研究

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者