乳児湿疹の原因や治し方について|病院に行く目安は?

乳児発疹

赤ちゃんの肌は、たまご肌と例えられるほどキレイなイメージですが、「乳児湿疹」と呼ばれる湿疹が現れることがあります。

顔や頭部を中心に広範囲に出てきて、不安と驚きがある方も多いのでないでしょうか?

本記事では、そんな乳児湿疹について原因や対処方法、病院受診の目安などについて詳しく解説しています。

ぜひ参考にしてください。

乳児湿疹とは

乳児湿疹

生後12カ月までのお子様に現れる、赤いプツプツやカサカサとした湿疹などの皮膚トラブルの総称を乳児発疹と呼びます。

生後2~3か月頃から現れ始め、最初は刺激の多い口周りや顔に出来ます。

その後手足、体と広がっていき、1歳を過ぎる頃には自然と治るケースが多いです。

乳児湿疹の原因は?

乳児湿疹

ホルモンの影響

母親の女性ホルモンが残っている、生後2~4か月ころに影響されやすいです。

女性ホルモンの影響で皮脂の分泌が増加して毛穴が詰まり、ニキビのような湿疹が現れます。

皮脂は皮膚を保護し、潤いを保つために重要ですが、過剰な皮脂分泌は毛穴を詰まらせ、ニキビや吹き出物の原因です。

皮脂分泌は女性ホルモン以外にも食生活やストレスなどが影響します。

アレルギー反応

アレルギー反応は、皮膚が特定の物質に対して過敏に反応することによって引き起こされます。

食物アレルギーや化粧品、金属などが原因となり、かゆみや発疹、赤みなどの症状が現れることがあります。

汗や蒸れ

汗や蒸れは、皮膚トラブルの原因です。

特に暑い季節や運動後には汗をかきやすく、湿気がこもると細菌や真菌が繁殖しやすくなります。

これが原因であせもや皮膚炎が発生することがあります。

外的刺激

外的刺激には、物理的な摩擦や化学物質、紫外線などがあります。

例えば、合わない衣類や化粧品、長時間の日光浴は皮膚にダメージを与え、炎症や乾燥を引き起こすことがあります。

感染症

皮膚の感染症は細菌やウイルス、真菌などが原因で発生します。

例えば、細菌性の皮膚感染症(蜂巣炎)や真菌による水虫、ウイルス性のヘルペスなどがあります。

これらは適切な治療が必要です。

乾燥

乾燥は皮膚のバリア機能を弱め、炎症やかゆみ、ひび割れの原因となります。

特に冬の乾燥した空気や、過度な洗浄は皮膚の水分を奪い、乾燥を悪化させます。

遺伝的要因

遺伝的要因は、皮膚の特性や反応に大きな影響を与えます。

例えば、アトピー性皮膚炎や乾癬、敏感肌などは遺伝的な要素が強いとされています。

家族に同様の皮膚トラブルを持つ人がいる場合、同じような症状が現れることが多いです。

それぞれの項目についての理解が深まると、適切なケア方法や対策を見つけやすくなります。

乳児湿疹の種類と原因

乳児湿疹

新生児ニキビ

皮脂の分泌が活発になる生後2~3週間ぐらいに、顔や身体に赤いブツブツの湿疹がよくみられます。

これは新生児ニキビ(新生児座瘡:しんせいじざそう)と呼ばれるものです。

かゆみを伴うことがあるため、かきむしって血がにじんだり、ただれてジクジクした感じになったりします。

かゆみのない軽い症状なら軟膏を塗らなくても、皮膚を清潔にすれば自然に治ることが多いです。

脂漏性湿疹

脂漏性湿疹は、生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんと成人に多く見られる皮膚の病気です。

赤ちゃんの場合は自然に治ることが多いのに対し、成人では慢性化するケースがしばしば見られます。

赤ちゃんに脂漏性湿疹が現れる原因は、母親の女性ホルモンの影響です。

特に顔や頭皮に症状が出やすく、頭部に黄色っぽいうろこ状の皮膚炎が生じ、乾燥した感じで広がります。

額や眉毛、鼻にも発生することがあり、かゆみはありますが通常はそれほど強くありません。

皮脂腺(皮脂を分泌する腺)が多い場所である髪の毛の生え際や眉毛、頭部には、かさぶたがべったりと付くことがあります。

このかさぶたは無理に剥がしてはいけません。

まず、保湿剤やオリーブ油を塗ってふやかし、その後お風呂で石けんを使って洗うと、少しずつ落ちていきます。

具体的なケア方法としては以下の通りです。

  • 頭:シャンプーで優しく洗います。
  • 眉毛:ガーゼに石けんの泡をつけて丁寧に洗います。

汗疹(あせも)

汗に含まれている尿酸やアンモニアなどの成分が、肌に刺激を与えて起きてしまうのが「汗疹(あせも)」です。

汗をかきやすい季節に症状が出やすく、首のしわの間、わきの下、ひじやひざの裏など、汗をかきやすい部分にあせもが発生しやすくなります。

沐浴などで肌を清潔な状態に保つことが大切です。

おむつ皮膚炎

おむつに覆われた部分の皮膚に炎症が出るのが「おむつ皮膚炎(接触性皮膚炎)」、通称「おむつかぶれ」です。

皮膚が赤くなったり、ポツポツと湿疹が出たりします。

原因としては、おむつの蒸れや、おしっこやうんちに含まれる刺激物が肌ダメージになるなどが考えられます。

おむつをこまめに替えるほか、赤ちゃんの体に合った大きさのおむつを履かせるようにしましょう。

アトピー性皮膚炎

アレルギーが関係していると考えられている皮膚疾患です。

生後2~3ヶ月ごろからみられることが多く、年齢が上がるにつれて症状が変化します。

顔、手足の関節の内側部分、足の付け根などに赤い小さなブツブツができて、ジクジクしたり、カサカサし、強いかゆみを伴う場合もあります。

原因になる物質や刺激がわかる場合は、それを避けて皮膚を清潔にすることが大切です。

副腎皮質ホルモン薬や抗アレルギー薬、保湿剤などが使われます。

突発性発疹

ウイルスが原因の発疹で、2歳以下の乳児によくみられます。

突然発熱し下痢や熱性けいれんを伴うこともあります。

熱があるわりには機嫌がよく、食欲もあまり落ちません。

発熱後3~4日で熱が下がり始めると同時に、全身にうすいピンク色のあせもに似た細かい発疹が現れ、数日で消えます。

特に治療しなくても自然に治りますが、他の病気の可能性がないか経過を見ながら、念のため薬を処方される場合があります。

水痘(水ぼうそう)

かゆみのある発疹が広がる感染症で、乳幼児が発症することが多いです。

高熱または微熱が出て、かゆみのある赤い発疹が全身に広がるのが特徴です。

赤い発疹は小豆大の水疱となり、やがて膿疱となり2~3日のうちにかさぶたになります。

かさぶたは7~10日で自然にはがれおちます。

皮膚のかゆみをおさえるなどの対症療法が主な治療法です。

発症直後に診断がつけば、抗ウイルス薬を用いて症状を軽減できる場合があります。

発症する年齢によって重症度が異なり、生後4か月未満では母親の免疫が残っていて軽症で済むことが多いです。

7か月~1歳が最も重症になりやすく、2歳以降は軽症となりますが、7歳から再び重症化する傾向があります。

乳児湿疹はいつからいつまで?

乳児湿疹

個人差はありますが、生後2週間ごろから見られ、1歳になるころには落ち着く乳幼児が多いです。

その中でも、生後2〜3ヶ月ごろは皮脂の分泌が多くなるので乳児湿疹が現れやすいです。

その後の湿疹は、乾燥が主な原因で、肌が成長していくにつれて自然に治っていきます。

乳児湿疹の治し方は?

乳児湿疹

湿疹が起きているところは肌のバリア機能が低下し、炎症が起きている状態です。

炎症が起きてかゆくなり、掻く事でさらにバリア機能が低下するという悪循環が生まれます。

この悪循環を断ち切る為には「乾燥を防ぐこと」と「炎症を抑える事」が重要です。

そのためには下記の薬を使用します。

白色ワセリン

ワセリンは刺激の少ない保湿剤で、赤ちゃんから大人まで使用できます。

石油を高純度に精製することで、安全に使用することが可能です。

純度によって色が変わり、その中でも「白色」が一番純度が高く、医療機関でも使用されます。

薬局やドラッグストアでも購入できます。

副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)

ステロイド外用薬は皮膚の炎症を抑える薬です。

しかし、ステロイド薬は注意して使用する必要があります。

治ったと思ってもすぐにやめてしまうと、またすぐに炎症が起きてしまいます。

そしてまた薬を塗り、治ったらやめてしまう…

このような使い方だと、薬がやめられず、副作用が現れることもあります。

そうならないためにもステロイド薬を使用する際は医師の指示を守ることが大切です。

抗アレルギー薬

ハウスダストやダニ、花粉などのアレルギーに反応して湿疹が出ていることがあります。

その場合はアレルギー反応を抑える薬が必要です。

また、部屋を清潔に保つこともアレルギーを抑えるために大切な事です。

抗生物質

抗生物質は、ばい菌や雑菌を倒すために必要な薬です。

湿疹が酷くなり膿が出てくるようであれば、抗生物質の塗り薬が必要になります。

ワセリン以外の薬は、自己判断で使用することは避けましょう。

医師の診断、処方を経て、用法用量を守って使用してください。

母乳が原因で乳児湿疹になることがある?

乳児湿疹

たまに「母親が食べているもので母乳の質が下がり、乳児湿疹ができる」というお話を耳にするのですが、そのような事はありません。

しかし、母乳が口周りにつき、それが原因で湿疹が起きることはあります。

なので母乳やミルク、離乳食の後には口周りを清潔にしてあげることで、湿疹を未然に防ぐことが可能です。

乳児湿疹で病院に行く目安は?

乳児湿疹

次のような症状が見られた場合は、小児科か皮膚科にご受診ください。

  • 湿疹が何度も繰り返してしまい、治らない
  • かゆみや赤みが出ている
  • 膿んでいる
  • 発熱している

特に、膿んでいたり、発熱している場合は早期の受診をおすすめいたします。

横浜内科・在宅クリニックでできる対応

当院では診察から薬の処方まで行っております。

診察時には、湿疹の原因や状態を丁寧に確認し、保湿剤や抗炎症薬などの処方が可能です。

また、家庭でできるスキンケア方法についても詳しく指導します。

アレルギーが原因と思われる場合はアレルギー検査も行います。

乳児湿疹は継続的なケアが必要ですので、フォローアップもしていきます。

オンライン診療も受け付けておりますので、こちらもご活用ください!

まとめ

乳児湿疹は、多くの赤ちゃんが経験する皮膚トラブルです。

適切なケアと治療を行うことで、症状を軽減し、再発を防ぐことができます。

自宅でのスキンケアや保湿を徹底するとともに、症状が悪化した場合や不安を感じた場合は、早めに医師に相談することが大切です。

赤ちゃんが健やかに成長できるよう、日々のケアや医療機関のサポートを上手に活用してください。

参考文献

『乳児湿疹』とは?原因・症状・治療法やアトピーとの違いを解説|田辺三菱製薬

【医師監修】赤ちゃんの湿疹の種類と原因は?乳児湿疹の症状とアトピーの見分け方、対処法や保湿ケア法を解説

【小児科医監修】子どもの発疹!原因、病気の種類と判断基準、受診の目安とは? | ままのて

【小児科医監修】赤ちゃんの湿疹(ブツブツ)の種類と原因は?多い時期、家庭での対処法もご紹介

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者