倦怠感・だるさが続くのは新型コロナ?後遺症や治療方法などを解説

コロナ 倦怠感

新型コロナウイルスの症状は人によってさまざまです。

特に「だるさ」や「疲れ」が続くとき、それが新型コロナウイルスによるものなのか判断に迷うことがありますよね。

厚生労働省の調査によると、新型コロナウイルスに感染した方の約7割が倦怠感を経験したと報告されています。

この記事では、新型コロナウイルスによる倦怠感の特徴から対処法まで解説し、適切な対処法をご紹介します。

倦怠感・だるさが続くのは新型コロナ?

コロナ 倦怠感

ノルウェーの研究で、新型コロナウイルス感染症の約7割の方に倦怠感やだるさの症状が見られました。

ただ、倦怠感といっても、新型コロナウイルスだけが原因ではありませんよね。

風邪やインフルエンザでも、体がだるく感じることはよくあるものです。

では、新型コロナによる倦怠感には、どんな違いがあるのでしょうか?

新型コロナウイルスによる倦怠感には、次のような特徴が挙げられます。

  • いくら休んでもだるさがとれない
  • 発熱、咳、頭痛などの症状がでてきた
  • 動くのが難しいほどの激しい倦怠感

こうした倦怠感の特徴や、次で紹介する症状が伴う場合は新型コロナウイルスの可能性があります。

関連記事:新型コロナの後遺症で急増中のブレインフォグとは?認知症や物忘れとの違い

倦怠感以外の新型コロナの代表的な症状

コロナ 倦怠感

新型コロナウイルス感染症では、症状の出方や重さが人それぞれ異なります。

倦怠感以外にも、さまざまな症状が報告されています。

ここでは、代表的な症状についてわかりやすくご紹介しましょう。

のどの痛み

のどの痛みや炎症は、新型コロナウイルスの初期症状として多くの患者さんに見られます。

のどの奥がヒリヒリとした痛みが感じられ、痛みのため飲み込むのが難しくなることもあります。

ただ、この痛みは個人差が大きく、「のどに違和感がある」程度でおさまることも多いです。

のどの痛みを和らげる方法として以下のようなケアで痛みを和らげましょう。

  • 温かい飲み物を飲む
  • ハチミツでケア
  • マスクの着用
  • 加湿など

咳・痰

新型コロナウイルスの場合、乾いた咳や、痰が絡む咳が出ます。

夜間や早朝などの乾燥した時間に悪化しやすいのも特徴です。

夜間にマスクを着用したり、加湿器を付け喉の乾燥を防ぐことで症状の緩和が期待できます。

息苦しさがあったり、咳が一週間以上続く場合は、肺炎などの重症化リスクがあるため、早めに医師の診察を受けましょう。

鼻水

軽症の新型コロナウイルス感染症では、鼻水や鼻づまりが見られることがあります。

風邪やアレルギーによる症状と似ているため、区別が難しい場合も多いです。

ただし、新型コロナウイルスでは、これらの症状に加えて、全身のだるさや味覚・嗅覚の異常といった特徴的な症状が現れることがあります。

鼻づまりがひどくなると呼吸がしづらくなり、睡眠の質が低下することもあります。

鼻を効果的にケアするためには、蒸気吸入や塩水での鼻うがいなどがおすすめです。

頭痛

新型コロナウイルスによる頭痛は、片頭痛に似たズキズキとした痛みが特徴です。

痛みは個人差がありますが、片頭痛持ちの方は痛みが強くなることが多いです。

頭痛が続くときは、水分をしっかり摂り、休息をとることが大切になります。

息苦しさ

軽い運動や日常動作を行っただけで、息切れを感じることがあります。

重症化すると肺炎や急性呼吸窮迫症候群(ARDS:肺が炎症を起こし、呼吸が非常に苦しくなる症状)に発展するリスクがあるので注意が必要です。

特に、呼吸が浅くなったり、胸が締め付けられるような感覚がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。

消化器症状

新型コロナウイルスが消化器にも影響を与え、下痢や腹痛、吐き気が現れることがあります。

これらの症状は軽症者や若年層に多く見られ、胃腸炎や食中毒と間違えられることもあります。

消化器症状が現れた場合は、脱水症状を避けるためにも十分な水分補給が必要です。

症状が長引く場合や、他の症状が伴う場合は病院で診断を受けることが重要です。

味覚・嗅覚障害

味覚や嗅覚の異常は、新型コロナウイルスの特徴的な症状で、突然味やにおいが分からなくなることがあります。

若い方の感染初期に現れることが多いです。

通常は数日から数週間で回復しますが、完全に元に戻るまでに時間がかかることもあります。

食事が楽しめなくなることで食欲が低下し、体力が低下してしまうため、栄養を意識して食事を取るようにしましょう。

新型コロナが治った後も倦怠感・だるさが続くのは後遺症?

コロナ 倦怠感

新型コロナウイルス感染症の症状が落ち着いた後も「疲れ」や「だるさ」がなかなか取れないと感じる方がいます。

その場合は「新型コロナ後遺症」の可能性が考えられるでしょう。

新型コロナ後遺症による倦怠感は以下の特徴があります。

  • 少し動いただけで強い疲れを感じる
  • 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
  • 数週間から数か月にわたり「疲れ」や「だるさ」が続く

このように、後遺症による倦怠感は普段の疲れとは明らかに異なる特徴があります。

こうした倦怠感が長期間続く場合は、無理をせず専門の後遺症外来を受診してください。

関連記事:睡眠障害はコロナ後遺症?症状はいつまで続く?対処法や治療について

新型コロナで倦怠感がある場合の対処法・治療法

コロナ 倦怠感

新型コロナウイルス感染症による倦怠感は、長期間続くことがあり、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

ただし、適切な対処法を取り入れることで、症状を和らげたり、回復を早めたりすることができます。

具体的な対処法を見ていきましょう。

横になる

倦怠感がある場合、必要以上に無理をせず、こまめに体を休めることが最も重要です。

横になることで体への負担を減らし、免疫力や自然治癒力を高めることができます。

深呼吸を意識しながら横になると、さらにリラックス効果が得られます。

ただし、長時間安静にしていると筋力が低下することもあるため、体調が許せば軽いストレッチや散歩などを取り入れてみてください。

入浴・シャワーは控える

体力が低下している状態で湯船につかるのは、思った以上に体に負担がかかります。

シャワーは38度程度のぬるま温で、5分程度を目安に短時間で済ませるのがおすすめです。

また、脱衣所と浴室の温度差があると体への負担になるため、脱衣所を暖かく保つことも忘れないようにましょう。

日によって動ける量が変わる

新型コロナウイルスによる倦怠感は波があることが特徴です。

元気に動ける日もあれば、突然疲れがひどくなり動けなくなる日もあることもめずらしくありません。

調子の良い日でも普段の7割程度の活動量に抑え、徐々に日常生活に戻していくことが大切です。

体調の記録をつけることで、自身の回復パターンを把握しやすくなります。

規則正しい生活習慣を身につける

倦怠感を改善するには、規則正しい生活習慣が重要です。

特に、食事と睡眠を整えることが、症状改善の第一歩になります。

決まった時間に寝起きして、朝・昼・夕の三食を規則正しく取ることで、体力の回復を促します。

ビタミンやミネラル、たんぱく質をバランス良く摂取しましょう。

かかりつけ医に相談する

以下のような場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。

  • 倦怠感が2週間以上続く
  • 日常生活に支障をきたす
  • 息苦しさを伴う
  • 食事が十分に取れない

必要に応じて血液検査や心電図などの検査が行われ、健康リスクがないかを確認することがあります。

また、医師からのアドバイスに基づき、適切な薬の処方やリハビリの指導を受けることで、症状の改善が期待できます。

後遺症の場合は後遺症外来受診も検討

1ヶ月以上倦怠感が続く場合は、コロナ後遺症の可能性があります。

後遺症外来では、専門医による詳しい診察と、理学療法士によるリハビリテーション指導など、専門的なケアを受けることができます。

当院でも「コロナ後遺症外来」を設けているので、倦怠感などの症状でお困りの場合はぜひご受診ください。

紹介した対処法は、あくまで一般的な方法です。

個人の症状や体調に合わせて無理のない範囲で取り入れることが大切です。

焦らず、ゆっくりと回復を目指しましょう。

新型コロナの倦怠感はいつまで続く?

コロナ 倦怠感

新型コロナウイルスによる倦怠感の長さは個人差が大きく、回復までには以下のようなパターンに分かれます。

  • コロナ発症から2週間程度(急性期)
    多くの場合、この期間中に徐々に改善が見られます。
  • 2週間〜1ヶ月(回復期)
    大半の方がこの期間で日常生活に戻れるようになります。
  • 1ヶ月以上(後遺症)
    一部の方で長期化する可能性があり、病院の受診が必要になることがあります。

ただし、これはあくまでも目安です。

回復のペースは人それぞれ異なるので、焦らず、ご自身の体調に合わせた生活を心がけることが大切です。

症状が長引く場合や気になる症状がある場合は、病院へ受診しましょう。

関連記事:2024年最新の新型コロナの症状は?重症化・後遺症のリスクについて解説

医師による新型コロナウイルスに対する実体験

新型コロナウイルスに感染した後、強い倦怠感が続き、次第に外出も難しくなってしまった、ある患者さんの事例をご紹介します。

ご本人は「コロナ後遺症に違いない」と考えており、別の病院でオンライン診療を受けていました。

しかし、症状が改善せず、次第に自宅での療養を余儀なくされるまでに状態が悪化したため、在宅診療を依頼されました。

実際に診察してみると、重症のうつ病を発症していることが発覚。

すぐに精神科での専門的な治療を開始したところ、徐々に症状の改善が見られたのです。

この経験から、新型コロナ後遺症と思われる症状であっても、安易に診断を確定せず、他の病気の可能性も慎重に検討することの大切さを実感しました。

横浜内科在宅クリニックで出来る対応

当クリニックでは新型コロナウイルスの後遺症に特化した「コロナ後遺症外来」を設けています。

倦怠感が長引いたり、日常生活に支障をきたす場合は、ご受診ください。

診察から処方を行い、長引く倦怠感に対する長期的なフォローを実施し、必要に応じて検査も行います。

また、外来の受診が難しい場合は、オンライン診療も対応しています。

自宅で診察を行い、ご希望の薬局で薬が受け取れます。

受診方法などを詳しく知りたい方は、お気軽にご連絡ください。

まとめ

新型コロナによる倦怠感は、通常の疲れとは異なり、休養を取っても改善しにくく、日常的な動作で極度の疲労を感じることが特徴です。

ただし、同様の症状は他の病気でも起こりうるため、症状が長引く場合は病院での適切な診断が重要です。

回復期には無理のない範囲で活動し、十分な休養と規則正しい生活を心がけましょう。

特に症状が1ヶ月以上続く場合は、ぜひ当院の「コロナ後遺症外来」をご受診ください。

参考文献

新型コロナの症状について【2024年最新版・期間や経過も紹介】 | ひまわり医院(内科・皮膚科)

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について - 神奈川県ホームページ

新型コロナ後遺症:倦怠感について | 重要なお知らせ | 中東遠総合医療センター

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者