喘息の主な症状とは?症状が出やすい時や悪化させる要因を解説

気温が低い時期になると空気の乾燥が気になりますよね。
気温が低く、空気が乾燥するこの時期は、喘息の症状が悪化しやすい季節でもあります。
喘息をお持ちの方にとってはとてもつらく嫌な時期だなと考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、喘息は適切な管理と治療によってコントロールが可能な疾患です。
そこで今回は、喘息の主な症状や症状が出やすい時、症状の緩和方法などについて解説していきます。
- 1. 喘息とは?
- 2. 喘息の主な症状
- 2.1. 激しい咳
- 2.2. 痰
- 2.3. 喘鳴(ぜんめい)
- 2.4. 胸の苦しさ
- 2.5. 息切れ・息苦しさ
- 2.6. 呼吸困難
- 3. 大人と違う?子供の喘息症状
- 4. 喘息症状が出やすいのはどんな時?
- 5. 喘息の症状を悪化させる要因
- 5.1. 喫煙・受動喫煙
- 5.2. 呼吸器感染症
- 5.3. アレルゲン
- 5.4. メタボリックシンドローム・肥満
- 5.5. 気象の変化
- 5.6. 大気汚染
- 5.7. ストレス
- 5.8. アルコール
- 6. 喘息の症状緩和方法と治療方法
- 6.1. 緩和方法① 安静にして薬を飲む
- 6.2. 緩和方法② 暖かい飲み物を飲む
- 6.2.1. 蜂蜜生姜湯のレシピ
- 6.3. 緩和方法③ 腹式呼吸する
- 6.4. 治療方法① 薬物治療
- 6.4.1. 主な喘息治療薬
- 6.4.1.1. 長期管理薬(毎日使用する予防薬)
- 6.5. 治療方法② 運動療法
- 6.6. 治療方法③ 心理療法
- 7. 医師の実体験!緊急対応が必要な喘息患者への対応
- 8. 横浜内科・在宅クリニックでできる対応
- 9. まとめ
喘息とは?

喘息とは、気道が狭くなり呼吸が困難になる慢性の呼吸器疾患のことを指します。
この病気は気道の炎症によって引き起こされ、刺激を受けると気道が敏感に反応して収縮し、痰(たん)や咳、息切れなどの症状が現れます。
喘息は治療しなければ日常生活に支障をきたし、重篤な場合には生命を脅かすこともあります。
喘息には遺伝的な要因も関与しており、家族に喘息やアレルギー疾患を持つ人がいる場合、喘息にかかるリスクが高まります。
また、環境要因や生活習慣も喘息の発症に影響を与えることがあります。
例えば都市部に住む方達は大気汚染にさらされる頻度が高いため、喘息の発症リスクが高まるとされています。
喘息の主な症状

喘息の症状は非常に多岐にわたりますが、以下のような特徴的な症状が挙げられます。
激しい咳
喘息の初期症状としてよく見られるのが激しい咳です。
特に夜間や早朝に悪化し、長期間続くことが多いです。
咳は気道の炎症や刺激によって引き起こされ、発作が起こると止まらなくなることがあります。
痰
痰は喘息患者に頻繁に見られる症状の一つです。
気道が炎症を起こすと粘液が過剰に分泌され、それが痰となって排出されます。
痰が多いと気道がさらに狭くなり、呼吸が困難になることがあります。
喘鳴(ぜんめい)
喘鳴(ぜんめい)は、息を吸ったり吐いたりするときにヒューヒューやゼーゼーといった音が聞こえる症状です。
これは気道が狭くなることで発生します。
気道が慢性的に炎症を起こし狭くなった結果、息をすることで笛のように音が出てしまうのです。
喘鳴が頻繁に現れる場合、喘息の可能性があります。
早期の診断と適切な治療が重要なため、症状が続く場合は医師に相談することをお勧めします。
胸の苦しさ
胸の苦しさは、喘息の典型的な症状の一つです。
例えば階段を上る途中で、突然胸が締め付けられるような感覚や重いものが乗っているように感じたことはありませんか?
喘息の発作時、このような胸の圧迫感が生じることがあり、息が吸いづらくなることもあります。
この症状は気道が狭くなることで起こるため、早急な対処が必要です。
特に喘鳴や咳とともに胸の苦しさを感じた場合、喘息の可能性があるため医師に相談することをお勧めします。
息切れ・息苦しさ
運動をした後や、夜寝ている時に息切れや息苦しさを感じたことはありませんか?
このような症状は、喘息の発作時に見られることが多いです。
喘息では、気道が狭くなり空気の通り道が妨げられるため、呼吸が困難になることがあります。
特に、夜間や運動後に症状が悪化しやすいのが特徴です。
息苦しさが続いたり、喘鳴といった他の症状が伴う場合、喘息の可能性が高いため、医師に相談することが大切です。
呼吸困難
息を吸おうとしても、なかなか入ってこないと感じたことはありませんか?
これは、喘息の重い症状である呼吸困難の可能性があります。
喘息が悪化すると、気道が極端に狭くなり、十分な酸素を取り込むことができなくなります。
この状態が長引くと、命に関わることもあるため、早急な対応が必要です。
特に、呼吸が非常に苦しくなる場合や、胸の痛みを伴う場合は、医師の診察を早めに受けることが重要です。
大人と違う?子供の喘息症状

子供の喘息症状は大人と少し異なります。
例えば、子供は喘鳴がなくても咳が続くことが多いです。
また、夜間の咳や息切れが目立つこともあり、学校の活動や遊び中に発作が起こることがしばしば見られます。
特に幼児の場合、親が異常に気づきにくく、発見が遅れることもあります。
また、大人と子供の喘息の症状には以下のような違いがあります。
比較項目 | 大人 | 子ども |
主な症状 | 慢性的な咳と息切れ | 夜間の咳と喘鳴(ゼーゼー) |
症状の特徴 | 徐々に進行し、長く続く | 急に発症しやすく、変動しやすい |
主な原因 | タバコ・ストレス・大気汚染 | ハウスダスト・風邪・運動 |
予後 | 継続的な管理が必要 | 成長と共に改善する場合もある |
喘息症状が出やすいのはどんな時?

喘息の症状は、特定の条件下で特に現れやすくなります。
例えば寒冷な空気を吸ったときや、運動をした後、さらには夜間や早朝などの気温が低くなる時間帯に悪化しやすいです。
また花粉の多い季節や、風邪をひいた時、ストレスがたまった時にも発作が起こりやすいです。
これらの要因が組み合わさると喘息の症状は急速に悪化することがあります。
そのため自分の喘息のトリガーを理解し、予防策を講じることが重要です。
喘息の症状を悪化させる要因

喘息の症状を悪化させる要因はいくつか存在します。
喫煙・受動喫煙
喫煙や受動喫煙は、喘息の症状を悪化させる代表的な要因です。
タバコの煙には多くの有害物質が含まれており、これが気道を刺激し炎症を引き起こします。
例えばタバコの煙にさらされると気道が狭くなり、息苦しさや咳が増えることがあります。
特に受動喫煙は自分が喫煙しなくても周囲の人が吸っている煙を吸い込むため、家族や友人に喫煙者がいる場合は注意が必要です。
また、喫煙場所に近づかないよう心がけることも大切です。
公共の場所では禁煙が進んでいますが、自宅や車内などの閉ざされた空間では受動喫煙のリスクが高まるので、特に気を付けましょう。
喫煙者のいる環境を避けることで、喘息の発作を減らすことが可能です。
呼吸器感染症
喘息の症状を悪化させる要因の一つとして、呼吸器感染症があります。
風邪やインフルエンザといった感染症にかかると、気道に炎症が起こりやすくなり、喘息の発作が誘発されることが多くあります。
特に呼吸器感染症は気道の狭さを悪化させ、咳や息苦しさが強くなります。
予防策としては、日頃からの手洗いやうがいを徹底し、感染症にかからないようにすることが大切です。
万が一、感染症にかかってしまった場合には早めの治療が必要となります。
アレルゲン
ダニやペットの毛、花粉などのアレルゲンも喘息を悪化させる大きな要因です。
これらに対するアレルギー反応が気道の炎症を引き起こし、発作を誘発します。
アレルゲンを避けること、ほこりなどのハウスダストはこまめに掃除をすることで発作を減らすことへ繋がります。
メタボリックシンドローム・肥満
メタボリックシンドロームや肥満も喘息の悪化に関連しています。
体重が増加すると気道への負担が増し、炎症へと繋がります。
食生活の改善や適度な運動を行うことで体重をコントロールしてメタボリックシンドロームや肥満を予防することが可能です。
気象の変化
例えば冬の寒さから突然暖かい室内に入ると、気道が冷たい空気に反応し収縮してしまいます。
また、湿度が急に変わることも気道に負担をかけるため、発作のリスクが高まります。
気圧の変動も同様で、低気圧が接近するときに発作が起こる人も少なくありません。
気象の変化を予測し、外出時の温度管理や保湿対策をすることが重要です。
大気汚染
大気汚染は都市部において特に深刻な問題であり、喘息の発症や悪化の原因となります。
車の排気ガスや工場の排煙は気道に悪影響を及ぼします。
ストレス
ストレスは喘息の症状を悪化させる大きな要因の一つです。
精神的な負担がかかると、体の免疫システムが乱れやすくなります。
この影響で気道が狭くなり、喘息の発作が起こることがあります。
また、ストレスによって呼吸が浅くなり、体が十分な酸素を取り込めなくなることもあります。
予防のためには、リラックスできる方法を見つけることが重要です。
深呼吸や軽い運動、趣味に没頭する時間を持つことがストレスを軽減し、喘息の発作を防ぐ助けとなります。
また、学校や職場、家庭で過度なプレッシャーを感じる場合には周囲に相談し、サポートを受けることも大切です。
アルコール
アルコールの摂取も喘息を悪化させる可能性があります。
特にワインなどに含まれる保存料や化学物質がアレルギー反応を引き起こすことがあります。
喘息の症状緩和方法と治療方法

喘息の症状を緩和し、適切な治療を行うことが重要です。
ここでは、症状緩和のための方法と治療法について説明します。
緩和方法① 安静にして薬を飲む
発作が起こった場合、安静にして薬を飲むことが第一です。
処方された吸入薬や経口薬を使用して気道を広げ、症状を和らげます。
緩和方法② 暖かい飲み物を飲む
暖かい飲み物を飲むことは、喘息の症状を和らげる一つの手段です。
特に、生姜や蜂蜜を加えた飲み物は、気道をリラックスさせる効果が期待できます。
生姜には血行を促進する作用があり、気道の炎症を軽減、蜂蜜は喉を潤し、咳を和らげる効果があります。
蜂蜜生姜湯のレシピ
まずカップにお湯を注ぎ、その中に生姜のスライスを2~3枚入れます。
生姜の香りが漂ってきたら蜂蜜をティースプーン1杯加え、よくかき混ぜます。
生姜は血行を促し、気道の緊張を和らげる効果があり、蜂蜜は喉を優しく潤します。
喉が乾燥しているときや喘息の症状が辛いときに、お試しください。
ただし、飲み物の温度には注意が必要で、熱すぎると逆に刺激になりかねません。
また、カフェインを含む飲み物は避け、リラックス効果を高めるノンカフェインの飲み物を選ぶことをおすすめします。
緩和方法③ 腹式呼吸する
腹式呼吸は喘息の緩和方法として非常に効果的です。
具体的にはまずリラックスした姿勢をとり、片手をお腹に置き、鼻からゆっくりと深く息を吸い、お腹が膨らむのを感じます。
次に口をすぼめてゆっくりと息を吐きながら、お腹がへこむのを意識します。
上記の呼吸をゆっくりとリラックスして繰り返しましょう。
この呼吸法は気道の収縮を和らげ、呼吸を安定させます。
腹式呼吸を行う際は、急いで呼吸しないように注意し、焦らず一定のリズムで行うことが大切です。
治療方法① 薬物治療
喘息の薬物治療は、「長期管理薬」と「発作治療薬」の2種類を使用します。
このうち、長期管理薬による継続的な治療が基本となります。
主な喘息治療薬
長期管理薬(毎日使用する予防薬)
- 吸入ステロイド薬
気道の炎症を抑える基本薬です。毎日の吸入で発作を予防します - 長時間作用性気管支拡張薬
気道を12~24時間広げ続ける効果があり、特に夜間の発作を防ぎます - ロイコトリエン受容体拮抗薬
アレルギー反応を抑える内服薬で、特に運動誘発性の発作に効果があります - テオフィリン製剤
気管支を広げる内服薬で、長時間持続的に効果を発揮します発作治療薬(発作時に使用する薬) - 短時間作用性気管支拡張薬
発作時に即効性があり、数分で気道を広げる効果を発揮します
これらの薬は必ず医師の指示通りに使用し、特に吸入薬は正しい使用方法を守ることが重要です。
また、発作治療薬の使用が増えた場合は、医師に相談して長期管理薬の調整を検討する必要があります。
治療方法② 運動療法
適度な運動を行うことは、運動療法として喘息管理に役立ちます。
呼吸筋を強化し、肺機能を向上させることで、発作の頻度を減らすことができます。
治療方法③ 心理療法
ストレスや不安が喘息に影響を与えるため、心理療法も治療の一環として考えられます。
リラクゼーション技術やカウンセリングが有効です。
医師の実体験!緊急対応が必要な喘息患者への対応
実際に喘息は命に関わる病気という認識がない人が実は多いです。
重症の喘息があるにも関わらず、タバコの喫煙がやめられない人、処方をしても薬を適切に使わない人もいます。
家から苦しくて動けないといった患者さんのご自宅に往診しにいった時に、重症の喘息発作を認めたときがありました。
すぐに救急車を要請して搬送されましたが、治療中に悪化して、人工呼吸器をつけて何とか一命をとりとめたというケースがありました。
喘息は命に関わることのある病気です。
しっかりとした診断・加療を続けることが大切です。
横浜内科・在宅クリニックでできる対応
横浜内科・在宅クリニックでは、患者様の不安を取り除けるよう、患者様に寄り添った診察・治療を行います。
現在喘息の治療を行っている方はもちろん、喘息のような症状が続いているといった場合にもぜひご相談ください。
また、当院では外来診療時間外にオンライン診療も行っております。
事前に登録しておく事で、スムーズに予約・診察が受けられます。
まとめ
喘息は日常生活に大きな影響を与える慢性疾患です。
症状は多岐にわたり、悪化させる要因も多様ですが、日々のケアや予防策を講じることで、症状を緩和し、発作を防ぐことができます。
特に喘息が疑われる場合は市販薬で対処するのではなく、専門医の診断と適切な治療を受けることが重要です。
また、喘息と腹痛が同時に起こる場合には、その他の疾患の可能性も考慮する必要があり、医師の診察を受けることが推奨されます。
適切な対策を講じ、健康な生活を維持しましょう。
子供の喘息、大人とはどう違うの?|茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック
vol.201 急な温度変化による咳やぜんそくに要注意!季節の変化によるアレルギーの原因と対策|オムロン
日常生活におけるぜん息悪化の要因|独立行政法人 環境再生保全機構
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者