花粉症に効く注射とは?費用や効果を解説
今年もたくさんの人が苦しむ花粉の季節がやってきました!
鼻水・鼻詰まり・くしゃみ・目のかゆみetc…
花粉症の症状は多岐にわたります。
今回は、そんな花粉症に対する注射の種類と効果や、費用などについて詳しく解説していきます。
毎年花粉症で悩まれている方も、そうでない方も是非参考にしてみてください。
花粉症注射の種類と効果
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは、患者様のアレルゲンを少量ずつ投与し体を慣らしていく治療法です。
花粉症の他、アレルギー性鼻炎や、気管支喘息などの治療に用いられます。
アレルゲン免疫療法には『舌下免疫療法』と『皮下免疫療法』の2つがあります。
『舌下免疫療法』とはアレルゲンである薬を毎日舌ベロの下に薬を置くことで免疫を継続的に反応させ続けることで、後に花粉の季節が来ても、ほとんど症状がでなくなります。
また、『皮下免疫療法』とは舌下免疫療法と同様の作用で、免疫反応を変化させますが、錠剤ではなく、皮下に注射を行います。
注射をする頻度は医療機関によって様々ではありますが、数か月に1回病院に受診するのみで大丈夫といったメリットはあります。
治療期間は3~5年と長く、治療を開始したほとんどの人は花粉症の季節が来た際に治療効果を得られているとの実感があるようです。
また長年治療を続けることで、治癒または寛解が望めます。
関連記事:花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?
ステロイド(花粉症ブロック)注射
免疫制御剤(ステロイド)の筋肉注射を行うことで数か月の間花粉症の症状を強力に抑えます。
即効性があり、1回の注射で症状が抑えられます。
昔はこの治療は推奨されていましたが、現在は色々な箇所でているガイドラインからも推奨されないとなっております。
原因としてはステロイド剤を体内に長期的に残るため、効果があるのですが、このステロイドの副作用が懸念されるためです。
ステロイドの副作用としては、感染症、胃潰瘍などの消化器系の潰瘍、糖尿病、緑内障、生理不順、満月様顔貌(顔が丸くなる現象:ムーンフェイス)などがあります。
ノイロトロピン注射
様々な花粉症の症状を抑えることのできる注射になります。
ノイロトロピン注射の効果が出るまでに3~4週間程度要します。
効果には個人差が出るため、医師と相談して治療を行う必要があります。
ヒスタグロビン注射
アレルギー反応を引き起こすヒスタミンという物質の働きを抑え、花粉症やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの疾患の症状を抑える注射です。
上記で説明したノイロトロピン注射と同時に接種する場合もあります。
週1~2回程度の投与を計6回、1ヶ月前後で治療は終了します。
関連記事:花粉で喉が痛い・咳が止まらない時の対処法|インフルエンザとの違いは?
ゾレア皮下注射
IgEという、アレルゲンと結合することでアレルギーを起こす抗体の働きを抑えます。
花粉症の他、アレルギー性鼻炎や、蕁麻疹、喘息発作などの治療に使用されます。
接種後、数日~2週間程度で効果が出始め、1ヶ月程度は持続すると言われています。
花粉症注射の費用
アレルゲン免疫療法 | 3割負担 1ヶ月2500~3000円程度 |
ステロイド(花粉症ブロック)注射 | 保険適用外(自由診療)1回5000円程度 |
ノイロトロピン注射 | 3割負担 初診 1回1000円程度 再診 1回500円程度 |
ヒスタグロビン注射 | 3割負担 初診 1回1200円程度 再診 1回6~700円程度 |
ゾレア皮下注射 | 3割負担 1ヶ月あたり17500円程度 |
ノイロトロピン注射とヒスタグロビン注射を併用する場合、初診 1回1300円程度、再診1回800円程度です。
また、ゾレア皮下注射は、薬価がとても高額なため、治療費が高額になる場合があります。
治療費が高額になった場合、高額医療助成制度で払い戻しが受けられる場合があります。
関連記事:花粉による肌荒れはなぜ起きる?|原因やスキンケア対策を解説
花粉症注射の副作用は?
アレルゲン免疫療法
アレルゲンを投与する治療方法のため、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
重篤な場合には、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性もあります。
その他、のどや耳のかゆみ、じんましん、口内炎、口の中の腫れなどを引き起こす場合があります。
ステロイド(花粉症ブロック)注射
長期的に治療を続けると副作用が起きやすくなります。
代表的なものとして感染症、消化器の潰瘍、高血圧、緑内障、糖尿病、生理不順などがあります。
ノイロトロピン注射
ノイロトロピン注射の副作用として、発疹、かゆみ、喘息発作、眠気などがあります。
ヒスタグロビン注射
ヒスタグロビン注射の主な副作用として、発疹、じんましん、喘息発作、一時的な鼻症状、咳、呼吸困難などがあります。
ゾレア皮下注射
主な副作用として、注射部位の赤みや腫れがあります。
アナフィラキシーが副作用として出る場合もあります。
どの注射も副作用があります。
花粉症の注射を希望する場合は副作用も考えて医師と相談して選択を行いましょう。
花粉症の注射は保険が適用される?
費用で解説した通り、保険適用と自由診療の2種類があります。
保険が適用されるかどうかも検討する際には一つの判断材料として考えていただくのが良いのではないでしょうか?
関連記事:花粉で目がかゆい時に使う目薬の適切なタイミングや正しい使い方を解説
花粉症の注射は何科で受ければいい?
花粉症の注射治療を行う医療機関は少ないと思われます。
理由としては、まずはゾレア注射に関しては高価な薬剤であり、大きな病院での対応がほとんどだからだと思います。
また他の注射剤は保険適応があるものの、昔からある療法であり、現在第一に推奨されていないことからも、対応しているクリニックは少ないかと思います。
なので標榜科に関しては内科・耳鼻科ももちろんありますが、様々な標榜科で行われています。
花粉症の治療方法は注射だけでなく、様々な治療方法があります。
どの治療方法が良いのか、患者様だけではわからない部分も多くお困りかと思います。
どこのアレルギー科や、耳鼻咽喉科に受診していいかわからないということであればかかりつけ医から紹介してもらうという事も可能です。
当クリニックでも、専門医へのご紹介を行っていますのでお気軽にご相談ください。
横浜で花粉症の相談なら横浜内科・在宅クリニックまで
当クリニックでは、花粉症の注射治療は行っていませんが、舌下免疫療法による花粉症治療を行っています。
症状に対する、抗アレルギー(抗ヒスタミン)薬の処方や、目のかゆみでお悩みの方へは目薬の処方、肌のかゆみでお悩みの場合は保湿剤や軟膏の処方も行っています。
必要に応じて専門医への紹介も行っていますのでお気軽にご相談下さい。
まとめ
今回は、花粉症に対する注射の種類と効果や、費用などについて解説しました。
いかがでしたでしょうか?
毎年この時期は花粉症の方にとってとても辛いですよね。
花粉症の方々が少しでも楽に春を乗り切れるように、花粉症治療の選択肢もたくさんあります。
たかが花粉症くらいで…
と思われるかもしれませんが、花粉症が原因で集中力の低下や、疲労感を感じることもあるため、治療で少しでも改善していく事が大切です。
この記事が花粉症の方々の一助になればと思います。
参考文献
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会|2021年版アレルギー性鼻炎ガイド
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者