子供に多い”はやり目(流行性角結膜炎)”とはどんな症状?原因やうつる確率について解説

「はやり目」は、夏場の8月に流行のピークがあり、保育所などで流行することがあります。

感染力が強く、なんでも手でぺたぺた触って手洗いなどの予防を十分にできない小さいお子さんは、特に注意が必要です。

流行してしまうため、はやり目は流行性角結膜炎という病名がついています。

今回は、はやり目の症状や原因、治療方法などを詳しく解説していきます。

はやり目(流行性角結膜炎)の原因

はやり目の原因は「アデノウイルス」というウイルスによる感染で起こります。

アデノウイルスは51個の型があることが知られているウイルスです。

アデノウイルスは、一般的には風邪や胃腸炎の原因になります。

アデノウイルスの中でもD種、B群、E群という種類のものがはやり目を起こすことがわかっています。

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はやり目(流行性角結膜炎)の症状

アデノウイルスに感染してから、症状が出るまでに8-14日程度かかります。

初期症状として以下の症状が急に強くがでるのが特徴です。

  • 目の充血
  • むくみ
  • めやに・涙が出やすくなる

感染力が強いため、多くは両目に症状がでます。

強い炎症が起こるため、耳の前のリンパ節が腫れて、コリコリと触れる場合があります。

コロナ・ものもらい・充血との違いは?

昨今大きな問題になっている新型コロナウイルスも結膜炎を起こす可能性があります。

頻度としては1-3%程度と言われています。

新型コロナウイルス感染症に限らず、ウイルス性の結膜炎では、以下のような症状が出ます。

  • 充血
  • 痒み
  • 痛み

新型コロナウイルスが体内に侵入する経路として、目の粘膜からの侵入も指摘されています。

とにかく、手洗いをして新型コロナウイルスを体内に入れないようにするのが大切です。

新型コロナウイルスとそれ以外のウイルス性の結膜炎を完全に見分けるのは難しいでしょう。

新型コロナウイルスの場合には、咳、喉の痛み、発熱などのその他の感染症状を合併することが多いといわれています。

新型コロナウイルス以外のウイルス性結膜炎の場合には、目の症状以外は基本的には起こりません。

ものもらい(めばちこ、めいぼ)はウイルスではなく細菌の感染により、まぶたの端がボコッと赤くはれて、軽い痛みや痒みがでます。

炎症が強くなると膿がでることもあります。

溜まっている膿が外に出てしまうと、腫れが引いて治りも早いとされています。

ものもらいは細菌感染なので抗菌薬の目薬がよく効きます。

充血は、目の表面の細い血管が広がって本来は白い目の部分が赤く見える状態のことです。

アレルギー性結膜炎や、はやり目などのウイルス性結膜炎、バイキンが原因の細菌性結膜炎など、さまざまな原因で起こります。

充血だけでは他の病気と区別することは難しいです。

しかし、他の症状(涙や目やに、痛みがあるか、リンパ節が腫れているかどうかなど)で判断することができます。

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はやり目の感染力について

はやり目の感染力は高く、子ども・大人に限らず感染します。

手についたウイルスだけではなく、タオル、洗面器経由で感染します。

予防のために以下の行動を取り組みましょう。

  • しっかりとした手洗い
  • 症状がある場合のタオルなどの共有をしない

アルコール消毒は、はやり目の原因になるアデノウイルスには効果はありません。

ウイルス自体を目につけないようにすることが重要です。

はやり目になったら何日休めばいい?

はやり目の原因のアデノウイルスは感染力が強いことから、一般的には症状が出てから7-10日ほどは休む必要があります。

また、学校保健安全法という法律では、「医師が感染のおそれがないと認めるまで」休む必要があると、定められています。

関連記事:【喉の痛みや熱】子供が溶連菌感染症になったときはどうする?学校や保育園は休むべき?

はやり目の治療について

はやり目の原因であるアデノウイルスには、残念ながら特効薬はありません。

自然に症状が改善するように、ゆっくり休みましょう。

強い症状がある場合には目の炎症を抑えるため、ステロイド剤の目薬が処方されることもあります。

目薬などの市販薬は使用してもよいか

はやり目には、市販の点眼薬はあまりおすすめできません。

自己判断での目薬の使用は症状を悪化させる場合があります。

目の充血、めやに、涙がでるなどの症状がある場合には、眼科を受診してお薬を処方してもらいましょう。

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日常生活での注意点

はやり目は簡単に感染が広がってしまうので、こまめに手を洗いをましょう。

また、タオルから感染する場合もあります。

家庭内でのタオルの共用は避けて、一人一人別のタオルを使用するようにすることが大切です。

横浜内科・在宅クリニックでの対応

感染力が高いため、自己判断で市販の目薬で様子をみるのは危険です。

横浜内科・在宅クリニックでは、目の症状以外の症状がないかどうか、診察や対処療法をすることができます。

また、診察で眼科受診が必要な場合には別途眼科をご紹介させていただく場合もあります。

ぜひご相談ください。

まとめ

今回は、子どもに起こりやすいはやり目について解説しました。

はやり目は、家庭内などで感染が広がりやすい感染症です。

アルコール消毒は無効であるため、こまめな手洗いが大切です。

また、正しく診断することも大切です。

記事にあるような目の症状や異変がある場合には病院を受診しましょう。

参考文献

国立感染症研究所「流行性結膜炎とは」

日本眼科学会「新型コロナウイルス感染症の目に関する情報について(第2報)― 国民の皆様へ ―」

日本眼科学会「ウイルス性結膜炎ガイドライン」

この記事の監修医師

 

救急科専門医 Dr.新井 久美子

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 理事長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
・2025年 医療法人 幸龍家 理事長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者