片頭痛の原因や治し方を解説|おすすめの市販薬も紹介

雨が降った時などの急な頭痛を経験したことがある人もいるかと思います!
多くの人が一生のうちに一度は片頭痛を経験し、その痛みや不快感から日常生活に支障をきたすことがあります…
今回は、片頭痛の原因や治し方について詳しく解説していきます!
片頭痛とは?

血管が拡張することでズキズキした拍動性の痛みが生じるのが片頭痛です。
主にこめかみから目の辺りが発作的に痛み、痛みの発作は4時間~数時間続きます。
片側に現れることが多いですが、両側から痛むこともあり、痛みが生じると光や音、においに敏感になるのが特徴です。
女性ホルモンと関係があるため女性に多く、20~40代の女性に起こりやすい頭痛とも言われています。
関連記事:こめかみの頭痛が1週間続くときの原因は?|治し方を解説
片頭痛の原因について

片頭痛の約75%の人は特定の原因によって頭痛が引き起こされます。
頭痛を誘発したり、悪化させたりする原因を避けて日常生活を送ることで、片頭痛の発作予防につながります。
発作の原因がわからない場合は「頭痛ダイアリー」を使うと便利です。
頭痛の記録をすることで、どんなときに頭痛が起きているかを把握することができます。
頭痛ダイアリーは日本頭痛学会のホームページで手に入れることができるのでこちらからどうぞ!
ホルモンバランスの変化
片頭痛は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量の変動によっても起こります。
月経開始の2日前から月経3日目までの期間や排卵期にはエストロゲンの量が変動するため、頭痛が起こりやすくなります。
月経に関連した片頭痛は「月経時頭痛」と呼ばれ、それ以外の片頭痛より頭痛がひどく、持続時間が長いことが特徴です。
月経3回のうち2回以上、月経開始2日前~3日までで頭痛が起こる場合を「純粋月経時片頭痛」と呼ばれます。
それ以外の月経期間で頭痛が起こる場合を「月経関連片頭痛」と呼ばれ、いずれも治療法は片頭痛と同じです。
妊娠中はエストロゲンの変動がないため片頭痛の発作が一時的に起こらなくなります。
一般的には妊娠した人の60-80%の人の片頭痛が改善しますが、出産後1ヶ月以内に再び片頭痛が起こるようになります。
女性ホルモンの影響で起こる片頭痛は、閉経後は改善することが知られていますが、これはエストロゲンの変動がなくなるためと考えられます。
ストレスと疲労
片頭痛の大きな原因はストレスです。
片頭痛の人のうち約60%の人がストレスがある時に頭痛が起こると感じ、25%の人がストレスから解放されたときに頭痛が起こると感じています。
休日になると頭痛が多くなるのは、平日の緊張が急に解ける影響もあります。
毎日の生活でストレスを溜め込まないように、自分に合ったリラックス方法をいくつか持っておくことも有用です。
食事や空腹の影響
片頭痛は食事の影響を受けることがあります。
また、空腹も片頭痛を引き起こすきっかけになることも…
血糖値の低下が片頭痛の原因になるため、規則正しく食事をとるようにしましょう。
食事以外にアルコールが片頭痛を引き起こすことがあります。
特に赤ワインは片頭痛発作を誘発しやすいとして有名です。
とはいえ、すべての人が赤ワインを飲んで片頭痛を引き起こす…というわけではありません。
赤ワインに含まれている成分のうち、痛みに関連するヒスタミン、血管拡張作用のあるアルコールやポリフェノールが痛みを誘発する原因ではないかと考えられています。
その他に片頭痛の原因として知られている食品は次の通りです。
- 亜硝酸化合物が含まれるもの
ベーコン、ソーセージ など
- グルタミン酸ナトリウムが含まれるもの
調味料、ファーストフード、スナック菓子、冷凍食品 など
- チアミンが含まれるもの
チョコレート、ココア、チーズ など
柑橘類、みかん、グレープフルーツ など
防腐剤として使われている亜硝酸化合物が含まれるベーコンやソーセージなども誘発の原因になります。
また、調味料などに含まれるグルタミン酸ナトリウムや、チアミンなどのアミンを含む食物も誘発因子として知られています。
これらの食物が実際に片頭痛発作を誘発するかは個人差があり、いつも同じ食品で片頭痛が起こるとも限りません。
食べた時の状況や、いくつかの要因が重なった場合に片頭痛発作が起きるのではないかと考えられています。
ですので、これらの食品についてあまり神経質に制限しないでバランスの良い食事を心掛けてください。
環境要因
環境の変化も頭痛のきっかけになります。
一つずつ見ていきましょう。
旅行
旅行は楽しいものですが、普段と違う環境に身を置くことで疲れやすくなったり、あるいは日常のストレスが一気に解放されたり、不規則な生活になったりすることがあります。
このようなさまざまな要因が重なると片頭痛を引き起こすことがあります。
片頭痛を引き起こさないためには、体調を整えて旅行にいくとともに片頭痛の原因がわかっていれば避けることが重要です。
匂い
人ごみ、化粧品売り場、喫煙所など、においが強いところは片頭痛が起こりやすいため気をつけてください。
人の多いところや匂いが強いところへの外出は避けるか、頭痛薬を持ち歩く、体調が悪くなったらすぐ帰宅するなどで対応してみてください。
強い光
コンサート会場や映画館などの強い照明、まぶしい日差し、夏の海などの炎天下も誘発因子になります。
天気のいい日はサングラスをつけて外出するなど心掛けてみてください。
物理的要因
片頭痛は、台風や梅雨などの低気圧の時に起こりやすくなることがあります。
気圧の急激な変動が片頭痛を誘発しているのではないかと考えられています。
台風や梅雨などは避けることができません。
なので天気予報を確認して頭痛薬を持ち歩くなど、頭痛にすぐに対処できるようにしておいてください。
また、温度差も片頭痛の原因になると考えられています。
体が温まった時に片頭痛が起きやすく、例えば以下の状況が挙げられます。
- 夏に冷房の効いた部屋から外へ出た時
- 寒い冬に暖かい部屋に入った時
- 熱いお風呂に入った時
温度差を緩和するために、冷房の効いた屋内では羽織ものを着るなど温度調整のしやすい服装を心掛けてみてください。
片頭痛の治し方は?

片頭痛の治療では頭痛発作が起きた後に頭痛発作に対処する治療と、頭痛発作が起こらないようにする予防治療があります。
ここでは、頭痛発作が起きた後に行う治療について説明します。
頭痛発作に対処する治療では、市販薬で対処する方法と病院を受診して処方してもらう薬で対処する方法があります。
痛み止め薬の使用
「痛み止め」と呼ばれる薬には、アセトアミノフェンやNSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬)があり、処方薬のみではなく市販薬の成分としても使われています。
頭痛の程度が軽い場合には市販薬で対処できることもありますが、頭痛が慢性的にある場合には医療機関を受診しての治療が望ましいです。
通常の痛み止めでは痛みが抑えられない場合には、トリプタン製剤やエルゴタミン製剤が用いられます。
安静にする
歩いたり階段を登るなどの日常動作で片頭痛の痛みが悪化することが知られています。
片頭痛発作が起きた場合には薬を飲んでから安静にしてください。
横になれない場合には、しばらく座っているだけでも効果があります。
こめかみ付近を冷やす
頭(こめかみの脈を打つ部分)を冷やすことで片頭痛の痛みを軽くすることができる場合もあります。
発作時には市販の冷却シートなどを用いて、頭を冷やしてみてください。
関連記事:後頭部頭痛の原因は?ズキズキとした痛みや吐き気は危険?
片頭痛におすすめの市販薬を紹介
■ロキソニン®S

処方薬としても広く使われている、NSAIDsのロキソプロフェンナトリウムを主成分とした薬です。
NSAIDsのなかでも比較的高い消炎鎮痛効果が期待でき、頭痛以外にも生理痛、関節痛、発熱時の解熱など多くの用途で使われています。
市販薬としては「ロキソニン®S」の名称でさまざまなシリーズが発売されています。
「ロキソニン®S」はロキソプロフェン単独成分の薬ですが、胃粘膜保護成分などがプラスされているものもあるので紹介いたします。
- ロキソニン®Sプラス
胃を守る成分(胃粘膜保護成分)として酸化マグネシウムがプラス - ロキソニン®Sプレミアム
ロキソプロフェンナトリウムおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(胃粘膜保護成分)に加えて、鎮痛補助成分であるアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインを含むことで鎮痛効果の増強などが期待できる
なお、ロキソプロフェンナトリウムは「ロキソニン®Sシリーズ」以外にも市販の鎮痛薬の成分として使われていて、「バファリンEX」「エキセドリンLOX」など比較的多くの薬が販売されています。
内服薬(飲み薬)としての市販のロキソプロフェンナトリウム製剤はいずれも第一類医薬品に分類される医薬品で、薬局やドラッグストアなどの店頭で購入する場合は薬剤師からの情報提供などが必要な薬になっています。
■イブ®

「イブ®」はNSAIDsのひとつであるイブプロフェン(処方薬としての主な商品名:ブルフェン®)を主な鎮痛成分とする薬です。
「イブ®」はイブプロフェン単独成分の薬ですが、他にも特徴をもったシリーズもあります。
- 「イブ®A錠」、「イブ®A錠EX」
イブプロフェンの他に鎮痛補助成分であるアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインを含み、鎮痛効果の増強などが期待できる
- 「イブクイック®頭痛薬」、「イブクイック®頭痛薬DX」
頭痛の速やかな緩和を主な目的として造られた薬で、イブ®Aシリーズの成分にさらに酸化マグネシウムを配合し、鎮痛成分の吸収を速めるとともに胃粘膜保護作用をプラス
■ノーシン

「頭痛にノーシン」などのフレーズもあるように、市販薬のなかでも頭痛によく使われている痛み止めのひとつです。
ノーシンシリーズに多く使われているのはアセトアミノフェンという鎮痛成分です。
アセトアミノフェンはNSAIDsとは少し異なるしくみで痛みや熱などを和らげる薬であり、比較的安全性の高い解熱鎮痛成分とされています。
- 「ノーシン」、「ノーシン錠」
アセトアミノフェンに加えてカフェイン水和物とエテンザミドという鎮痛効果の増強が期待できる成分が配合
ノーシンをあらわす形容詞として「ACE処方」という言葉が使われていますが、この場合の「ACE」とは「A:アセトアミノフェン、C:カフェイン、E:エテンザミド」の頭文字を合わせたものです。
ちなみに高血圧治療や片頭痛予防などで使われる薬剤(処方薬)としてACE阻害薬と呼ばれるものがありますが、こちらの「ACE」は「アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme)」を略した言葉を由来とし、ノーシンなどに使われている「鎮痛薬のACE処方」とは関係ありません。
なお、ノーシンシリーズには先ほどの「イブ®」で登場したイブプロフェンを主成分とする薬もあります。
- 「ノーシンエフ200」
1カプセル中にイブプロフェンを200mg含む薬 - 「ノーシンアイ頭痛薬」
イブプロフェンとアセトアミノフェンの配合剤
■バファリン

現在、10種類以上の市販薬が発売されているバファリンシリーズですが、薬によって含まれる鎮痛成分もさまざまです。
「バファリンA」はシリーズのなかでも基本というべき薬のひとつで、NSAIDsのアスピリン(アセチルサリチル酸)が主成分です。
〔ちなみに処方薬のバファリン(バファリン配合錠A330など)もアスピリンを主成分としていますが、特に低用量の規格(バファリン配合錠A81)は主に鎮痛薬としてではなく抗血小板薬(血液をサラサラし血栓症などを予防する薬)として使われています〕
バファリンシリーズの中でも薬によって主成分が変わってくるので、見てみましょう。
- 「バファリンルナi」
イブプロフェンとアセトアミノフェンの2種類の鎮痛成分に加え、無水カフェイン(鎮痛補助成分)と乾燥水酸化アルミニウムゲル(胃粘膜保護成分)が配合されていて鎮痛効果の増強などが期待でる
- 「バファリンプレミアム」
イブプロフェン、アセトアミノフェン、無水カフェイン、乾燥水酸化アルミニウムゲルにアリルイソプロピルアセチル尿素(鎮痛補助成分)を加え計5種類の成分を配合した薬 - 小児用バファリンCII
主に子ども用として使われ、アセトアミノフェンが鎮痛成分として配合されています。
これはアスピリンが副作用などの観点から原則として15歳未満には使わない薬とされていることなどが理由です。
ただし、川崎病などの治療で医療機関の受診を経てアスピリンが子どもに使われるケースはあります。
大人用バファリンと子ども用バファリンの違いはMEDLEYコラム「大人用と子ども用の解熱鎮痛薬は成分が違う??」でも紹介しています。
注意点
ここで挙げた以外の市販の鎮痛薬としてはセデス®、ナロンエース、リングル®アイビーなどがあり、これらの多くはイブプロフェンなどのNSAIDsかアセトアミノフェンを含む薬です。
鎮痛成分および鎮痛補助成分が複数配合されている場合は鎮痛効果の増強などが期待できますが、その分注意することもあります。
特にカフェイン(無水カフェインなど)が含まれている薬は、カフェインがもつ依存性などにより制限を超えて過度に使ってしまう懸念が少なからずあり、薬物乱用頭痛などの温床になる可能性もあります。
市販の鎮痛薬は一時的であったり軽度な症状には有用ですが、薬の「説明文書(添付文書)」に書いてある規定回数使っても症状が治まらなかったり、慢性的に症状が続いたりする場合には医療機関を受診して相談してください。
片頭痛と吐き気が併発するのはなぜ?

片頭痛に伴う症状として、吐き気や嘔吐などの消化器症状はよく起こります。
原因としては、交感神経の活性化や顔の感覚を脳に伝える三叉神経の刺激が脳内の嘔吐中枢にも広がるためと報告されています。
片頭痛発作時に吐き気や嘔吐がある場合には、吐き気止めの薬を頭痛の発作薬と一緒に使用することが効果的であるとされています。
関連記事:女性の頭痛と吐き気の原因は?考えられる病気や対処法を紹介
片頭痛持ちの人の特徴とは?

血管に負荷がかかるような生活習慣の方は片頭痛を発症しやすくなります。
概要をまとめると以下のような方が対象となりやすいです。
- 頻繁に飲酒や喫煙を繰り返す方
- 遺伝的に片頭痛を発症しやすい家系
- 月経周期の影響を大きく受けやすい方
- 上記に当てはまる10代から50代の方
片頭痛は比較的若い世代に多く、50代を超えてから初めて発症するケースは稀です。
遺伝的に発症しやすい方もいるので、両親に片頭痛の疑いがある場合は注意してください。
横浜内科・在宅クリニックでできる対応
片頭痛は、根本的な原因を解消する治療薬があります。
専門的な治療を受けることで症状を緩和することができますし、それによってQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大きく向上させることが可能です。
また、強い頭痛には深刻な病気が潜んでいるケースもありますので、早めに受診して診断を受け、適切な治療を受けることをおすすめしています。
片頭痛でお仕事や日常生活に支障があったり、片頭痛を起こす頻度が増えてきたり、市販の鎮痛剤が効かないなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
片頭痛は痛みが激しいうえに、発症の原因となり得る要素は日常生活に多く存在している厄介な疾患です。
片頭痛の疑いがあると感じた方は、迷わずに専門医を受診するようにしてください。
参考文献
片頭痛
片頭痛(偏頭痛)の症状・原因とは?6つの治し方・対処法を医師が徹底解説!
「偏頭痛(片頭痛)」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修! | メディカルドック
片頭痛(偏頭痛)で吐き気が見られることはありますか? |片頭痛
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者
投稿者プロフィール
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