カンピロバクター感染症とは|潜伏期間や症状について解説

ある日突然の腹痛、嘔吐、下痢…思い返してみれば少し前に食べた鶏肉が生焼けだったような…なんてことありませんか?
それはもしかしたら『カンピロバクター』が原因かもしれません。
カンピロバクターは一般家庭の食卓に出てくる牛や豚、鶏などの身近な食品からの感染が多い食中毒菌です。
本記事では、そんなカンピロバクター感染症について、症状や予防策など詳しくご説明していきたいと思います。

カンピロバクターとは?

カンピロバクターは食中毒発生件数の中で上位を占める食中毒菌です。
流行時期は5月~7月の比較的暖かい時期、そして10月前後の行楽シーズンに多く発生します。
カンピロバクターの7割が飲食店で発生しており、家庭や学校でも数は少ないですが発生することがあるため注意が必要です。
また、他の菌に比べ少量の菌数でも食中毒を引き起こします。

カンピロバクターの症状 

主な症状は下記の通りになります。
  • 下痢(しばしば血便を伴う)
  • 腹痛と腹部のけいれん
  • 発熱(38℃以下が多い)
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 倦怠感
  • 頭痛
発熱の症状が先に出て、後になって下痢症状が出るケースや、発熱はなく下痢症状のみのケースなど人によって症状は異なります。
多くの場合は1週間ほどで改善していき、命にかかわることは稀です。
しかし、小さいお子様や、高齢者、免疫力が下がっている方などは重症化する場合があります。
カンピロバクター感染症をきっかけに起こりうる病気として、「ギランバレー症候群」というものがあります。
発症率は日本国内で10万人に1~2人ほどです。
カンピロバクター感染後、数週間して手足のしびれや脱力感を発症し、徐々に力が入らなくなっていきます。
一般的には1か月ほどで症状のピークを迎え、その後少しずつ回復に向かっていきます。

カンピロバクターの潜伏期間は?

 カンピロバクターの潜伏期間(感染から症状が出るまでの期間)はおよそ2日~10日と他の食中毒菌とくらべ長いことが特徴です。
潜伏期間が長いため症状が出た時には原因となる食べ物がわからない、といったこともあります。

カンピロバクターの感染経路と予防策

主な感染経路

 

カンピロバクターは主に食肉、とりわけ鶏肉を通じて感染します。

 

特に注意が必要なのは、生や加熱不足の鶏肉です。

 

焼き鳥や鶏たたきなどで、生焼け状態の肉を食べることで感染するケースが最も多く見られます。

 

もう一つ気をつけたいのが、調理中の思わぬ感染です。

 

生肉を切ったまな板や包丁を、そのまま野菜などを切るために使ってしまうと、細菌が他の食材に付着してしまいます。

 

また、生肉を触った手で調味料の容器を触ることでも、細菌が思わぬところに広がっていきます。

 

有効な予防法

 

予防の基本は、適切な加熱と清潔な調理環境づくりです。

 

鶏肉は中心部の温度が75度以上で、1分以上加熱することが大切です。

 

肉汁が完全に透明になり、ピンク色の部分が残っていない状態まで火を通しましょう。

 

調理器具の扱いも重要です。

 

生肉用のまな板と包丁は、他の食材用とは分けて使用するのが賢明です。

 

使用後はすぐに熱めのお湯と洗剤でしっかり洗い、よく乾燥させましょう。

 

まな板は定期的に熱湯をかけて消毒すると、より安全です。

 

最後に忘れてはいけないのが手洗いです。

 

生肉を触った後は必ず石けんを使い、指の間や爪の周りまで丁寧に洗います。

 

30秒程度かけてしっかり洗うことで、手についた細菌をほぼ完全に除去することができます。

カンピロバクターはうつる? 

カンピロバクターは人から人へ感染することはほとんどありません
乾燥に弱く、空気中に長く生存することが出来ない為です。
ただし、便や嘔吐物を介して感染することがあるので、看病をする際は便や嘔吐物を直接触らないようにし、手袋を着用しましょう

カンピロバクターに感染したときの治療 

多くの場合は特別な治療は必要としませんが、下痢と発熱による脱水には最も注意が必要です。
そのため経口補水液やスポーツドリンクなどでこまめな水分補給を行いましょう。
また、お食事は症状が安定するまで極力控えめにし、消化の良いおかゆなどを中心に摂りましょう。
しかし、患者の状態次第では病院で以下の治療を行う場合があります。

病院で受けられる治療

脱水が強い場合、口から水分が摂れない時は点滴を行います。
また、重症の場合は抗生物質の処方が必要な事もあります。
下痢止めのお薬は、菌の排出を遅らせてしまうため、基本的には使用しません。

カンピロバクターは治るまで何日かかる?

カンピロバクター感染症をすぐに治す方法はありません。
食事療法、対症療法を行い、細菌が排出されることを待ち、およそ1週間でほとんどの方は症状が改善します。

カンピロバクター感染時に処方される薬は?

症状が強い場合は消化を助けるお薬や、腸内環境を回復するための整腸剤が処方されます。
また高熱や出血を伴う下痢がある重症の場合はアジスロマイシンなどの抗生物質を処方されることもあります。

【まとめ】カンピロバクターは日頃からの衛生管理で対策しよう 

カンピロバクターによる食中毒は、十分な加熱と二次汚染の防止や消毒を徹底することで防ぐことが出来ます。
特にお肉を調理する際は、こちらに気を付け食中毒を防ぎましょう。
また、普段から手洗いうがいをしっかり行い、衛生的に保つことも大切です。
参考文献