川崎病とは?動脈瘤や心筋梗塞を引き起こす疾患

皆さんは、「川崎病」という病気をご存じでしょうか。

小さい子どもに多く見られる病気であるため、お子様をお持ちの方なら耳にしたことのある方もいらっしゃるかと思います。

今回は、時として命にも関わる病気「川崎病」について解説していきます。

川崎病とは

川崎病は、小児科医である川崎富作という医師が最初に報告したことからその名がつけられた原因不明の病気です。

4歳以下の子どもに多く見られ、全身の血管に炎症が起こる事です。

下記の6つの主要な症状が出ます。

  • 高熱
  • 両側の充血
  • 真っ赤な唇と苺のようにブツブツの舌
  • 不定形発疹
  • 手足の腫れ
  • 首のリンパ節の腫れ

定型川崎病

川崎病の特徴的な6つの症状のうち、5つの症状が見られた場合と、4つの症状しかみられないが冠動脈に「こぶ」がみられた場合には、定型川崎病と診断されます。

不全型川崎病

川崎病の症状がそろっているわけではないが、他の病気ではないと判断された場合には不全型川崎病とされています。

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川崎病の原因

先述したように、川崎病の原因は未だに不明なままですが、昔からさまざまな説が論じられてきました。

近年は、流行期があったことや細菌・ウイルス感染が減少する9~11月にかけて川崎病発生頻度も減少します。

そのことから、カビ、細菌、ウイルスなどの病原微生物の体内への侵入が、過剰な免疫反応の引き金となり、起こっているのではないかという考え方が主流となってきています。

また、ヨーロッパ諸国に比べて日本人が約10~20倍多く発症していることから、遺伝的な要因もあるのではないかという考え方もあります。

川崎病の症状

高熱

38℃以上の高熱が5日間以上続きます。

両側の充血

白目の部分(眼球結膜)が赤く充血します。

真っ赤な唇と苺のようにブツブツの舌

唇が赤くなったり、乾いてひび割れます。

舌はイチゴ状に赤くなります。

不定形発疹

じんましんの方な発疹が出てきます。

更にBCG接種した部位が赤く腫れることがあります。

手足の腫れ

手のひらと足の裏が紫がかった赤色に腫れることがあります。

熱が下がった頃から手足の指先から皮がむけていきます。

首のリンパ節の腫れ

リンパ節が赤く腫れますが、膿んだりはしません。

抗生剤を使っても良くならない場合は川崎病の可能性があります。

他にも関節痛や下痢、腹痛などの症状が現れます。

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川崎病の後遺症

血管炎

血管炎とは、その名の通り何らかの影響で血管が炎症を起こしている状態のことを指し、虚血、壊死、臓器の炎症を伴う場合があります。

冠動脈瘤

冠動脈瘤とは、冠動脈に炎症が起き、血管の壁が血圧に耐えられなくなることで、一部が膨らんで瘤のようになる症状です。

大動脈から冠動脈に枝分かれする部分に瘤ができやすいです。

心筋梗塞

心筋梗塞とは、冠動脈の一部が完全に塞がることで、その先の器官が機能しなくなる状態を言います。

冠動脈瘤ができると、血流が悪くなるため「血栓」ができやすくなります。

川崎病はうつる?

川崎病の原因は分かっていません。

男児が女児よりも1.3倍程度多く発病していたり、地域的な流行がみられたりすることがありますが、現在は人から人へうつる病気とは考えられていません。

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川崎病の治療について

免疫グロブリン療法

免疫グロブリン製剤という全身の炎症を抑える薬を静脈内に点滴することで、冠動脈瘤ができるのを防ぎます。

約1日かけて点滴で注入します。

80~90%の患者さんは1回の投与で熱が下がりますが、2回目の投与が必要な患者さんもいます。

アスピリン療法

アスピリンという血管の炎症を抑えたり、熱を下げたり、血液を固まりにくくする薬を内服する治療法です。

こちらも、冠動脈瘤ができるのを防ぐ効果があります。

約2~3か月服用を続け、免疫グロブリンとの併用により、数日以内に熱が下がり、ほかの症状も治まるので、冠動脈瘤も予防することができます。

副作用として出血時に血が止まりにくくなることがあります。

ステロイド療法

主に免疫グロブリンを投与しても、熱が下がらず、症状が改善しない患者さんへ、全身の炎症を抑える為に行います。

はじめは点滴から開始し徐々に内服治療へ移行します。

退院後の生活は、冠動脈に後遺症がなかった場合でも予防的に2〜3か月内服を続ける必要がありますが、日常生活で気をつけることは特にありません。

後遺症として冠動脈瘤が残った場合は、血を固まりにくくする治療がしばらく続きます。

その他の治療

上記の治療で症状が改善しない時は、好中球エラスターゼ阻害剤、シクロスポリンの投与、血漿交換といった処置を行うこともあります。

まとめ

かつて、川崎病はかかってしまうと亡くなってしまう恐ろしい病気でした。

しかし、現在は治療法が確立されていること、冠動脈瘤の早期発見ができることで亡くなるリスクが大幅に下がっています。

特に、原因不明の熱が続く場合には、熱以外に川崎病に特徴的な症状がないか十分に気をつけ、普段のお子さんの様子と様子が違うと感じた場合は小児専門の医療機関を受診するようにしましょう。

参考文献

川崎病ってどんな病気?【小児科医が解説】

川崎病

小児科の病気:川崎病

どんな合併症があるの?

川崎病とは?原因、症状、治療法について解説

子どもに多い川崎病