心筋梗塞の危険な前兆と症状|後の生活や後遺症について
動脈硬化とは、心臓から全身に栄養を届ける血管である「動脈」が、様々な原因で硬くなることです。
この硬化は、糖尿病や悪い種類のコレステロールの影響を受けやすく、注意が必要です。
もし放っておくと、心臓の血管が詰まってしまい、心筋梗塞という病気が起こります。
心筋梗塞が起きると、心臓が止まってしまい死に至ることもあります。
今回はこの心筋梗塞の原因や、症状、後遺症などについて詳しく説明していきたいと思います。
心筋梗塞になる原因とは
心筋梗塞の主な原因は、「動脈硬化」と言われています。
動脈硬化というのは、血管の内側に悪い脂肪、特に「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」がたまって、血管が厚くなることです。
それが進むと、硬い「プラーク」と呼ばれるものができて、血管が狭くなったり、ふさがってしまったりすることがあります。
特に心臓に栄養を運ぶ動脈にプラークができてしまうと心筋梗塞が起きることがあります。
他にも心筋梗塞になる原因は様々なものがあります。
✅喫煙
タバコを吸うと、血液中の酸素が少なくなり、心臓が必要な酸素を受け取りにくくなります。
また、タバコに含まれるニコチンは、血管を狭くして血の流れを妨げます。
タバコそのものが血管に悪影響を与え、高血圧になることもわかっています。
✅高血圧
高血圧とは、血液を心臓から送る動脈の中の圧力が高くなることです。
この高い圧力が心臓に血液を送る冠動脈に負担をかけ、血管の壁に傷をつけてしまいます。
動脈硬化が進む原因になります。
✅高脂血症
特に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が多いと、血管の壁にプラーク(硬いもの)ができやすくなります。
それ以外にも中性脂肪が多いと、動脈硬化が進みやすくなります。
つまり、血液の中の脂肪が多いと、血管が詰まったり硬くなったりするということです。
✅糖尿病
血糖値が長い間高いままだと、血管が傷ついてしまい動脈硬化が進みます。
特に心筋梗塞のリスクが高くなることが分かっています。
つまり、血糖値がコントロールできないと、心臓の血管に問題が起きやすくなるということです。
✅肥満
太りすぎることは、高血圧や高脂血症、糖尿病などの他の危険な病気を引き起こしやすくするため注意が必要です。
つまり、体重が適切でないと、心臓のためによくないことがたくさん起こる可能性があります。
✅遺伝
もし家族の中に、心臓の病気を早くに発症した人がいる場合、それは遺伝的な要素が関係しているかもしれません。
心臓の問題は家族に遺伝してしまう可能性があります。
心筋梗塞の症状について
心筋梗塞はとても重い病気で、ひどくなる前に早く治療することがとても大切です。
心筋梗塞の初期のサインを正しく理解しておきましょう。
胸部の痛みまたは不快感
心筋梗塞の一番よくあるサインは、胸の痛みや気分が悪くなることです。
その痛みは、重いものが胸にのしかかっているような感じや、胸が絞められるような感じがすることがあります。
胸の中が熱くなったり、胸が不快に感じることと間違われることもありますが、通常、この痛みは数分以上続いて、休んでも治まらないことが特徴的です。
痛みの放散
心筋梗塞の痛みは、胸だけでなく、左腕や肩、顎、首、背中、そして右腕に広がることがあります。
特に左腕の痛みは、心筋梗塞の典型的な症状と言われています。
呼吸困難
心筋梗塞では、心臓が体中に十分な酸素を届けられなくなるので、急に息が切れることがあります。
それは、体力を必要とする活動をしていなくても起こることがあります。
その他の症状
他にも、心筋梗塞では汗をかいたり、吐き気や嘔吐・めまい・急に冷や汗をかいたりすることがあります。
また、原因が分からない疲れやだるさも感じることがあります。
不規則な心拍(心臓の鼓動の速さが変わること)や気を失うことも起こるかもしれません。
▶︎糖尿病の症状|低血糖・高血糖別の違いは?三大合併症についても
心筋梗塞かもしれない前兆チェック
胸の痛みまたは不快感 |
胸の痛みや気分が悪くなることが、心筋梗塞の一般的なサインです。 これは胸焼けと間違われることもありますが、特にストレスや運動中に痛みが強くなる場合は、心筋梗塞の可能性があります。 |
左肩、腕、あるいは顎への痛みの放散 |
心筋梗塞では、左肩や腕、そして顎に痛みが広がることがあります。 もし急にこれらの場所で痛みを感じたり、不快感がある場合はすぐに医者に連絡する必要があります。 |
息切れ |
心筋梗塞では、普段の活動中に急な息切れが起こることがあります。 これは、心筋梗塞が近づいている重要なサインとなることがあります。 |
その他の症状 |
その他の症状として、吐き気、冷や汗、頭痛、めまい、極度の疲労感などがあります。 |
心筋梗塞では、左肩や腕、そして顎に痛みが広がることがあります。
もし急にこれらの場所で痛みや不快感がある場合は、すぐに医師に連絡する必要があります。
心筋梗塞に気をつけるべき年齢・40代から注意が必要?
実は、年齢も心筋梗塞のリスクの1つになります。
年をとると血管が硬くなり、体の機能も少しずつ低下するので、心筋梗塞のリスクも高くなります。
統計によると、40代からそのリスクが大きくなりますが、40代未満の人たちは安心というわけではありません。
むしろ、若い時から生活習慣を見直すことで、40代以降のリスクを大幅に減らすことができます。
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動脈硬化を改善する食べ物・飲み物
動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の主な原因であり、生活習慣を改善すること、特に食事の改善がとても大切です。
今からその動脈硬化の改善に役立つ食べ物と飲み物について詳しく説明していきますね。
食べ物
1. 青魚
青魚には、心臓に良いとされるオメガ-3脂肪酸がたくさん含まれています。
たとえば、サーモンやマグロ、サバなどです。
これらの脂肪酸は、血液をサラサラにしてくれる効果があり、動脈硬化を予防します。
2. 全粒穀物
全粒穀物には食物繊維が豊富で、LDL(悪玉)コレステロールを減少させる効果があります。
オートミール、ブラウンライス、全粒パンなどを日々の食事に取り入れましょう。
3. 野菜と果物
野菜と果物は食物繊維と抗酸化物質が豊富で、動脈硬化を予防します。
特に、深い色の果物や野菜(ブルーベリー、いちご、ほうれん草、にんじんなど)には、健康に良い抗酸化物質が含まれています。
4. オリーブオイル
オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸は、心臓にとってとても役立つ成分であり、悪玉コレステロールの数値を下げる効果があります。
5. ナッツ
ナッツ類(アーモンド、ウォールナッツ、ピスタチオなど)には良質の脂肪、食物繊維、ビタミンEが含まれており、心臓の健康をサポートします。
飲み物
1. 緑茶
緑茶に含まれるカテキンは強力な抗酸化作用があり、動脈の健康を保つ効果があります。
2. 赤ワイン
赤ワインに含まれるレスベラトロールは、適度な量で摂取すると動脈硬化のリスクを減らすことが研究でわかっています。
ただし、アルコールはたくさん飲みすぎると体に悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
赤ワインを飲む場合は適度な量を心がけましょう。
これらの食べ物と飲み物を日々の食事に取り入れることで、動脈硬化のリスクを減らし、心血管系の健康を保つことができます。
ただし、食事だけでなく、適度な運動やストレスの管理も重要です。
また、高血圧や高コレステロールなどの病状がある場合は必ず医師の指導に従ってくださいね。
▶︎高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?
心筋梗塞になった後の生活や後遺症について
実際に心筋梗塞になった方がどのような生活を送るかについてお話しします。
もし心筋梗塞が生じた場合、程度によっては急死することもある病気です。
一命をとりとめるため、カテーテル治療という一分一秒でも早く血管を開通させるような治療を行います。
このカテーテル治療ですが、ステントと呼ばれるトンネルのようなものを挿入して、血流を開通させます。
異物が入ると人間の体は不思議で、その場所に血栓といった血の塊をつくるようになります。
これが放っておかれると血管が再度詰まってしまい、心筋梗塞を起こすことにつながります。
そのため、抗血栓薬・抗血小板薬・抗凝固薬などと呼ばれる『血液をサラサラにする薬』をステント手術を行った方は一生飲み続ける必要があります。
また心臓の機能を落ちているため、少し歩くだけでも息切れを起こす方もいます。
なので心臓リハビリテーションといった、心臓にとって安全な運動などを行うリハビリも必要です。
再発しないような、食事の改善、適度な運動なども必要になります。
大切なのは再発しないための定期的な通院です。
後遺症として、心臓の機能が落ちてしまい心不全といった状態を引き起こしたり、うまく心臓が動かない不整脈といった状態を引き起こしたりします。
どの程度の心不全や不整脈が後遺症として残るかは、実際になってみないとわからないことも多々あります。
心筋梗塞にならないための予防対策
予防するためには、生活習慣病と呼ばれる病気にかからないことが重要です。
具体的には、高血圧や高脂質血症、糖尿病にならないようにすることです。
これには、適切な食事や運動が欠かせません。
健康な状態を保つために、定期的に病院に通うことも必要です。
横浜内科・在宅クリニックでの対応方法
当院では、まず生活習慣病の予防的な治療に力を入れています。
患者さん一人ひとりの状態をしっかり把握し、心筋梗塞などの病気にならないように管理します。
この管理を怠ると、いつ病気の症状が出るかわからないので、私たちは責任を持って対応します。
また、胸の痛みで受診された場合、緊急の場合はすぐに救急車で適切な医療機関にご案内します。
横浜内科・在宅クリニック院長 朝岡が実際に経験した例!
実際に心筋梗塞になったら、1分1秒でも早く治療を行う事が生命予後に関わってきます。
僕が救急医時代に心臓の超音波検査を行い、診断に至った例も経験しました。
循環器内科医はいつ運ばれてくるか分からない胸痛患者のために、いつでもすぐに駆け付けられるように病院内に待機している先生も少なくありません。
心筋梗塞の治療によって後遺症が残らなかった方は、その循環器内科医の医師としての覚悟に救われているといっても過言ではありません。
まとめ
今回、心筋梗塞の原因や、予兆、初期症状、後遺症などについてについて詳しくお話ししました。
心筋梗塞はとても怖い病気で、急に亡くなることもあります。
まずは心筋梗塞にならないようにすること。
予防することが特に大切なので、生活習慣病がある人は特に気をつけてください。
参考文献
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者