SAS(睡眠時無呼吸症候群)の治療法は?自力での治し方はある?

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時間は十分に確保しているのに、日中に眠気が続くことはありませんか?

そんな方はもしかすると、SAS(睡眠時無呼吸症候群)が原因かもしれません!

名前は聞いたことがるかもしれないけれど、大きく分けて2種類に分類されることをご存じでしょうか?

睡眠は人生のおよそ3分の1を占める行為です。

より良い睡眠をとれるよう、SASの種類や原因、治療方法をご紹介いたします!

SAS(睡眠時無呼吸症候群)って何?

睡眠時無呼吸症候群

無呼吸(10秒以上の呼吸停止)が7時間の睡眠中に30回以上、あるいは1時間に5回以上ある方はSASと診断されます。

睡眠中に呼吸が止まり、起きてしまったり、睡眠の質がガクッと下がってしまいます。

その結果、睡眠不足や日中の過度な眠気やだるさを引き起こし、日中の生活に支障をきたすことが少なくありません。

関連記事:睡眠時無呼吸症候群になる原因とは|自力で治せる?

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の種類

睡眠時無呼吸症候群

SASは原因によって大きく2種類に分けられますが、共通して以下の症状が見られます。

  • 睡眠中に何度も目が覚める
  • 熟睡感が無い
  • 口の中が乾いている
  • 日中に過度な眠気がある
  • 集中力が続かない

では、それぞれの特徴を見ていきましょう。

OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に鼻から喉までの空気の通り道である上気道が閉じてしまい、正常な呼吸ができない状態をOSA(閉塞性睡眠時無呼吸)と言います。

この状態は、SAS患者様の多くに見られる特徴です。

物理的に気道が塞がるため、呼吸をしようとすると、大きな激しいいびきが発生することが一般的です。

血中の酸素が不足することで心臓や脳、血管に大きな負担がかかり、結果として狭心症や心筋梗塞などを引き起こしたり、悪化させてしまうリスクが高くなります。

OASの方で心筋梗塞を発症した時間が22時から早朝6時に多いという研究結果が出ています。

CSA(中枢性睡眠時無呼吸)

睡眠時無呼吸症候群

CSA(中枢性睡眠時無呼吸)とは上気道ではなく、呼吸をコントロールしている脳そのものに異常が起きている状態です。

SASの中でも数%程度と少数派です。

OSAとの大きな違いは、呼吸を行おうとすること自体が行われていないため、いびきが発生しない点にあります。

その代わりチェーンストークス呼吸という特有の呼吸が見られます。

無呼吸になる前、呼吸音が徐々に大きくなり、その後小さくなっていき最終的に無呼吸になるというものです。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の原因  

睡眠時無呼吸症候群

OSAの原因 

OSAは上気道が物理的に狭くなる為に起こります。

その原因として以下が挙げられます。

  • 肥満により首周りに脂肪がつく
  • 顎が小さい、下顎が後退している、鼻腔が狭いなどの骨格的な要素
  • 舌が大きい
  • のどにあるリンパ組織の肥大

OSAは肥満による発症が最も多く、OSA患者様のおよそ70%が肥満です。

肥満指数を表すBMIが高いほど患者様の数が多く、重症化している傾向にあります。

日本人は顎が小さい方も多く、やせ型でもOSAを発症することがあります。

CSAの原因

CSAは脳機能の異常によって起こります。

脳機能の異常が起きる原因を細かく見ていきましょう。

  • 心不全や心房細動など心臓に異常がある
  • 脳卒中で脳そのものにダメージが残っている
  • 進行した腎不全ににより心臓に負担がかかる
  • 高地に移動した時に起きる

原因は様々ありますが、多くは心臓に異常が起きている為とされています。

心臓に異常があると、脳への血流が悪くなり脳機能が正常に働かなくなる為です。

心臓機能が低下している方のおよそ30~40%の方がCSAを発症していることが分かっています。

CSAの人たちは、2つのグループに分かれます。

  • 二酸化炭素が多くなって呼吸が少なくなる方
  • 二酸化炭素が多くなっても、呼吸が少なくならない方

①のグループには、高炭酸ガス血症と呼ばれる方が含まれます。

この場合、血中の二酸化炭素が普通または低いレベルになり、呼吸が増えるのです。

しかし、時々息を止めたり、呼吸が途切れることがあります。

関連記事:不眠とうつの関係性について|コロナ後遺症の可能性もある?

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の治療法  

睡眠時無呼吸

CPAP療法(シーパップ)

CPAP療法とは、睡眠中、鼻に装着したマスクから適切な圧力をかけた空気を送り込む治療法です。

この治療法は、気道を確実に広げて呼吸を楽にすることができます。

CPAP療法を始めた多くの患者さんは、「よく眠れるようになった」と感じるなど、劇的な効果を実感しています。

しかし、いくつかデメリットも存在するため、知っておくことが大切です。

  • 装置が気になって眠れないことがある
  • 気道の塞がりを根本から治すものではない
  • 外来通院による治療継続が必要
  • 「鼻炎」や「副鼻腔炎」など鼻の通りを悪くする病気があると、十分な効果が得られないことがある

装置が気になる場合には、後述のマウスピースによる治療などに変更することが考えられます。

ご持病がある場合は、耳鼻咽喉科で鼻の治療を受けることが重要です。  

マウスピースによる治療

睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に合わせて選択されます。

軽度から中程度の場合には、主に「マウスピース」が使われます。

これは寝るときに使い、気道を開いてくれるものです。  

手術による治療法

手術方法は原因によって様々です。

扁桃やアデノイドの肥大によってSAS(睡眠時無呼吸症候群)が引き起こされている場合は、摘出手術が検討されることがあります。

軟口蓋の一部を切除する手術であるUPPPは効果が不十分なケースや術後の傷跡による再発のリスクがあります。

自力でのSAS(睡眠時無呼吸症候群)の治し方は?  

睡眠時無呼吸症候群

生活習慣の改善

睡眠時無呼吸症候群を改善したい方への第一歩は、生活習慣の見直しです。

具体的には、肥満を改善するように心がけましょう。

  • 栄養バランスの取れた食事
    野菜や果物、穀物など、健康に良い食材をバランスよく摂取しましょう。
  • 適度な運動
    散歩やストレッチなど、日常生活に取り入れやすい運動から始めてみましょう。
  • 規則正しい生活リズムを整える
    睡眠時間や食事の時間を一定に保つことで、体のリズムを整えることができます。

これらの生活習慣の改善が、睡眠時無呼吸症候群の改善につながることがあります。

自分に合った方法で、少しずつ取り組んでみましょう。  

体重減少の効果

慢性心不全や慢性呼吸不全に併存するSASは、必要に応じてマスク式人工呼吸器であるASVや在宅酸素療法を行います。

過剰な飲酒や肥満など、SASを悪化させる要因がある場合は、日々の診療でライフスタイルの見直しや体重の減量などが必要です。

また、必要に応じて、栄養士による栄養相談を受ける必要があります。

特に、肥満によるSASに関しては、標準的な治療に加えて体重を減らすことが、無呼吸の軽減につながるとされています。  

睡眠姿勢の調整

枕の下にタオルなどを挟んで傾斜をつけたり、毛布やクッションを背中に置いたりすると横向き寝やうつ伏せ寝がしやすくなります。

また、抱き枕を使用するのも仰向け寝防止に役立つのでおすすめです。

関連記事:生活習慣病って何種類あるの?予防対策や検診についても紹介

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の相談は横浜内科・在宅クリニックまで

軽度から中程度の場合には、マウスピースなどの口腔内装置(OA)を使って治療を行います。

マウスピースを作成する際には、適切な専門医をご紹介しておりますので、ご安心ください。

重度の場合には、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行います。

これは、酸素マスクのような機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、睡眠中の無呼吸を防ぐ治療法です。

当院では、患者様一人ひとりに合わせた治療計画を提案し、介入を行います。

治療について疑問や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の原因・症状・治療方法

睡眠外科|横浜市都筑区の横浜内科・在宅クリニック|川崎市宮前区も対応可|睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方は当院にご相談ください|夜間・休日の救急外来・往診|24時…

【まとめ】SASの改善は生活習慣から

SAS(睡眠時無呼吸症候群)は、重大な疾患を引き起こす可能性がある病気です。

居眠りによって他人を巻き込む事故を引き起こすこともあり、注意が必要です。

睡眠が十分でないと感じる方は早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。

正しい治療や対処法を知ることで、安心して健康な睡眠を取ることができます。

自分や周りの人の安全と健康のためにも、症状に不安を感じたら専門医に相談することが重要です。

参考文献

中枢性睡眠時無呼吸症候群 - 05. 肺疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

睡眠時無呼吸症候群(SAS)ってどんな病気? | 睡眠医療・介護事業のメディカルケア

睡眠時無呼吸症候群(SASの原因・治療)|西小山駅のはるクリニック西小山

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者