突然のフラつきは低血糖のサイン?間違いやすい症状と対処法を解説

誰しも、朝寝坊して、ご飯食べずに出かけて、おなかすいた~っと思った経験をしたことがあるでしょう。

すぐに何か食べれたらいいのですが、その後も食べずにいると、ふらついたりすることがあります。

それは低血糖を起こしている可能性があります。低血糖は実は命にかかわる病気です。

すぐに対処がした方がよい場合もあるので、今からくわしく説明していきますね。

突然フラフラするのは低血糖かも

突然のフラつきや立ちくらみ

人間は脳から指令を受けて体を動かすことができます。

その脳のエネルギー源は主にブドウ糖です。血糖値が下がり過ぎると、ブドウ糖がなくなってしまい、脳への栄養が不足し、ふらつきやめまい、立ちくらみの症状が出ることがあります。

手の震えや冷や汗が出る

血糖値が低下することで体がこのままでは危ないと判断し、血糖値を上げるためにアドレナリンやグルカゴン等のホルモンを分泌させることによって手の震えや冷や汗が出ることがあります。

生命の危険を感じることで人間の防衛本能が生じるのですね。

強い空腹感や動悸を感じる

血糖値が低下することで脳がエネルギーとして必要なブドウ糖が不足していると判断し、強い空腹感を感じたり、又交感神経が刺激されることで動悸を感じる事があります。

飲食をしないと危ないぞというサインです。

集中力が落ちてぼんやりする

ブドウ糖は脳の主要なエネルギー源の為、これが不足すると脳機能が低下し、集中力が落ちたり、ぼんやりする事があります。

勉強をするときに甘い物を食べた方が良いといわれるのはこれが理由です。

関連記事:突然のめまい・吐き気・冷や汗は病気?原因や対処法を紹介

低血糖の原因

食事の量の不足

重症の摂食障害、栄養失調でブドウ糖が不足し低血糖が起こることがあります。

基本的にはブドウ糖がなくても、タンパク質、脂肪が栄養の変わりとして消費されますが、それらのエネルギーが枯渇することで低血糖を起こすことがあります。 

激しい運動

急激な激しい運動でエネルギー消費が多くなるため、使用できるブドウ糖がなくなり、低血糖を引き起こすことがあります。

タンパク質や脂肪がエネルギーの代替をするのにはブドウ糖と違い時間がかかります。

そのため、運動の前後にバナナや甘いものを食べるスポーツ選手が今は非常に多いです。

アルコール摂取

体は普段必要に応じ肝臓でブドウ糖を作っていますがアルコールはそれを阻害、また肝臓からブドウ糖の放出も抑制する為、低血糖を引き起こすことがあります。

慢性的なアルコール摂取はアルコール性肝障害や、アルコール性膵炎を引き起こしたりして非常に危険な状態になります。

過度なストレス

慢性的なストレスは、副腎の機能が低下し、血糖値を上昇させるホルモン(コルチゾール、アドレナリンなど)の分泌が不十分になり、低血糖を引き起こすことがあります。

自己抗体(インスリン抗体、インスリン受容体抗体)を持っている人

いわゆる糖尿病の類の病気で、インスリン抗体を持っていると、インスリンが過剰に分泌されて低血糖を引き起こすことがあります。

採血検査を行わないと判断できないため、低血糖を繰り返し起こしている人は検査をした方がよいとされています。

胃切除術後

胃を手術した人は、食事が急に小腸に入る為、食後一時的に高血糖になりますが、それによりインスリンが過剰に分泌され低血糖を起こすことがあります。これをダンピング症候群といいます。

ご飯はゆっくり食べたほうがよいとされるのも、実はこの病態から考えられているとされている説もあります。

甲状腺機能異常症の人

甲状腺機能亢進症の人は、消化管の動きが活発になりすぎて、腸から糖の吸収が促進が多くなるため、食後に一時的に血糖値が上がります。

それと共にインスリンが多量に分泌される為、反動で食後しばらくしてから低血糖状態になることもあります。

甲状腺機能低下の人は、消化管からの糖の吸収障害が起きる為、低血糖症状を起こすこともあります。

膵腫瘍

インスリノーマという膵臓腫瘍が隠れていることがあります。

これは膵臓にできる腫瘍で、インスリンという血糖を下げるホルモンが異常に分泌される低血糖を引き起こします。

原因がわからない低血糖症状において、精査するとインスリノーマが見つかるケースがあるので、注意が必要です。

低血糖の症状に似ている疾患

貧血

低血糖と貧血の症状は、どちらもめまいや倦怠感など似たような症状をみられますが、貧血は体を動かしているときに息切れが見られたり、赤血球が不足している為顔色が白くなっていたりします。

関連記事:貧血の種類や数値の基準を解説|病院での検査についてもご紹介

自律神経失調症

低血糖が慢性的に続くと自律神経が乱れる為、自律神経失調症の方と同じような症状が出現する事があります。

低血糖により交感神経が活発になりアドレナリンが出ることで動悸、冷汗、手足の震え、不安等を感じます。

関連記事:自律神経失調症のセルフチェック26項目!こんな兆候は危険かも?

低血圧

低血糖になると、体が危険を察知し緊急的に血糖値を上げる為のホルモンを分泌しますが、そのホルモンが血圧を下げる作用を持っている為、低血圧を招く可能性があります。

低血糖の対処法と予防法

甘い飲み物やブドウ糖で素早く補う

低血糖の症状が出現した際には、ブドウ糖10gまたは砂糖20gを摂取して血糖値を上げましょう。

甘い飲み物を200ml程飲むのも効果的です。

15分経過しても症状が改善しない時は、更に同じ位の量を摂取して下さい。

規則正しい食生活、食事の回数を増やして血糖の急落を防ぐ

1日3食を出来るだけ均等に分け、規則正しく食事を摂る事により、低血糖症状を防げます。

また食事の間隔が開いてしまう場合は、間食を摂って頂くことで低血糖になることを避けることが可能です。

食事と食事の間は4~5時間空けて規則正しく食べる事によって、血糖値を下げるインスリンが調子良く稼働されます。

朝食を抜かない生活を心がける

朝食を抜くと前日食事してから糖分を摂取しない時間が長くなる為、低血糖状態が起きやすくなり倦怠感や眠気が出やすくなります。

また朝食を抜くと、昼食を摂取した時に急激に血糖値が上昇する為、その際インスリンが多量に分泌されてしまい、食後しばらくしてから低血糖症状が起きることもあるため、朝食を抜かないようにしましょう。

空腹での激しい運動や飲酒を避ける

空腹時に激しい運動をすると、エネルギー消費により低血糖状態になりやすい為、注意しましょう。

また空腹での飲酒は前述したように低血糖を起こしやすい為、食事をしっかり摂って飲酒は控えめにするように心掛けましょう。

病院へ受診すべき低血糖の症状とは

以下などの症状があれば、一度内科を受診して低血糖による症状かどうか診断を受けることをお勧めします。

  • 異常に空腹感を感じる
  • 倦怠感がある
  • 動悸がする
  • 手の震えがある
  • 冷や汗がよく出る
  • ふらつきやめまいがある
  • 集中力が低下したり、ぼーっとする

横浜内科・在宅クリニックでできること

当院ではもちろん採血の検査から低血糖であることもわかりますし、低血糖になっている理由も含めて検査・治療をすぐに行うことができます。

低血糖は命にかかわる病気です。

当てはまる症状があれば、すぐに医療機関に相談してくださいね。

まとめ

今回は皆さんが良く知る低血糖についてお話させて頂きました。

ご飯を食べることの重要性をご理解いただいて、それでも症状に悩まされる場合は検査を行いに病院に受診することをお勧めします。

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 理事長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
・2025年 医療法人 幸龍家 理事長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者