メタボリックシンドロームの診断基準は?原因や改善方法を解説

メタボリックシンドローム

現代社会において、生活習慣の変化や食生活の欧米化などが進み、慢性疾患が増加しています。

その中でも、注目されるのがメタボリックシンドロームです。

メタボリックシンドロームは、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症など、複数の代謝異常が同時に存在する状態を指します。

この症候群は、心血管疾患や糖尿病、脳卒中などのリスクを増加させるだけでなく、健康に対する深刻な脅威となっています。

本記事では、メタボリックシンドロームについてその診断基準や原因などを解説します。

メタボリックシンドロームとは?

メタボリックシンドロームと聞くと、太っている状態をイメージする方が多いのではないでしょうか?

実は、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症などの複数の代謝異常が組み合わさることで、心臓病や脳卒中、糖尿病などの疾患になりやすい状態を指します。

生活習慣病の一つであり、肥満や運動不足、食生活の乱れなどが原因となることが多いです。

早期発見と予防が重要であり、健康的な生活習慣と定期的な健康診断が推奨されています。

関連記事:知ってほしい脳卒中の危険な前兆・症状や脳梗塞との違いは?

メタボリックシンドロームの診断基準

メタボリックシンドローム

日本では、以下の状態で「メタボリックシンドローム」と診断されます。

  • ウェスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm女性90cm以上
  • かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れている

メタボリックシンドロームの原因は?

生活習慣の乱れ

メタボリックシンドロームの主な原因の一つは、生活習慣の乱れです。

健康に良くない食生活や運動不足、ストレスの多い生活などが挙げられます。

これらの要因が組み合わさると、肥満や代謝異常が引き起こされ、メタボリックシンドロームが発症するリスクが高まります。

暴飲暴食

過剰な飲酒や食事の摂取もメタボリックシンドロームの原因となります。

高カロリーな食品や糖分の多い飲料を過剰に摂取することで、肥満や高血糖、高脂血症などの代謝異常が引き起こされます。

運動不足

運動不足もメタボリックシンドロームの原因の一つです。

運動不足によって体内のエネルギー消費が不足すると、脂肪が蓄積されやすいです。

また、運動不足は血糖値やコレステロール値の上昇にもつながります。

体質

一部の人は、遺伝的な要因によってメタボリックシンドロームになりやすい体質を持っている場合もあります。

親や祖父母などの家族に糖尿病や高血圧などの生活習慣病を持っている場合、自身もリスクが高まる可能性があります。

関連記事:糖尿病の症状|低血糖・高血糖の違いは?三大合併症についても

メタボリックシンドロームの改善方法は?

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは心血管疾患や糖尿病にもつながりますが、「食生活」「運動習慣」「生活習慣」を見直すことによって、改善することが出来ます。

食生活の改善

適正なカロリー摂取

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームの食事改善1つ目のポイントは、1日の必要摂取カロリーを知ることです。

以下の方法で自身の必要摂取カロリーを計算してみましょう。

①身長(m)×身長(m)×22(BMI)=標準体重

②標準体重×身体活動レベル=必要摂取カロリー

身体活動レベルは低い~普通~高いの以下の3段階があります。

  • 低い(デスクワークの方や、主婦) 25~30kcal
  • 普通(立ち仕事の方) 30~35kcal
  • 高い(力仕事の方)35~40kcal

例)身長170㎝の方の計算は以下の通りです。

1.7×1.7×22=63.58(㎏-標準体重)

身体活動レベルが低い場合の必要摂取カロリーは1589~1907kcal、

身体活動レベルが高い場合の必要摂取カロリーは2225~2543kcalになります。

必要摂取カロリー内で食事をすること、またよく噛んで腹八分目までにすることが大切です。

栄養バランスの良い食事

こちらも食生活の改善としては基本的な事ですが、緑黄色野菜や食物繊維を積極的にとり、糖質や脂質をとりすぎないといった栄養のバランスを意識することも大切です。

以下を参考にバランスの良い食事を目指しましょう。

  • 主食:ごはん・パン・麺類などエネルギー源となるもの
  • 主菜:肉・魚・卵・大豆製品など、たんぱく質を多く含むもの
  • 副菜:野菜・このこ、海藻など、ビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含むもの

夜間の食事

夜は、寝るまでの時間が短く活動する量も減る為、エネルギーの消費が日中に比べ少ないです。

また人間のDNAに結合している「BMAL1(タンパク質)」には、脂肪細胞を作るために必要な酵素を増やす働きがあります。

BMAL1は午後10時~午前2時の分泌量が、昼の20倍になるため、21時以降に夕食や夜食を摂取すると脂肪細胞が増えやすくなってしまいます。

そのため、夜間の食事は避け、夕食も早めに摂取するほうが良いと言えるでしょう。

運動習慣の改善

メタボリックシンドローム

有酸素運動の実践

メタボリックシンドロームを予防する運動として効果があると言われるのが、有酸素運動です。

有酸素運動とは、一定時間筋肉に負荷をかける運動のことで、体内に酸素を取り入れて体脂肪を燃焼させることができます。

有酸素運動は30分以上続けることが必要と言われています。

普段運動しない方は、ウォーキングやジョギングなど、体に負担の少ないことから始めてみましょう。

日常生活での活動量増加

運動の習慣がない人は、日常生活の中にちょっとした運動を取り入れてみるのもいいかもしれません。

マイカー通勤から自転車通勤にしてみる。

エレベーターではなく階段を使ってみる。

など少しずつ運動する習慣をつけてみてください。

生活習慣の改善

メタボリックシンドローム

十分な睡眠

睡眠が不十分だと、食欲促進ホルモンが増加し、食欲抑制ホルモンが減少するなど、体内のホルモンバランスが乱れ、結果としてメタボリックシンドロームを招きます。

十分な睡眠をとる事もメタボリックシンドロームの改善には大切です。

ストレス管理

ストレスを感じると、多くの人が不健康な食習慣に走りがちです。

ストレスが高まると、食べ過ぎや不健康な食品の摂取が増え、それが肥満や高血糖などのメタボリックシンドロームのリスク因子となります。

ストレスをためないためにも、休養を取ったり、適度な運動を行うなどの自身に合ったストレス解消法を行ったり、ストレスの受け止め方を変えたり、生きがいをもつことなどもストレス管理に役立ちます。

禁煙

喫煙は、メタボリックシンドロームの要因となる、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症などの疾患になりやすいというリスクがあります。

また、メタボリックシンドロームの患者が喫煙をしていることは、非喫煙者に比べ心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患の発症が男性で約3.6倍、女性で約4.8倍高いという調査結果もありました。

喫煙は、メタボリックシンドロームだけでなくさまざまな疾患のリスクなどがあります。

一日でも早く禁煙することが健康のための第一歩となるでしょう。

メタボリックシンドロームを予防するには

食事生活の改善、運動習慣の改善、生活習慣の改善はいずれもメタボリックシンドロームの予防にも繋がります。

食事や生活習慣が乱れることで、身体のホルモンバランスが崩れ、さらなる暴飲暴食や睡眠不足などがすすみメタボリックシンドロームの発症リスクを上げるという悪循環に陥ります。

これら3つの改善はメタボリックシンドロームを改善するうえでも予防する上でも重要なことです。

まずは、取り入れやすいことから取り入れて悪循環を断ち切っていきましょう。

関連記事:生活習慣病って何種類あるの?予防対策や検診についても紹介

横浜内科・在宅クリニックでできる対応

メタボリックシンドローム

横浜内科・在宅クリニックでは、メタボリックシンドロームという診断を行うとは出来ませんが、血液検査やエコーなどの結果からお薬の処方や対応策をご提案できます。

必要であれば、他医療機関への紹介など行っております。

メタボリックシンドロームではなくても別の病気が隠れている場合もありますので、まずはお近くのクリニック、横浜市内であれば横浜内科・在宅クリニックへご相談ください。

【まとめ】メタボリックシンドロームの予防は生活習慣から

メタボリックシンドロームは、心臓病や脳卒中、糖尿病などの疾患にもつながります。

一方、生活習慣病と言われるように、日々の生活習慣の改善によって治るものでもあります。

食事の管理や適度な運動といった普段の生活習慣の改善が効果的です。

メタボリックシンドロームは急になることはありませんが、急に治る事もありません。

毎日の少しの積み重ねで改善していきます。

自分のペースで少しずつ生活習慣を変えていきましょう。

参考文献

睡眠不足がメタボを招く?!

厚生労働省

メタボリックシンドロームの食事改善ポイント~予防対策と献立のヒント~

メタボ予防・改善の食生活

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者