動脈硬化が引き起こすリスクとは|自覚症状はある?

動脈硬化

バランスの良い食事、程よい運動、禁煙…健康の為にこれらを行いましょう!とはよく聞きますよね。

生活習慣を改善することで多くの病気のリスクを軽減することができます。

本記事で紹介する動脈硬化もそのひとつ。

動脈硬化は気付きづらい病気なので、本記事を読んで知識を蓄えましょう。

動脈硬化とは

動脈硬化

動脈硬化とは、簡単に言うと血管が老化して固くなり、もろくなる状態です。

若い健康な血管は柔らかくてしなやかですが、年齢を重ねるとともに、個人差はあるものの動脈硬化が進行します。

動脈硬化の原因

  • 加齢だけでなく、以下の要因が関与します。
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 喫煙
  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加

危険性

身体中のどの部位でも起こり得ます。

例えば、次の箇所で動脈硬化が進行すると、重篤な病気につながる可能性があります。

  • 冠動脈(心臓の動脈)
  • 頸動脈(脳動脈に到達するまでの首の動脈)
  • 脳動脈(脳の動脈)

心臓や脳など体の重要な箇所で動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患につながることも考えられます。

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動脈硬化が引き起こすリスク

動脈硬化

狭心症

狭心症は、心臓を取り巻く冠動脈が細くなり、血液が流れにくくなる疾患です。

動脈硬化が進行すると、動脈の中に脂肪の塊が沈着(アテローム硬化)して血流が阻害され、心臓が虚血状態となります。

症状としては歩行や運動中に胸の痛みや圧迫感が現れますが、数分以内で治まることがあるので軽視されがちです。

心筋梗塞

心筋梗塞は、アテローム動脈硬化が原因で形成されたプラークが血栓となり、冠動脈に詰まる疾患です。

心臓への血流が完全に途絶えるため、発症後すぐの処置が重要です。

症状は激しい胸の痛みから始まり、呼吸困難や意識障害につながることもあります。

脳梗塞

脳梗塞は、脳に走行する動脈が梗塞してしまい、脳への血流が途絶える疾患です。

脳梗塞の症状は片方の手足の麻痺や言葉の出にくさなどが代表的です。

原因によって種類が異なり、アテローム血栓性脳梗塞は動脈硬化と深い関係があります。

脳出血

脳出血は、脳の細かい血管が破れて出血し、脳細胞が破壊される疾患です。

動脈硬化により血管がもろくなり、加えて高血圧だとリスクが高くなります。

症状はめまいや吐き気、頭痛、意識障害などが挙げられます。

末梢動脈疾患

末梢動脈疾患は、動脈硬化により足の血管が細くなり、血流が途絶える疾患です。

足への血流が途絶えると歩行時の痛みやしびれ、冷感が起こります。

症状が悪化すると歩けなくなり、足の壊死が起こる可能性があります。

眼底出血

眼底出血は、眼の血管が破れて出血する状態で、視力障害や失明の原因となります。

高血圧や動脈硬化などの要因が関与することがあります。

大動脈瘤

大動脈瘤は、大動脈にこぶができ、破裂すると致命的な出血を引き起こす可能性がある疾患です。

動脈硬化が進行するとリスクが高まります。

腎不全

腎不全は、腎臓の機能が低下し、老廃物を排出できなくなる状態です。

動脈硬化により腎臓への血液供給が悪化し、腎機能が低下することがあります。

動脈硬化に自覚症状はある?

動脈硬化

動脈硬化は、恐ろしいことに、目立った自覚症状がないことが特徴です。

自覚症状のない危険性

動脈硬化の症状は目に見えないため、多くの場合、健康診断や血液検査によって発見されます。

自覚症状が現れる場合、病気がかなり進行していることがあるので注意が必要です。

そのため、脳梗塞や心筋梗塞などの症状が現れてから動脈硬化が発覚するケースもあります。

症状の部位ごとの違い

動脈硬化が進行する部位によって、症状が異なります。

脳:頭痛、めまい、耳鳴り、手足の力が入らない、言葉が出にくいなどの症状が現れることがあります。

心臓:少し動くだけで息切れがする、疲れやすいなどの症状が見られることがあります。

足:しびれや痛み、特に安静時に足が痛むことがあります。

これらの症状がある場合は、早めに医師に相談することが重要です。

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動脈硬化の原因

動脈硬化

喫煙

喫煙は、健康を害するリスクが高まる行動の一つです。

タバコに含まれる有害な化学物質が血管を収縮させたり炎症を引き起こしたりすることで、動脈硬化の進行を助長します。

また、喫煙は冠動脈疾患や脳梗塞などの重大な病気の発症リスクを高めることが知られています。

動脈硬化を予防したいのであれば、喫煙をやめるか本数を減らすなどしましょう。

ストレス

日常生活でのストレスは、動脈硬化のリスク要因の一つです。

ストレスが長期間続くと、体内のストレス反応が血管の健康に悪影響を与えることがあります。

ストレス管理の重要性は高く、リラックスしたり、趣味に没頭したりすることでストレスを軽減し、健康な生活を送ることが大切です。

不健康な食生活

不健康な食生活は、動脈硬化の進行を促進する要因の一つです。

食事に含まれる高脂肪・高塩分・高糖分の食品は、LDLコレステロール値を上昇させたり、血圧を上昇させたりする可能性があります。

バランスの取れた食事や積極的な食事改善は、動脈硬化のリスクを軽減する上で重要です。

運動不足

運動不足は、動脈硬化のリスクを高める要因の一つです。

適度な運動は、体重管理や血圧のコントロールに役立ちます。

定期的な運動をすることによって血液の流れを改善し、動脈硬化の進行を遅らせる助けとなるでしょう。

日常生活に運動を取り入れることで、健康を維持することができます。

遺伝的要因

遺伝的要因は、動脈硬化のリスクを左右する重要な要素の一つです。

家族歴に動脈硬化や心臓病がある場合、遺伝的な要因が個人のリスクに影響を与える可能性があります。

遺伝子の影響により、コレステロール代謝や血管の構造に異常が生じれば動脈硬化のリスクとなりえます。

このため、遺伝的要因を考慮して生活習慣や定期的な健康診断を行うことが重要です。

加齢

加齢も、動脈硬化のリスクを高める要因の一つです。

加齢とともに血管が硬化し、柔軟性が低下するため、動脈硬化の進行が進みやすくなります。

加齢によるリスク増加を考慮して、定期的な健康診断や生活習慣の見直しを行うことが重要です。

動脈硬化の改善・予防方法

動脈硬化

バランスの取れた食事

食事はバランスよく摂ることが大切です。

野菜や青魚、海藻などを積極的に摂取し、肉や油分の過剰摂取には注意しましょう。

食事をゆっくりとよく噛んで食べることも大切です。

また、1日3食を基本とし、朝食や昼食をしっかり摂り、夕食は少なめにすることで肥満を予防できます。

定期的な運動

適度な運動は心臓や血管の健康を保つ上で重要です。

有酸素運動や筋力トレーニングを行うことで、体力が向上し、脂質の代謝も促進されます。

ただし、運動を始める前には医師に相談し、自分に適した方法や強度を確認しましょう。

禁煙

喫煙は動脈硬化の進行を促進する危険な要因です。

禁煙は健康への第一歩です。

禁煙治療には医師の指導が必要な場合がありますので、医師と相談しましょう。

適切な体重管理

適正な体重を維持することも動脈硬化を防ぐために重要です。

バランスの良い食事と定期的な運動を行うことで、体重をコントロールしましょう。

血圧の管理

高血圧は動脈硬化のリスク因子の一つです。

定期的な血圧測定と、医師の指示に従った血圧管理が必要です。

血糖値の管理

血糖値のコントロールは糖尿病や動脈硬化を予防する上で重要です。

バランスの取れた食事や適度な運動、医師の指導の下で血糖値を管理しましょう。

血脂肪値の管理

血中の脂質値も動脈硬化のリスクを左右します。

バランスの良い食事や定期的な運動、医師の指導の下での血脂肪値の管理が重要です。

ストレス管理

ストレスは動脈硬化のリスクを高める要因の一つです。

適切なストレス管理方法を見つけることが大切です。

定期的なリラックスや趣味に時間を割くことでストレスを軽減しましょう。

適切なアルコール摂取

過度なアルコール摂取は動脈硬化を促進する可能性があります。

適量を守り、健康的な生活を送るために注意しましょう。

医師の指導の下での薬物療法

薬物療法は生活習慣の改善と並行して行われることがあります。

医師の指導の下で適切な薬物療法を行い、動脈硬化の進行を抑えましょう。

関連記事:心筋梗塞の危険な前兆と症状|後の生活や後遺症について

横浜内科・在宅クリニックでできる対応

横浜内科・在宅クリニックでは丁寧な問診、診察を行います。

頸動脈のエコー検査を行うことで動脈硬化の進行度の計測が可能です。

ご不安な方はいつでもお気軽にご相談ください。

【まとめ】動脈硬化の予防は生活習慣の改善が大切

動脈硬化は大きな病気に繋がる恐れがあります。

また、症状を自覚しづらいので、「自分は大丈夫」と油断せずに、普段から健康に気を使いましょう。

参考文献

動脈硬化とは?原因となる心臓や脳の病気や予防方法について解説

【医師監修】動脈硬化による体への影響と動脈硬化を引き起こす危険因子

動脈硬化の原因を解説!予防のために大切な7つのこと | MediPalette

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者