多汗症治療で汗の悩みを改善|効果の持続期間と費用相場を徹底解説

気温に関係なく過剰な汗が分泌されてしまう「多汗症」。

大量の発汗によって日常生活に支障が出てしまうこともあり、人前で自信を失ってしまう方も珍しくありません。

多汗症の治療は外用薬から手術までさまざまな選択肢がありますが、それぞれ効果の持続期間や費用が大きく異なります。

治療法を選ぶ際は症状の程度や費用負担などを総合的に考慮することが大切です。

本記事では多汗症の治療ごとの特徴や費用相場、効果の持続期間について解説します。

多汗症治療の種類と特徴

多汗症の治療は、主に「汗腺のはたらきを抑える」または「汗腺そのものを破壊する」というアプローチで行われます。

外用薬

外用薬の処方は、皮膚科で最初に選ばれることが多い治療法です。

脇や手のひら、足の裏などに塗るタイプで、汗腺の出口を塞いで発汗を抑えます。

手軽に始められて低侵襲的(身体を傷つけにくい)反面、効果が出るまでに時間がかかりやすい点に注意が必要です。

内服薬

全身性の多汗症や、外用薬で効果が見られない場合に検討されます。

抗コリン薬が使用されることが多く、交感神経からの刺激をブロックすることで汗の分泌を抑制します。

全身の発汗を一度に抑えられますが、口の渇き・便秘・眠気といった副作用が出ることもあります。

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ボトックス注射

脇や手のひらの発汗を強力に抑えたい場合に有効な治療法です。

ボツリヌス毒素を皮膚に直接注射することで、発汗を促す神経伝達物質(アセチルコリン)のはたらきをブロックし、汗の分泌を一時的に抑制します。

施術時間が短くダウンタイムが少ない一方、継続するには定期的な再注射が必要です。

関連記事:脇ボトックスの効果はどれくらい続く?費用相場や注意点もわかりやすく解説

ミラドライ

脇の多汗症やワキガ治療において、メスを使わない永続的な治療法として注目されています。

マイクロ波を脇の下に照射し、熱によってエクリン汗腺とアポクリン汗腺を破壊します。

切開の必要がなく傷跡が残りにくいというメリットがありますが、自由診療になるため、費用負担が大きくなる点に注意が必要です。

手術

他の治療法で効果が得られない場合や、重度の多汗症に対して検討されます。

多汗の原因となる交感神経の一部を切断・遮断することで発汗の指令を止める方法です。

高い確率で発汗を永続的に抑えられますが、他の部位から汗が増える「代償性発汗」のリスクや、手術に伴う傷やダウンタイムに注意が必要です。

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多汗症治療の費用と保険適用

多汗症治療には、保険が適用されるものと、自由診療(全額自己負担)となるものがあります。

保険適用されるための基準

多汗症の治療で保険が適用されるには、「原発性局所多汗症(原因不明の多汗症)」と診断される必要があります。

保険適用の診断基準には、以下の項目などが含まれます。

  • 発汗が左右対称であること
  • 明確な原因がないこと
  • 生活に支障をきたしていること
  • 発症が25歳未満であること(脇の場合)

保険適用される治療の費用相場

多汗症治療に保険が適用された場合の費用目安は以下の通りです。

治療法費用相場(3割負担の目安)備考
外用薬数百円~3,000円程度
(1ヶ月分)
保険適用外の市販薬も含む。保険適用薬はさらに安価。
内服薬1,000円~3,000円程度
(1ヶ月分)
処方量や薬の種類によって異なる。
ボトックス注射30,000円~40,000円程度
(片脇)
脇の多汗症に限り保険適用される場合がある。
手術(交感神経遮断術)数万円~10万円程度治療部位や病院によって異なる。

自由診療となる治療の費用相場

自由診療となる治療は、保険診療に比べて高額になります。

治療法費用相場(全額自己負担)備考
ミラドライ200,000円~350,000円程度(両脇1回)クリニックや保証内容によって差が大きい。
ボトックス注射50,000円~100,000円程度(両脇)保険適用外の部位(手のひら、足の裏など)や、美容目的の場合。

多汗症治療の効果の持続期間

治療法を選ぶうえでは、効果がどれくらい持続するのかが重要な判断基準となります。

治療法効果の持続期間再治療の目安
塗り薬(外用薬)数時間〜1日毎日または必要に応じて使用
内服薬(抗コリン薬など)内服中のみ医師の指導のもと継続
ボトックス注射約3〜9か月半年〜1年ごとに再注射
ミラドライ半永久的(個人差あり)原則不要だが再照射する場合あり
手術(交感神経遮断術など)半永久的(再発リスクあり)再発や代償性発汗に注意

治療法によっては、効果が薄れてきたタイミングで再治療が必要です。

特にボトックス注射や内服薬は、持続期間と費用のバランスを考慮して選択しましょう。

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多汗症治療の効果を高めるセルフケア

治療の効果を最大限に引き出し、汗の悩みを軽減するためには、日々のセルフケアも欠かせません。

生活習慣を整える

自律神経の乱れやストレスは発汗を促進します。

十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけることで、過剰な発汗の抑制につながります。

清潔を保つ

汗をかいたまま放置すると、においの原因となる菌が繁殖してしまいます。

汗をかいたらすぐに清潔なタオルや汗拭きシートなどで拭き取る習慣をつけましょう。

通気性の良い衣服を選ぶ

ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、汗が乾きにくく蒸れやすい傾向があります。

綿や麻などの通気性・吸湿性の高い素材を選び、汗がこもるのを防ぎましょう。

また、汗ジミが目立ちにくい色や柄の服を選ぶのもおすすめです。

制汗剤を活用する

治療と並行し、制汗作用のあるデオドラント製品を補助として活用するのも効果的です。

特に治療が及ばない部位や効果が薄れてきた時期に使うことで、汗の悩みをコントロールしやすくなります。

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関連記事:制汗剤のデメリットとは?肌への影響と健康リスクを徹底解説

多汗症治療はどこで受けられる?

多汗症の治療は、主に以下の診療科で受けられます。

  • 皮膚科:汗の悩み全般を扱います。保険適用となる医薬品の処方やボトックス注射を始め、ミラドライを導入するクリニックも増えてきています。
  • 美容外科・形成外科:ミラドライや自由診療のボトックス注射、手術など、見た目や永続性を重視した治療を行います。
  • 内科・心療内科:ストレスや自律神経の乱れが原因となる多汗症の場合、内服薬や漢方薬の処方とともに生活指導が行われます。

どこを選べばよいか分からない方は、まず多汗症の診断に優れた皮膚科を受診し、保険適用の治療から試すのもおすすめです。

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クリニック級の成分を低価格で試せるため、多汗症治療を検討する前のステップとして取り入れるのもおすすめです。

まとめ

多汗症治療にはさまざまな種類があり、保険適用の有無や効果の持続期間などを踏まえて比較検討することが大切です。

まずは皮膚科で自身のお悩みを相談するとともに、治療と並行して生活習慣の改善やセルフケアの継続を行っていきましょう。

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 理事長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
・2025年 医療法人 幸龍家 理事長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者