蜂窩織炎とは?治療方法や腫れが引かない場合の対処法について解説

こんにちは!!横浜内科・在宅クリニック院長の朝岡です!!
みなさん蜂窩織炎(ほうかしきえん)ってご存じですか?
聞き馴染みのない方の方が多いと思いますが、蜂窩織炎は感染症の一種で自然治癒が難しく、放置すると病気が拡大していく怖い病気です。
今回は実際の症状や治療方法など、感染してしまった時しっかりと対策できるよう詳しく解説していきますので隅々までチェックしてくださいね!
蜂窩織炎とは?

蜂窩織炎とは、皮膚および皮膚の深い部分に細菌が感染し、炎症を引き起こしてしまう病気です。
通常、擦り傷や切り傷に細菌が侵入することで炎症を起こしてしますが、蜂窩織炎(ほうかしきえん)は以下の人などに多く見られます。
- 免疫力が低下しているご高齢者
- 糖尿病患者
- 免疫抑制剤を使用している人
特徴としては、皮膚が赤く腫れ痛みを伴うことが多いですが、病状が進行してしまうと発熱や倦怠感など全身症状を引き起こすこともあります。
感染が広がると皮膚の奥にまで炎症が及び、重度の合併症を引き起こす危険性もあるため迅速な治療が必要です。
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蜂窩織炎の症状

皮膚に現れる初期症状
蜂窩織炎の初期段階としては一般的に皮膚の赤みや腫れが現れます。
炎症部位は熱をもつため温かく、触ると痛みを感じることが多いです。
赤みの出方は虫刺されに似ていますが、蜂窩織炎のほうが虫刺されに比べて範囲が広く、赤みや腫れが生じます。
炎症の範囲は時間がたつにつれ徐々に広がり、境界がはっきりせず、膿や水ぶくれが出てくる場合もあります。
全身に現れる症状
先ほどもお伝えした通り、蜂窩織炎は皮膚及び皮膚の深い部分に細菌が感染し、炎症を起こす感染症です。
感染が進行すると局所的な症状(発赤、腫れ、痛み)だけでなく、全身にも影響を及ぼすことがあります。
細菌が局所を超えて全身に広がったり、免疫系が強く反応して体全体にまで炎症を引き起こしてしまうためです。
以下に蜂窩織炎によって引き起こされる全身の症状を多い順に説明いたします。
①発熱
蜂窩織炎が進行すると多くの方が発熱を訴えています。
これは細菌が血流を介して全身に広がり始めた、もしくは体が感染に対抗するために炎症反応を活発化させているサインです。
②倦怠感や疲労感
蜂窩織炎による倦怠感や疲労感は体が感染と戦っているためにエネルギーを大量に消費をしているためです。
発熱がある場合は更にエネルギー消費が進んでしまい、より倦怠感や疲労感を感じることがあります。
特に数日間にわたって症状が進行している場合、慢性的な疲労を訴えることが多くなります。
③寒気、悪寒
蜂窩織炎による発熱により、寒気や悪寒を感じることがあります。
特に熱が急激に上昇する際に体が熱を逃がさないようにするため、欠陥が収縮して手足が冷たく感じられることがあります。
敗血症といって、ばい菌が体内で活発になっていることを示しており、非常に危険な状態です。
悪寒が激しい場合は毛布などで体を温めることが推奨されますが、発熱が持続する場合は解熱剤の使用を医師に相談してください。
④筋肉痛や関節痛
蜂窩織炎が進行すると、筋肉痛や関節痛が生じることがあります。
これは、感染に対する炎症反応が全身に広がることで体の部位にも痛みが波及するためです。
筋肉痛や関節痛は蜂窩織炎事態の直接的な影響というよりは感染に対する体の防御反応の一環として現れることが多いです。
重症化した場合
蜂窩織炎は放置しておくと重症化してしまうことがよくあります。
重症化してしまうと、細菌が血液を通じて全身に広がる敗血症になる可能性があります。
敗血症は臓器に障害が発生し最悪の場合、死に至ることも多く敗血症により死者が国内で年間6万人が出ていることが千葉大学大学院医学研究院により報告されています。
また、深部の筋肉や脂肪まで炎症が及び、急速に広がる手足の腫れと激しい痛みを伴う『壊死性筋膜炎』は非常に危険な状態になる可能性があります。
これらの状態は命にかかわることもあるため、直ちに医療機関での治療が必要です。
蜂窩織炎の原因

蜂窩織炎の原因は主に細菌感染によって引き起こされます。
基本的には人の皮膚のバリア機能が損なわれた場合(擦り傷や切り傷、やけど、炎症、免疫力が弱まっている)に感染を引き起こします。
更に免疫力が低下しているご高齢者やステロイドや免疫抑制剤を服用している方も蜂窩織炎のリスクが高くなる可能性があるため、注意が必要です。
原因菌は様々あり例をあげると以下の通りになります。
- 黄色ブドウ球菌
- 化膿レンサ球菌(A群β溶血性連鎖球菌)
- インフルエンザ菌
- 大腸菌
- 嫌気性菌 など
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蜂窩織炎の治療方法は?抗生剤は効果ある?

蜂窩織炎の治療には抗生剤の全身投与が必要となります。
基本的な抗生剤は主に以下などがあります。
- ペニシリン系抗生物質
- セファロスポリン系抗生物質
- マクロライド系抗生物質
アレルギー要素も加味して処方するため家にあるものを試すのではなく、必ず医師に体にあったもの抗生剤を処方してもらいましょう。
家でできる対処としてはまずは患部を清潔に保ち、感染拡大を防ぎます。
炎症による痛みや腫れを軽減するために洗浄、消毒、冷却を行い、痛みが強い場合は鎮痛剤を使用することで応急処置はできます。
足に腫れができた場合は外出等を控え、安静にすることが最も大切です。
一般的に軽症の場合は内服薬や注射で抗生剤を投与し、通常1週間から10日間の内服で改善が期待されます。
しかし重症の場合は感染が全身に広がっていることが多いため、点滴による抗生剤投与が必要となり、入院する可能性もあります。
しっかりと治療をすれば完治できる病気ではありますが、放置しすぎると最悪死に至るケースもあるため、まずは医療機関に相談するようにしてください。
蜂窩織炎の腫れが引かない場合は?

今回何度もお伝えしておりますが、蜂窩織炎は早期治療が必要になります。
まず腫れや痛みが少しでもある場合は必ず医療機関に受診、もしくはご相談ください。
治療を開始しても腫れや痛みが引かない、症状が悪化している場合は次のような要因が考えられます。
抗生剤の効果が不十分
蜂窩織炎の原因菌が抗生剤に耐性を持つ場合、症状が改善されない場合があります。
その際は抗生剤の変更や追加検査を行い、再度適切な治療を行います。
合併症の可能性
蜂窩織炎が治りにくい場合は膿瘍や壊死性筋膜炎は発症している場合もあります。
感染部位に膿が溜まり、治療を遅らせる場合や筋肉や骨に感染が広がり、抗生剤では対応が難しいため外科治療も必要になることがあります。
特に膿が溜まっている場合は切開をし、排膿手術が行われることもありますので注意が必要です。
免疫力や基礎疾患の影響
蜂窩織炎の治療が遅れている原因として、糖尿病やがん治療中など免疫機能が低下している場合に治療に影響がある場合があります。
免疫力が弱い状態では体が細菌と闘う力が弱まり、通常よりも重症化しやすく治療が長引くことがあるため治療の追加が必要となります。
横浜内科・在宅クリニックでできること
蜂窩織炎は名前が特殊なこと、また有病率が高いことから、一般の方に知られた病気になります。
ただ患者さんが罹患してから治療に来院されるのが少し遅い病気にもなります。
実際は局所的ではありますが、広範囲の皮膚が赤くなり、痛みが出るため、発見が遅くなることは少ない病気です。
しかし、症状を我慢してしまい、状況が悪化してから受診されるケースが多いのです。
大体は抗生剤の治療でよくなるのですが、まれに糖尿病などの既往があり、膿を作った状態になるまで放置されてしまい、緊急で手術を行うことになったケースもあります。
目立つ病気ではあるからこそ、放置してしまう方が多いので注意が必要です。
当院では診察から血液検査、処方を行っております。
そのほかの検査が必要な場合は検査可能な近隣の医療機関をご紹介いたします。
経口や点滴による抗生剤の全身投与も行えます。
蜂窩織炎は早期の対応が非常に重要になる病気です。
少しでも腫れや痛みがある場合はお早めにご相談ください。
まとめ
蜂窩織炎とは、皮膚および皮膚の深い部分に細菌が感染し、炎症を引き起こしてしまう病気です。
通常、擦り傷や切り傷に細菌が侵入することで炎症を起こしてしまいますが、免疫力が低下しているご高齢者や糖尿病患者、免疫抑制剤を使用している人々には特に注意が必要です。
特に切り傷や擦り傷等は放置をしてしまう方も多いかと思いますが蜂窩織炎になってしまうと何よりも早期発見が重要になるため、少しでもご不安な方は医療機関に相談してくださいね。
参考文献
div style="background: #009933; padding: 5px 10px; color: #ffffff; border-radius: 10px 10px 0 0;">この記事の監修医師横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者