小児のアトピー性皮膚炎の原因は?年代別の特徴を解説
こんにちは!横浜内科・在宅クリニック院長の朝岡です。
アトピー性皮膚炎、聞いたことはあるけれど、よく分からない…そんな方も多いはずです。
この記事では、アトピー性皮膚炎の原因から治療方法、年代別の特徴をわかりやすくお伝えします。
- 1. 小児アトピー性皮膚炎の原因
- 1.1. 遺伝的要因
- 1.2. 環境的要因
- 2. 年代別アトピー性皮膚炎の特徴
- 2.1. 乳児期(1歳未満)
- 2.2. 幼児期・学童期(1~12歳)
- 2.3. 思春期・成人期(13歳以上)
- 3. 小児アトピー性皮膚炎の治療方法
- 3.1. 保湿・スキンケア
- 3.2. 外用薬
- 3.2.1. ステロイドの塗り薬
- 3.2.2. 抗ヒスタミン薬の塗り薬
- 3.3. 内服薬
- 3.4. 食事療法
- 4. 外用薬・保湿剤の上手な塗り方
- 4.1. 軟膏タイプ
- 4.2. クリームタイプ
- 4.3. ローションタイプ
- 4.4. 泡タイプ
- 5. 小児アトピー性皮膚炎の予防方法
- 5.1. 生活習慣の見直し
- 5.2. 適切な保湿・スキンケア
- 5.3. アレルゲンの特定・回避
- 6. 横浜内科・在宅クリニックでできる対応
- 7. まとめ
小児アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎は、肌のバリア機能が弱まっている状態です。
バリア機能とは肌の水分を保ち、ホコリやダニ、紫外線から体を守る機能です。
このバリア機能が弱くなる原因は一つだけでなく、複数の原因が組み合わさって起こります。
そのため、症状の現れ方や程度は、一人ひとり大きく異なります。
遺伝的要因
両親どちらかがアトピー体質だと、お子様もその可能性が高まります。
実際の研究では、両親のどちらかにアトピーがある場合、子どもの発症率は50〜80%にも達することがわかっています。
肌のバリア機能を担う特定の遺伝子が、アレルギー反応のしやすさを決定づけているのです。
環境的要因
アトピーの症状は、ホコリやダニ、花粉などに日常的に触れることで、徐々に体が反応するようになります。
また、汗をかいたときの湿気やストレスも症状を悪化させる原因です。
環境が原因の場合は、その要因を避けることで症状が改善することがあります。
そのため、どんな時に症状が出やすいのかをしっかり観察することが大切です。
年代別アトピー性皮膚炎の特徴
年代ごとに症状の出る場所や特徴などが変化します。
薬を塗る場所など対応方法が少し変わるので見ていきましょう。
乳児期(1歳未満)
赤ちゃんは生まれつき肌のバリア機能が弱いため、生後1~2ヵ月頃から湿疹が現れやすくなります。
症状は頭や顔から始まり、首、体、足へと徐々に広がっていくのが特徴です。
多くの場合、離乳食を始める5~6ヵ月頃に症状がピークを迎えますが、その後は自然に改善していきます。
1歳頃になると、頭や顔の湿疹は目立たなくなることが多いでしょう。
幼児期・学童期(1~12歳)
幼児期になると、顔の湿疹は減り、症状は首、ひじの内側、膝の裏側、手首、足首に集中するのが特徴です。
重症の場合は、お腹や背中にも広がることがあります。
繰り返し掻くことで、皮膚が硬くなる「苔癬化(たいせんか)」という状態も現れます。
この時期は、掻かないようにケアすることが大切です。
思春期・成人期(13歳以上)
思春期以降は、症状が上半身に集中するようになります。
顔、首、胸、背中に現れやすく、出る場所や症状の程度は個人差が大きいです。
時には、繰り返し掻くことで強いかゆみを伴う「結節性痒疹」という状態も生じることがあります。
小児アトピー性皮膚炎の治療方法
保湿・スキンケア
アトピー性皮膚炎の最も重要な治療は、保湿スキンケアです。
お風呂上りや洗顔後は、必ず保湿剤を塗り、皮膚のバリア機能を守りましょう。
低刺激の石鹸を選び、やさしく丁寧に洗うことも大切です。
乾燥から肌を守ることが、症状改善の第一歩となります。
外用薬
アトピーの治療には、薬が必要なことがほとんどです。
ただし、症状が良くなったからといって薬の使用を急に止めてはいけません。
医師と相談しながら、塗る間隔を調整し、徐々に薬の量を減らしていくことが大切です。
外用薬には数種類あるので紹介します。
ステロイドの塗り薬
ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の治療で最もよく使われる薬の一つです。
炎症を抑え、かゆみを鎮める効果があり、体内のホルモンを基に作られています。
薬の強さは5段階に分かれており、症状の重さや場所によって使い分けます。
医師の指示に従い、正しく使用することが大切です。
抗ヒスタミン薬の塗り薬
ステロイドを含まない外用薬で、アレルギーによる痒みや湿疹に使用する薬です。
アレルギー反応を抑え、皮膚の症状を和らげる効果があります。
症状に応じて、医師と相談しながら適切な薬を選びましょう。
内服薬
アトピー性皮膚炎の痒みに対して、塗り薬以外にも内服薬による治療法があります。
主な薬は次の3つです。
- 抗ヒスタミン薬
アレルギー反応を軽減する働きがあります。 - シクロスポリン
痒みを抑える効果が高く、重症の症状に対して使用されます。 - ステロイド薬
外用薬で効果が見られない場合に使用します。
ただし、内服薬には副作用のリスクがあるため、原則として外用薬での対応が優先されます。
食事療法
アトピー性皮膚炎の改善には、食事の工夫が大切です。
注目したいのは、腸内環境を整える「プロバイオティクス」です。
特に乳酸菌が免疫力を高める鍵となります。
おすすめは、ヨーグルト、納豆、漬物などの発酵食品。
さらに、野菜や果物と一緒に摂取すると、腸に届きやすくなります。
薬のようにすぐに効果は出ませんが、継続することで体質改善が期待できます。
関連記事:乳児湿疹の原因や治し方について|病院に行く目安は?
外用薬・保湿剤の上手な塗り方
用薬・保湿剤を効果的に使うコツは、適切な量を知ることです。
そのための目安が「FTU(フィンガーチップユニット)」という単位です。
FTUとは、大人の手の平2枚分に相当する量のことをいいます。
薬のタイプによってFTUの量は異なるため、それぞれ確認が必要です。
軟膏タイプ
ワセリンを多く含む軟膏は、保湿効果が高く、傷口や乾燥した患部にも使いやすいのが特徴です。
1FTU(基準量)の目安は、成人の人差し指の先端から1関節分の量です。
水に溶けにくく、刺激も少ないため、幅広く使用できます。
クリームタイプ
クリームタイプは、軟膏より保湿力は弱いものの、なめらかで伸びが良く、べたつきにくいのが特徴です。
1FTUの量は軟膏と同じですが、以下などの場合は使用方法に注意が必要です。
- 傷口には不向き
- 乾燥した患部に適している
- べたつきが苦手な方におすすめ
ローションタイプ
ローションタイプは、水分を多く含み、伸びが良くべたつきにくい特徴があります。
薬の吸収率も高く、頭皮など塗りにくい部位に適しています。
使用のポイントは以下の通りです。
- 1円玉大が1FTU(基準量)
- 頭皮に最適
- 傷がある部分には不向き
泡タイプ
泡タイプは水やアルコールを混ぜた薬剤で、広範囲に塗布できます。
特に頭皮や毛がある部分に使いやすいです。
製品のキャップに出した泡の量が2FTUです。
小児アトピー性皮膚炎の予防方法
生活習慣の見直し
暴飲暴食や夜更かしなど生活習慣が乱れていると、ストレスや免疫機能が低下してしまい症状が悪化します。
十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、そして軽い運動を日常に取り入れるだけで、体の免疫力は確実に高まります。
小さな習慣の変化が、健康を大きく変える鍵と言えるでしょう。
適切な保湿・スキンケア
肌の健康を維持するためには、保湿が欠かせません。
お風呂上りや洗顔直後は、肌が最も水分を吸収しやすい時間帯です。
この瞬間を逃さず保湿ケアを行うことで、肌のバリア機能を守り、乾燥や肌トラブルを予防できます。
特にお子様の肌は、大人に比べて脆弱で保護機能が未発達なため、丁寧な保湿ケアが重要です。
アレルゲンの特定・回避
乳児期などは初めて食べる食材がたくさんあります。
アレルギーが出ていないかどうか見極めがとても大切です。
特に大豆製品や乳製品、卵はアレルギーが出やすいので特に注意が必要でしょう。
横浜内科・在宅クリニックでできる対応
当院では患者様の患部の状態を診て、適切な対処法やお薬を処方が可能です。
アトピー性皮膚炎の治療は長期になる場合が多く、一人ひとりにあった治療を長期的にサポートします。
また、オンライン診療も行っているので、ご自宅から気軽に受診することも可能です。
定期的な受診と経過観察が治療への近道となります。
アトピー性皮膚炎でお悩みの場合は一度ご受診ください。
まとめ
アトピー性皮膚炎の原因は一つではなく様々な要因が組み合わさって発症します。
アレルギーの原因を特定して、体質と向き合って治療していく必要があります。
あなたに合った治療法を見つけることで、生活の質は確実に改善が可能です。
あきらめずに、小さな一歩を踏み出しましょう。
参考文献
とどくすり|アトピー性皮膚炎を改善する方法。正しい予防と治療を知ろう
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者
投稿者プロフィール
最新の投稿
- ブログ2024.11.21小児のアトピー性皮膚炎の原因は?年代別の特徴を解説
- お知らせ2024.11.1911/23(土)外来診療、休診のお知らせ
- ブログ2024.11.14マイコプラズマ肺炎の咳が止まらないときの対処法|治療や予防方法について解説
- お知らせ2024.11.12感染症対策医療措置協定締結医療機関のご報告