睡眠時無呼吸症候群になる原因とは|自力で治せる?
『お父さんのいびきがガーガーうるさくて眠れない…』
『たまにお父さん、息止まっている気がするのだけれど…』
『子供のいびきがひどいんだけど…』
いびきがうるさくて困っている、または心配されているご家族の方いませんか?
これは実は睡眠時無呼吸症候群という病気の可能性が非常に高いです。
この睡眠時無呼吸症候群を治療介入せずに放っておくと、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こす確率が正常な人に比べると約5倍程度になる非常に怖い病気です。
今回は、睡眠時無呼吸症候群についてしっかり原因、治療法含めて、これから説明していきますね!
睡眠時無呼吸症候群になる原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に息が何度もとまってしまう病気のことをいいます。
無呼吸および低呼吸の頻度を計測し1時間のうちに5回以上、息をしていないことを確認できた場合に睡眠時無呼吸症候群と診断します。
無呼吸が起きる原因は大きく以下の2つあります。
①空気の通り道が物理的に狭くなることによって無呼吸が生じる、閉塞性睡眠時無呼吸
②呼吸中枢の異常によって無呼吸が生じる中枢性睡眠時無呼吸
① 閉塞性睡眠時無呼吸 |
人間は呼吸をするときには、空気中の酸素を鼻、口を入口として、のどを通って肺にたどりつきます。 そして二酸化炭素を逆のルートで、肺から鼻、口で吐き出します。 この空気のルートが障害されると、呼吸がしにくくなり、無呼吸になります。 このスペースが狭くなる要因はいくつかあります。 ①首や喉まわりの脂肪が厚い ②扁桃腺(口蓋扁桃、舌扁桃、咽頭扁桃など)が大きい ③口がそもそも小さい ④舌根部の肥大 ⑤のどちんこと呼ばれる口蓋垂の肥大 など… 肥満などは後天性のものなので、減量などで対処することは可能です。 しかし、骨格の要素もありますので、しっかりと原因を突き止めることが治療に必要になります。 |
② 中枢性睡眠時無呼吸 |
中枢性睡眠時無呼吸は、脳が呼吸筋に適切な信号を送らないために呼吸が一時的に止まることで生じます。 無呼吸の中では比較的まれな原因になります。 原因としては脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などの脳の病気も含め、パーキンソン病などの神経変性疾患も、中枢性睡眠時無呼吸症候群の原因となることがあります。 心臓の問題も原因となることがあり、特に心不全の患者さんでは、チェーンストークス呼吸という特徴的な呼吸パターンが見られることがあり、中枢性無呼吸が起こりやすくなります。 薬物や鎮静剤の使用も脳に障害を起こし原因となる場合があります。 |
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睡眠時無呼吸症候群かもしれない症状チェック
まず、いびきをかいていたら無呼吸の可能性は非常に高いです。
息が止まるようなことがあれば、さらに重度の可能性が高くなります。
また、仰向けになるといびきをかいて、横向きになるといびきが止まる方がいます。
これは舌が重力で喉に落ち込んだ結果、閉塞性無呼吸になっている可能性が高いです。
つまり、電車の中や授業中などに座って寝ているのにいびきをかいていれば、
仰向けに寝たときにはもっとひどいいびきをかいている、睡眠時無呼吸を認める可能性が高いので、検査をおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴
睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴として一番の理由は肥満体型であることです。
やはり、閉塞性が原因の割合が多く、食の欧米化が進み、肥満体型の方が増えてきたことも要因の一つになります。
また小児の子でいびきがひどい子は口蓋扁桃と呼ばれる扁桃が口に対してかなり大きく存在している可能性があります。
他にも高齢者や男性に多く、また顎が小さい方(小顎症)に多いというのがすでに分かっています。
睡眠時無呼吸症候群は自力で治せる?
睡眠時無呼吸症候群の軽度から中程度の症状は、自力で改善することが可能です。
まずなにより、痩せることです!!
体重の減少が呼吸症状の改善に繋がることがあります。
また、横向き寝を試みることで、気道が開きやすくなり、症状が軽減されることがあります。
さらに、マウスピースを使用することで、下顎を前に出し、気道を確保する効果があります。
禁煙やアルコールの制限も、症状改善に働くので、なるべく控えるようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群を放置するリスク
睡眠時無呼吸症候群を放置すると重症化し、合併症として以下などが引き起こされることがあります。
- 高血圧
- 心臓病
- 脳卒中
- 糖尿病
また、睡眠中の酸素不足は記憶力や認知機能の低下にも繋がります。
睡眠が十分にとれないことにより、運転中に居眠り運転をしてしまう可能性があり、事故を引き起こしてしまうかもしれません。
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睡眠時無呼吸症候群は何科に行けばいいのか
睡眠時無呼吸症候群の診療は、以下などで行われてます。
- 内科
- 神経内科
- 耳鼻咽喉科
- 睡眠クリニック
まずはかかりつけの内科医に相談し、適切な専門医への紹介を受けることが望ましいです。
横浜内科・在宅クリニック院長 朝岡が実際に経験した例!
トラックの運転手の方で、日中の眠気が困るっといった方がいました。
夜は眠れていると豪語していたが、肥満体型からも睡眠時無呼吸症候群をまずは疑う方だったので、睡眠検査を行いました。
CPAPの治療適応であったので、すぐに治療開始したところ、日中の眠気は全くなくなったそうでした。
快適な睡眠を初めて実感しましたといわれ、やはり本人では気づけないものだと思いました。
横浜内科・在宅クリニックでの対応方法
横浜内科・在宅クリニックでは、自宅で簡便に行える睡眠の検査キットを使用し、SASがあるかどうか判断します。
また患者さんの症状や生活習慣に基づいた個別の治療プランを提案しています。
必要に応じて、病院での追加検査を行うようにご紹介させて頂いたり、マウスピースの作成依頼を歯科医院にお願いすることも可能です。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、早期発見・早期治療が重要です。
放置すると重大な合併症を引き起こす可能性があります。
自力で改善できる場合もありますが、症状が改善しない場合や重症化している場合は、専門医の診察を受けた方がよいと思います。
横浜内科・在宅クリニックでは、まずは原因を明らかにしてから、患者さんに合わせた治療プランを提案し、サポートしています。
神奈川県で急な往診が必要な場合も、迅速かつ適切な対応が受けられる横浜内科・在宅クリニックをご利用ください。
参考文献
1.Young T, Palta M, Dempsey J, Skatrud J, Weber S, Badr S. The occurrence of leep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-1235. doi:10.1056/NEJM199304293281704
2.Peppard PE, Young T, Barnet JH, Palta M, Hagen EW, Hla KM. Increased prevalence of sleep-disordered breathing in adults. Am J Epidemiol. 2013;177(9):1006-1014. doi:10.1093/aje/kws342
3.日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン2020」
横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師
『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』
【経歴】
・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
【資格】
・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者