黄砂によるアレルギー症状とは?花粉症・PM2.5との違いや受診の目安を解説

春頃になるとよく耳にする「黄砂」ですが、言葉で聞いたことはあっても、人体にどのような影響があるのかを詳しく知らないという方も少なくありません。

黄砂は1年中飛来していますが、2月頃から増加し始め、3月~5月にかけてピークを迎えます。この時期には、花粉症やPM2.5の影響と区別がつかず、原因が分からないまま症状に悩むケースも見られます。

今回は、黄砂による主なアレルギー症状や、花粉症・PM2.5との違い、受診目安などについて解説します。

黄砂とは?

黄砂とは、中国大陸内部のゴビ砂漠、タクラマカン砂漠や黄土地帯から強風によって、数千メートルまで吹き上げられた大量の粒子が日本を含む広範囲に飛来し、浮遊・降下する現象です。

黄砂はもともと自然に起こる現象ですが、近年では森林の減少や土地の劣化といった人の活動の影響が関係していると指摘されています。

この人為的要因により砂漠化が進行し、黄砂の飛来量や人体への影響が以前より大きくなっている可能性も否定できません。

また、黄砂には砂や鉱物粒子に加えて化学物質や微生物などが付着することがあり、これらが目や鼻、気道の粘膜を刺激することで、呼吸器系の不調やアレルギー様の症状につながることもあります。

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黄砂による主なアレルギー症状

黄砂が飛来する時期には、目や鼻、喉、皮膚など、さまざまな部位に不調が現れることがあります。

症状の種類や強さには個人差があり、ひとつの症状だけでなく、複数の症状が同時にみられるケースも少なくありません。

ここでは、黄砂の影響で起こりやすい主なアレルギー症状について解説します。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎とは、アレルゲンが目の表面に付着することでアレルギー反応が起こり、結膜に炎症が生じる病気です。

黄砂が飛来する時期には、黄砂そのものに加えて、一緒に運ばれてくるほこりやダニなどが目に入り、症状が現れやすくなります。

主な症状としては、以下のような変化が挙げられます。

  • 目の充血やかゆみ
  • まぶたの腫れ
  • 涙が出やすくなる

症状が強い場合には、糸を引くような目やにが出ることもあり、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎

アレルギー性鼻炎とは、ほこりやダニなどのアレルゲンが鼻の粘膜に付着し、アレルギー反応によって炎症が起こる状態です。
黄砂が飛来する時期には、黄砂に付着した微細な物質が鼻の粘膜を刺激し、以下といった症状が目立つようになります。

  • 透明な鼻水
  • 鼻づまり
  • くしゃみ

こうした鼻の炎症が続くことで、副鼻腔と呼ばれる鼻の周囲の空洞にまで炎症が及ぶケースも。
副鼻腔炎を併発すると、鼻づまりが長引くほか、頭が重く感じるような不快感(頭重感)や後鼻漏(鼻水が喉に流れる感覚)などの症状が加わることがあります。

気管支喘息・アトピー咳

気管支喘息とは、気管に慢性的な炎症が生じ、何らかの刺激が加わった際に気道が狭くなることで、以下などの症状が発作的に現れる病気です。

  • 呼吸困難
  • 喘鳴(ヒューヒューという呼吸音)

一方、アトピー咳は、気管支喘息のような喘鳴や呼吸困難発作はみられず、咳が長期間続く点が特徴です。

主に喉のかゆみを伴う乾いた咳が続くことが多く、痰を伴わないケースが目立ちます。

黄砂が気管支に入り込むことで気道が刺激され、痰やのどのいがいが感などの症状が現れる場合もあります。

肌荒れ

黄砂が飛来する時期には、ダニやカビ、ほこりなどを含む微細な粒子が皮膚に付着し、刺激となることがあります。

ダニやカビ、ほこりなどの微細な粒子によって皮膚のバリア機能が低下し、かゆみや赤み、乾燥といった肌荒れが起こりやすくなります。

もともとアトピー性皮膚炎がある場合には、症状が悪化するケースも少なくありません。

関連記事:花粉による肌荒れを防ぐには?スキンケアと生活習慣のポイント

黄砂アレルギーと花粉症・PM2.5の違い

黄砂によるアレルギー症状は、花粉症やPM2.5による不調と見分けがつきにくい場合があります。

原因となる物質や性質はそれぞれ異なり、症状の現れ方や時期にも違いがみられます。

以下では、黄砂・花粉症・PM2.5の違いを整理し、原因を判断する際の目安をまとめました。

項目黄砂花粉症PM2.5
主な原因中国大陸の砂漠地帯などから飛来する砂や粒子スギ・ヒノキなど植物の花粉燃焼などにより発生する微小粒子状物質
性質砂・鉱物粒子に化学物質や微生物が付着植物由来のアレルゲン非常に細かい人工由来粒子
粒子の大きさ数マイクロメートル程度種類により異なるが比較的大きい2.5マイクロメートル以下
発生・飛来時期主に春
(2~5月頃)
スギは2~4月
ヒノキは3~5月など
花粉の種類ごとにピークが異なる
1年を通して発生
(春・冬に濃度が高くなりやすい)
症状が出やすい部位目・鼻・喉・皮膚・気道目・鼻が中心気道・肺が中心
主な症状目のかゆみ、鼻づまり、咳、肌荒れなどくしゃみ、鼻水、目のかゆみ咳、息苦しさ、喉の違和感

黄砂・花粉・PM2.5は、それぞれ原因や性質が異なりますが、どれか一つだけが単独で症状を引き起こすとは限りません。

特に春先は、黄砂の飛来、花粉のピーク、PM2.5の濃度上昇が重なりやすく、複数の要因が同時に影響することで症状が現れたり、症状が重くなることがあります。

複数の要因が重なって影響する場合、自己判断で原因を特定するのは難しくなります。

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黄砂アレルギーの受診の目安

黄砂によるアレルギー症状は、花粉症やPM2.5による不調と区別しにくく、様子を見ているうちに症状が長引くこともあります。
以下に該当する場合は、医療機関の受診を検討してください。

受診を検討したほうがよいケース

  • 目のかゆみや充血、鼻づまり、咳などの症状が数日以上続いている
  • 市販薬を使用しても症状の改善がみられない
  • 咳や息苦しさが強く、日常生活や睡眠に支障が出ている
  • 鼻づまりや頭の重さが続き、副鼻腔炎が疑われる症状がある
  • アトピー性皮膚炎や気管支喘息など、もともとの持病が悪化している

黄砂による症状は現れる部位によって異なるため、症状に応じた診療科を受診することが大切です。

  • 目のかゆみ・充血・目やにが気になる場合
     → 眼科
  • 鼻水・鼻づまり・くしゃみが続く場合
     → 耳鼻咽喉科
  • 咳や息苦しさ、喘鳴がある場合
     → 内科、呼吸器内科
  • 肌荒れやかゆみ、湿疹が出ている場合
     → 皮膚科

複数の症状が同時に出ている場合や、どの診療科を受診すべきか迷う場合には、まず内科を受診し、必要に応じて専門科へ紹介してもらいましょう。

黄砂アレルギーの治療

黄砂そのものを対象とした治療薬や、黄砂アレルギーに対する特異的な治療法はありません。

医療機関での治療は、黄砂によって引き起こされた目・鼻・喉・気道などの症状を抑える対症療法が中心となります。

症状の部位や程度に応じて、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、点眼薬、点鼻薬、咳止めなどが使用されるケースが一般的です。

また、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの持病がある場合、黄砂の影響によって症状が悪化することもあります。

症状の悪化が見られる場合、既存の治療内容を見直し、症状に応じた薬の調整を行うことも重要です。

薬による治療とあわせて、黄砂をできるだけ体内に取り込まないよう生活環境を整える視点も欠かせません。

医療機関での治療は、こうした環境調整と組み合わせながら進めていく形になります。

関連記事:花粉症に効く注射とは?費用や効果を解説

黄砂アレルギーの対策

黄砂もPM2.5や花粉と同様に吸い込まない、体に付着させないことが重要です。

日常生活の工夫によって、黄砂の影響を減らすことができます。

外出時の対策

  • フィルター付きのマスクを使用
    黄砂は粒子が細かく、一般的なマスクでは十分に防げない場合があります。
    微粒子対策用のフィルターが付いたマスクを選ぶことが有効です。
  • 表面が滑らかな衣類を着用
    ポリエステルやナイロンなど表面が滑らかな素材や、撥水加工された衣類は黄砂が付着しにくい傾向があります。
  • 帰宅時に黄砂を落とす
    玄関に入る前に、衣類や髪に付着した黄砂をはたいて落とすことで、室内への持ち込みを減らせます。

家庭での対策

家庭での対策は黄砂を室内に持ち込まないことが重要です。

  • 窓の開閉に注意
    黄砂の飛来が多い日は窓を閉めて過ごすことが基本。
    換気を行う場合は、窓を大きく開けず、短時間で済ませる方法が適しています。
  • 空気清浄機の活用
    黄砂やPM2.5に対応した空気清浄機を使用することで、室内の浮遊粒子を減らせます。
  • 洗濯物は室内干し
    屋外に洗濯物を干すと黄砂が付着しやすく、室内へ持ち込む原因になります。
    室内干しや乾燥機の使用が無難です。
  • こまめな掃除
    人の出入りやドアの開閉によって黄砂が室内に入り込むことがあります。
    床の掃き掃除や拭き掃除をこまめに行うことで、室内に残る黄砂を減らせます。

横浜内科・在宅クリニックでできる対応

横浜内科・在宅クリニックでは、黄砂や花粉、PM2.5によるアレルギー症状に対しての診察や適切な対処方法をお伝えさせていただきます。

また、症状に合わせたお薬の処方も可能です。

お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

まとめ

黄砂による体調不良は、花粉やPM2.5など複数の要因が重なって起こる場合もあり、原因の切り分けが難しいケースが少なくありません。

症状の程度や出方には個人差があるため、無理に自己判断せず、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。

日常生活での対策を意識しながら、症状が続く場合や悪化がみられる場合には、早めの受診を検討してください。

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 理事長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
・2025年 医療法人 幸龍家 理事長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者

 

参考文献
きし内科クリニック│その症状はスギ花粉ではなく「黄砂アレルギーかもしれません」

MSDマニュアル家庭版│アレルギー性鼻炎

近畿中央呼吸器センター│喘息

やなぎだ耳鼻咽喉科│黄砂と耳鼻咽喉科

ぎなん皮ふ科クリニック│黄砂、PM2.5による皮膚炎

Nojima│黄砂とは?時期はいつからいつまで?原因や症状、対策方法も解説

ハピコワクリニック五反田│黄砂・PM2.5と咳について

ケーファーマシー株式会社|黄砂による体への影響とは?/どんな症状?治療薬はある?

Nafias|黄砂とPM2.5の違いとは?平井時期や健康への影響を防ぐ4つの対策