耳が聞こえにくい・耳が詰まったような感じがする原因と治し方

「急に耳がボワーンとして聞こえずらい。」

「片耳だけツーンとしたりして耳が聞こえにくくなった。」

上記のような経験はございませんか。

これらの症状は、すぐ治る場合もありますし、しばらく続くこともありますよね。

耳が聞こえにくい、あるいは耳が詰まった感じがする状態になった時に一生このままだったらどうしよう?と不安になる方も多いかと思います。

今回は、そんな時のために耳が聞こえなくなる原因考えられる病気・対処法について詳しく解説します。

耳が聞こえにくくなった時の考えられる原因

音は、外耳 → 中耳 → 内耳 → 脳へと伝わり知覚されます。

その中のいずれかに障害をきたしたとき、耳が聞こえにくくなったり、詰まった感じがしたりします。難聴の原因は多岐に渡りますので、診療ではその鑑別が非常に大切です。

それでは1つずつ考えられる原因について解説していきます。

『耳垢栓塞』による聞こえにくさ

耳が聞こえにくくなった場合、耳垢が詰まって耳の穴の中(外耳道)を塞いでいることが疑われます。

これを耳垢栓塞(じこうせんそく)といいます。

耳垢は、外耳道・鼓膜の表皮部分が新しく新生することで生じる皮膚のカスになります。

基本的には外に、外に出ていくので耳垢は耳内にたまりにくくなっています。

よって、毎日掃除をする必要はなく、だいたい2週間に1度程度で問題ないです。

頻繁に耳掃除される方は、耳垢を間違って押し込んで聞こえにくくなったり、外耳道をこすりすぎることで外耳道が腫れてしまい耳が詰まったりすることもあるので注意が必要です。

稀に耳の構造上、耳垢が溜まりやすい方は、耳垢が詰まって耳の聞こえが悪化することがあります。

その場合、外耳炎外耳道真珠腫といった病気を引き起こすこともあるため注意が必要です。

『異物混入』による聞こえにくさ

ビーズや虫などが耳の中に間違ってはいってしまい、耳が聞こえにくくなることもあります。

これらは一度入ってしまうと、耳鼻咽喉科で適切な器具を使わないと耳の周囲を傷つけてしまうことがあるため、早めに病院へ受診しましょう。

関連記事:耳垢を放置するとどうなる?耳掃除は必要?
気をつける病気や対処法について

『ストレス』による聞こえにくさ過度なストレスがかかることで、急に耳が聞こえにくくなる方もいます。

メニエール病突発性難聴が代表とされる急な難聴は、ストレスが主な原因と言われており、早急なストレス改善が必要と考えられています。

『鼓膜の損傷』による聞こえにくさ

外傷性に鼓膜が傷つくことで聞こえが悪くなることがあります。

鼓膜というのは太鼓の役割をしている場所になり、穴があいたりすることで音の響きが悪くなり、難聴の症状をきたします。

『騒音』による聞こえにくさ

ライブハウスや映画を見た後に耳がボーンとしばらくなり響くことはないでしょうか。

これは音響外傷といい、大きな音が短時間で鳴り響くことで、高い音が一時的に聞こえにくくなることで起きる現象です。

大きな音が鳴り響く職場や環境に居続けることで騒音性難聴といった、一部の高い音だけが聞き取れない病気になることもあるので注意しましょう。

『老化』による聞こえにくさ

年をとると耳が遠くなると聞いたことがあると思いますが、実際に年齢を重ねると同時に聴力も同様に老いてきます。

これを加齢性難聴老人性難聴といいます。

加齢性難聴の特徴として高い音から順に聞こえにくくなっていきます。

老人がモスキート音といった高い音が聞こえないというのはこれが理由ですね。

『薬などの副作用』による聞こえにくさ

実は難聴をきたす薬は多岐にわたります。

代表的な薬でいうとフロセミドといった降圧薬、結核に対する薬であるストレプトマイシンなどがあります。

また、抗がん剤にも難聴が生じる薬もあるため、何か新しい薬を始めた後に難聴が生じているかをチェックしておくことが非常に重要になります。

耳が聞こえなくなった時の考えられる病気

耳が聞こえにくくなった時に考えられる病気はさまざまです。

中には、突発性難聴など早期治療をすることで治療成績が大きく向上する病気もあるため、異変を感じたら速やかに病院へ受診しましょう。

中耳炎

中耳炎が起きると耳は必然的に聞こえにくくなります。

急性中耳炎については、以前の記事を参考にしてください。

中耳炎についてはこちら

音は耳を通じて集音され、鼓膜を響かせ、中耳にある耳小骨を通じて音を増幅させ、内耳にある聴神経に信号を伝えます。

この中耳にある耳小骨の周りが膿だらけであったり、液体があったりしたら、音の振動が伝わりにくくなりますよね。なので中耳炎が原因の難聴のことを伝音難聴と呼んだりします。

外耳炎

外耳炎とは鼓膜より外側の器官である外耳に炎症が起こっている状態をいいます。

音は外耳道を通って鼓膜に到達しますが、外耳炎がひどくなり、耳の通り道がすごく狭くなっている方がいます。

そのような方は難聴の症状をきたします。

外耳炎の多くの原因は綿棒で耳を掃除しすぎなことが多いです。

メニエール病

メニエール病は、30~50歳代の女性に多く、日常生活に支障をきたすほどの回転性のめまい発作が反復してみられることが特徴です。

発作時に悪心、耳鳴、難聴、耳閉塞感を伴います。また、聴力検査で低音障害型の感音難聴を認めることも特徴的です。


病態としては内耳といった箇所に水ぶくれ(内リンパ水腫)がおき、内耳神経を圧迫することでめまいや難聴が起こるとされています。

メニエール病は神経質や几帳面な方に多い病気であり、ストレス性の病気とも考えられています。
一時的には聴力も回復することは多いですが、同症状が繰り返すことで、低音部より徐々に難聴が進行していきます。

早期より治療介入することが必要と考えられています。

突発性難聴

突発性難聴とは、突然発症する一側性の原因不明な高度感音難聴のことを指します。

芸能人が突発性難聴になり、報道されることが多い病気です。


50~60歳代の方に多く、突然耳が聞こえなくなってめまいや吐き気が生じ、耳の閉塞感などの症状があります。

原因は分かっておらず、ストレスやウイルス感染などが原因と考えられています。

関連記事:【自分や家族のために】認知症の症状や種類について

内耳炎

内耳炎は、内耳といわれる聴神経がある箇所が炎症を起こす病気です。

内耳炎には、急性中耳炎滲出性中耳炎などさまざま種類がありますが、最も患者さんで多いのは急性中耳炎です。

内耳炎の多くはウイルスが原因であることが多いです。

先天性といった生まれつきのウィルスだと風疹ウィルス、サイトメガロウィルスが代表されます。

妊娠前に風疹ワクチンを接種するように推進されているのはこれが理由です。

また、後天性のウィルスとしてはムンプスウィルス(おたふく風邪)水痘帯状疱疹ウィルス麻疹ウィルスによるものが代表的です。

聴神経腫瘍

聴神経腫瘍とは、耳の奥の小脳橋角部という部分にできる聴神経のSchwann細胞に由来する良性脳腫瘍(神経鞘腫)の一種です。

ほとんどが中年以降に、一側性進行性の難聴で発病します。初期症状としては耳鳴・難聴があります。

腫瘍増大することで他の神経が障害され、顔面の感覚障害、顔面の痙攣やめまい症状が出たりします。さらに進行すると、頭痛などの脳の症状が生じることになります。

聴神経腫瘍は、MRIなどを撮影することで診断されるケースが多いです。

機能性難聴

機能性難聴とは器質的障害のない難聴のことです。

心的原因によって起こる心因性難聴と、故意に難聴症状を訴える詐聴に分けられます。

まず心因性難聴は病気という認識を持ってください。心因性難聴は特に女児の学童に多く、学校生活や家庭内のストレスが原因となることが多いです。

本人が訴える症状の多くは両側性の難聴であり、他に耳鳴、耳閉塞感、耳痛、めまいなどを同時に訴えることがあります。

しかし、聴力検査などの検査を行うことで、検査結果に矛盾点があることで診断に至ることが多いです。 実際には聞こえているのに、本人は聞こえていないと感じてしまっているという病気なのです。

しっかりとストレスなどを順に解消していくことや子供の訴えを傾聴することで改善するケースが多いので、治療にも家族の力が必要となります。

一方、詐聴実際に聞こえているにも関わらず難聴を装う行為のことです。多くは保証や交付金を得ようとするために難聴を装います。

詐聴による身体障害者手帳2級の不正取得、不正受給が問題となり、現在2級以上を申請する場合は他覚的検査が必須となり、詐聴による不正受給は減少傾向にあります。

耳が聞こえない時の対処方法

まずは耳が聞こえなくなっても落ち着いてください。

急に耳が聞こえにくくなってしまい、大変不安にかられると思います。一生聞こえないままなのではないかと誰しもが思ってしまうでしょう。


メニエール病突発性難聴の可能性が多いですがこれらはストレスが1つ原因と考えられています。

「しっかりと適切な加療を行えば大丈夫!」と自分自身で思うことも非常に重要になります。
早期治療がカギとなりますので、なるべく早く医療機関を受診して検査をするようにしてください。

関連記事:鼻うがいのやり方は?効果やデメリットまで徹底解説!

耳が聞こえない時のすぐに病院に行くべき症状

何度も言いますが、難聴がある場合は早期加療をおすすめします。

難聴の原因が検査をしても分からないことも多々あり、突発性難聴として加療されることも多く、他の病気も含め早期治療により聴力悪化を防ぐことができるため、早期治療を行うことをお勧めしております。

耳が聞こえない、難聴にならないための予防方法

大音量で音楽を聴かない

大音量で音響機器を利用することで難聴になりやすくなる可能性があります。

一度傷ついた神経細胞の治療法は現在は見つかっておりません。よって、耳が聞こえづらくなってしまうと一生その状態が続いてしまうなんてこともあります。

大音量で長時間音楽を聴くことは避け、イヤホンよりも負担の少ないヘッドフォンをなるべく利用しましょう。

ストレスを溜め込まない

メニエール病や突発性難聴に準じた話しにはなりますが、まずはストレスになっている生活から開放されることが必要です。

暴飲暴食などをさけ、夜更かし当はせずに充分な睡眠を確保してみてください。

生活習慣を見直し、適度な有酸素運動や水分補給を行うことも発作などの予防につながります。

長時間の騒音の中では耳栓をする

長い時間、騒音下にいると騒音性難聴になってしまう可能性があります。

騒音性難聴とは、内耳の細胞が騒音で失われてしまうことが原因と言われています。

聴覚の損傷が始まるまでの時間はおよそ8時間なので、定期的に耳を休ませる時間を作ることを意識してください。

まとめ

今回は急に耳が聞こえにくくなるといった症状について詳しくお話しさせて頂きました。

耳が唐突に聞こえにくくなることなんて今まで経験したことがないことなので、非常に不安に駆られるかと思いますが、この記事が不安を少しでも取り除ける一助になれたら幸いです。