水疱瘡は大人にも感染する?主な症状や帯状疱疹との違いを解説

『みずぼうそう』ってよく言葉は聞くけど、体のブツブツがでるぐらい?の病気であんまりよく分からないな…という方も多いのではないでしょうか。

実は昔は大体の人が子供の時に『水疱瘡』にかかった経験がある非常に強い感染力をもった病気でした。

しかし、2014年に日本では水疱瘡のワクチンが定期接種になり、小児科医じゃなければほとんど見ることがなくなり、最近のママたちの中ではよく知られた感染症ではなくなってきました。

ただ、その感染力はいまだに強く、ワクチンを接種していない子供を中心に広がったりします。

中には重症化してしまう可能性がある病気です。

本記事では、水疱瘡が大人でも感染するのか、その症状や帯状疱疹との違いなどを解説しています。

医療法人 幸龍家 理事長の朝岡がなるべくわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてください。

水疱瘡とは?

水疱瘡とは『水痘・帯状疱疹ウイルス』というウィルスが体内に初めて感染したときに生じる皮膚を中心としたウィルスの病気のことです。

実際の感染経路は以下の3つあります。

  • 飛沫感染
    咳やくしゃみといった、直接ウィルスが飛ぶことでうつる
  • 接触感染
    水疱瘡になっている人が触ったものに触れてうつる
  • 空気感染
    近くに水疱瘡の人がいるだけでうつる
    感染の制御がほぼできない

ウィルスの多くは空気感染をしないので、水疱瘡ウィルスは非常に強い感染力をもちます。

日本では2014年に水疱瘡ワクチンが定期接種になるまでは、ほとんどの子供たちが一度は感染したことがある病気でした。

潜伏期間はウイルスがうつってから10~20日間程してから症状が出ることが多いです。

特徴的な症状は発熱、かゆみを伴う全身の発疹です。

発疹は最初は赤い発疹ですが徐々に水ぶくれになり、その後水ぶくれの中に膿ができ、その後かさぶたになり7〜10日程度で治っていきます。

全身に生じるので早期発見はしやすく、また発疹も特異的なので、診断も簡単です。

ただ免疫力が低下していると気管支炎や肺炎になったり、熱性けいれん、蜂窩織炎(発疹部分の皮膚のバリア機能が破綻して細菌が感染する)を起こすこともあり注意が必要です。

子供は一度感染したら生涯にわたって免疫を獲得できますが、感染時のウイルスが体内の神経節に潜み、大人になってから免疫力が低下した時に帯状疱疹として再発する事があります。

水疱瘡は大人にも感染する?

90%以上の人が10歳までに感染するまたはワクチンにて水疱瘡の感染を防いでいますが、ワクチン接種をしていても年齢を重ねていくにつれ抗体(水疱瘡に対する免疫)が減っていき、大人になってから再度発症することもあります。

50歳を超えると水疱瘡に対しての抗体量が著しく低くなっており、帯状疱疹になってしまう方が非常に多く、日本の社会問題になっています。

なので自治体によっては60歳以上の帯状疱疹ワクチンに大して助成を行い、ワクチン接種を励行しています。

また妊婦は水疱瘡に特に注意が必要です。

妊娠中に水疱瘡にかかると、胎児へ先天性水痘症候群という疾患を引き起こし以下などが出現する可能性があります。

  • 低出生体重児
  • 四肢低形成
  • 小頭症
  • 皮膚症状
  • 眼症状

妊娠中では、初期~後期でもいずれも合併症があり、できるだけかかりたくない病気の一つです。

妊娠初期流産の可能性あり
妊娠中期胎盤を通して胎児がウイルスに感染
生後1年までに赤ちゃんに帯状疱疹が出現する可能性あり
妊娠後期肺炎の合併症を引き起こしやすい

妊娠中の水疱瘡は重症化しやすく、出産5日前から出産後2日までは妊婦が感染すると赤ちゃんも重症な水疱瘡を発症しやすくなるので注意が必要です。

大人の水疱瘡の主な症状

初期症状・急性期症状

初期・急性期の症状は以下などといった風邪を引いた時と同じような症状がまず最初に出ることが多いです。

  • 38℃前後の発熱
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 鼻汁

その後、発疹(水ぶくれ等)が全身に現れてきます。

症状は一般的に子供よりも重症化しやすい傾向です。

急性期の時期が一番感染力が強いと考えられており、発疹がカサブタになったタイミングからは感染力がなくなります。

重症化した場合の合併症

水疱瘡ウイルスが各臓器(肺、肝臓、脳など)に侵入した場合は重度の肺炎・肝炎・脳炎をきたすことがあります。

まれではありますが、だれでも重症になる可能性があるからこそ非常に怖い病気です。

重症化を防ぐにもワクチン接種が有効です。

確立された治療法はないため、まずは病気にかからないこと=ワクチンをちゃんと接種することが推奨されます。

大人の水疱瘡と帯状疱疹の関係とは?

帯状疱疹とは?

帯状疱疹とは水疱瘡と同じ『水痘・帯状疱疹ウイルス』によって引き起きる感染症です。

ただし、初めて水痘・帯状疱疹に感染した時は水疱瘡として発症します。

多くの方が、水疱瘡は子供の頃に発症し治っておりますが、治癒後もウイルスが体内の神経節に潜伏。

その後、加齢やストレス、免疫力が低下すると、神経節に潜伏していたウイルスが再活性化し、神経を伝わり皮膚に到達して痛みを伴う赤い発疹ができます。

これが帯状疱疹であり、50代以降の人たちを苦しめる病気になるのです。

これはかなり辛い病気で、たとえ皮膚症状がよくなっても、神経のダメージが残ることで、生涯神経痛に悩まされる方が非常に多くいらっしゃいます。

中には痛くて動けなくなり、寝たきり状態になってしまう人もいるくらいです。

水疱瘡との違い

水疱瘡と帯状疱疹は、どちらも水痘・帯状疱疹ウイルスという同じウイルスが原因の病気ですが、発症に違いがあります。

初めて水痘・帯状疱疹に感染した時は水疱瘡として発症しますが、帯状疱疹は水疱瘡に一度なった人が、体内に潜伏していたウイルスが再活性化して起きる病気です。

発症様式はもちろん違いますが、年齢によって名前が変わると考えてもよいかもしれませんね。

帯状疱疹はうつる?

帯状疱疹は、他人からうつってしまう病気ではありません。

但し、帯状疱疹の症状がある人が水疱瘡になったことがない人へ水痘・帯状疱疹ウイルスを移し、水疱瘡を発症させることがあります。

その場合、皮膚に発症した水ぶくれ液からの接触感染が多いですが、唾液やくしゃみ、咳などから飛沫感染することもあります。

大人が水疱瘡を予防する方法

ワクチン摂取

水疱瘡の感染力は強い為、ワクチン接種を2回すれば水疱瘡にかかることはほとんどないと言われています。

水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体(免疫力)のない方は是非ワクチン接種をお勧めします。

▶当院の帯状往診ワクチンについて詳しくはこちら

手洗い・マスク着用

咳やくしゃみといった飛沫感染、水疱瘡になっている人が触ったものに触れてうつる接触感染、近くに水疱瘡の人がいるだけでうつってしまう空気感染等があります。

ワクチン接種程の効果はないですがしっかり手洗いやマスク着用することで予防することも重要です。

横浜内科・在宅クリニックでできること

当院では水疱瘡・帯状疱疹の方の診断・治療を行えます。

丁寧な問診から採血検査などを行い、診断し早期治療を行えるようにしております。

帯状疱疹ワクチンの啓発も行っており、他院よりはお安く接種できますので、いつでもご相談ください。

まとめ

水疱瘡は昔はほとんどの人が罹患したことがある病気でした。

最近の子供はワクチンが定期接種になったことで罹患せずに抗体をもつことができています。

日常的に出会うことが少なくなった水疱瘡ではありますが、重症化するリスクはあるので是非知ってほしい病気の一つだったので、わかりやすく説明させていただきました。

参考文献:

水痘 - 13. 感染性疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

日本皮膚科学会 帯状疱疹ガイドライン2025

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 理事長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
・2025年 医療法人 幸龍家 理事長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者