鼻血が止まらない!?原因・対処法、考えられる病気や危険信号、ストレスから来る症状について

突然ですが、急に鼻血がでて困ったことはないですか?

鼻から血がいっぱいでて、止まらなり、怖くなったりしたことありませんか?

また、服が血だらけになって顔が青ざめてしまった経験はないでしょうか?

鼻血はよくあることと思われがちですが、量が多ければ多いほど命の危険を及ぼす可能性があります。

特に大人の方は、たかが鼻血ぐらいで大袈裟な!とは思わないようにしましょう。

そこで、今回は鼻血が出てしまったときに自宅でできる対処法などを医師の立場から詳しく解説いたします。

鼻血の原因

物理的刺激による鼻血 

鼻血の原因としては物理的な刺激によって鼻粘膜が傷つき血管がやぶれて出血してしまうことがほとんどです。

例えば、

  • 『鼻を強くかむ』
  • 『くしゃみを連発する』
  • 『鼻をほじる』
  • 『顔面にボールがあたる』

など鼻の入口に負担がかかることで鼻粘膜が破綻し出血します。

この鼻の入口というのがポイントです。

頭のパーツそれぞれに栄養する動脈は通常一つではありますが、鼻の入口に関しては内頚動脈の枝と外頚動脈の枝の2つの大きな血管からの栄養を二重支配受けている特別な部分になります。

この場所を『キーゼルバッハ部位』と呼び、鼻血の原因の90%を占めます。

関連記事:鼻うがいのやり方は?効果やデメリットまで徹底解説!

ストレスや食べ過ぎによる鼻血

鼻血の原因として、

  • ストレスがかかっているから鼻血がでた。
  • チョコレートを食べ過ぎて鼻血がでた。
  • コーヒーを飲みすぎて鼻血がでた。

など世間ではよく言われることがありますが、これらのエピソードの根拠となる鼻血のデータは実はありません。


しかし特に物理刺激等なく鼻血が出てくる場合で、過剰にストレス下にさらされているのであればオスラー病といった病気の可能性もあります。

オスラー病とは常染色体優性遺伝の難病指定されている病気で、別名で『遺伝性出血性毛細血管拡張症』といいます。

出典:MDSマニュアル「遺伝性出血性毛細血管拡張症の臨床像」


だいぶ難しい名前ではありますが、遺伝性の病気で毛細血管が拡張することで出血をよく起こす病気ととらえてもらえると分かりやすいかと思います。

要は、オスラー病の方は全身の毛細血管が拡張することで鼻の粘膜(主にキーゼルバッハ部位)の血管が拡張します。

そして、血管が脆くなって破綻しやすい状態に陥っています。

繰り返す鼻出血や手足にぼつぼつと赤い斑点が出来ているようであれば病院での精密検査をお勧めします。

気温や乾燥による鼻血

朝起きたとき、今日乾燥しているな?と思うことありますよね。そんなときの自分の身体に起きている症状を思い出してください。喉がいがらっぽいや鼻がカピカピになったりしていませんか。


気温が下がり、空気が乾燥する時期は特に鼻血に要注意です。

やはり鼻水がなくなり鼻粘膜のバリア機能がなくなることや、物理的に鼻を触ることが多くなるため、必然的に鼻血のリスクになります。

腫瘍、血液疾患、他の病気などで飲んでいる薬による鼻血

もし鼻腔や副鼻腔といった箇所にできもの(腫瘍)が出来ており、それ自体が傷ついたりすることで鼻出血することもあります。

これらの疾患は、鼻血以外の症状で気づくことが少なく、病院に行って初めて発覚することが多い病気です。

また白血病、血友病、免疫性血小板減少性紫斑病、肝臓の機能が低下した肝不全等の病気があり、止血に必要な成分が足りなくなってしまい出血が制御できないケースもあります。

繰り返す鼻出血があったり、全身に青あざなどの紫斑がある場合はこれらのケースがあるので注意しましょう。

また脳梗塞や心筋梗塞などの既往のある方は血管の中に血栓ができないようにするために血をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬を飲んでいるため、血が固まりにくくなってしまい鼻出血を繰り返すことがあります。

もしご自身で飲まれている薬がわからない場合は、薬局で処方を受ける際に処方薬に対する注意事項などを書いた紙を確認しましょう。

血を固まりにくくする薬が混ざっていないか確認することができます。

鼻血がよく出る人、止まらない人に見られる病気や症状

著名な高血圧のある方やたばこのヘビースモーカーの方は鼻血がよく出て、止まりにくいことが多いです。

また、動脈性の出血は出血箇所によっては圧迫が困難で、なかなか止まらないことが多いです。

もちろん止血に必要な凝固因子や血小板が少ない疾患のお持ちの方も些細な刺激でも出血を起こしてしまうので、膝をぶつけただけでも内出血の痕(紫斑)が出来てしまうことがあります。 

全身に身に覚えがないあざがよくできる方や頻回に鼻血を認める方は、一度医療機関にて精密検査を行うことをお勧めします。

関連記事:鼻うがいのやり方は?効果やデメリットまで徹底解説!

鼻血の間違った止め方

皆さんが知っている鼻血の止め方には色々あると思います。しかし、以下に紹介する鼻血の止め方は間違った方法となりますので絶対にやめてください!

鼻のてっぺん(鼻根部)をおさえて上を向いてじっとしている

鼻根部をおさえても出血箇所は全く圧迫できておらず、また上を向くことで喉に鼻血が鼻の奥から垂れてしまい、飲み込んでしまうことになります。

血を飲むことで気分不良を訴える方は多いので気を付けてください。

ティッシュを折りたたんでくるくる巻いて鼻に入れて放置する

鼻の入口をティッシュで入れる行為は一見よいように思われるかと思いますが、出血している鼻粘膜を下手に傷つけてしまい、傷口を悪化させてしまうことがよくあります。

自分でできる鼻血の止め方

ご自身で行える唯一の止血方法は鼻翼圧迫法になります。

以下で詳しく説明します。

鼻翼圧迫法(Trotter法)

先ほども明記させてもらいましたが、鼻出血が起きる場所の90%はキーゼルバッハ部位になります。

ということはその部分を圧迫止血できれば出血はおさまってくれるということです。

実はこのキーゼルバッハ部位は、両鼻の入り口(鼻翼)を圧迫することでちょうどその箇所を圧迫することができます。

なので、鼻血が出た際はすぐに鼻翼圧迫を10分以上行ってみてください。

このとき、血圧が高くなると止まりにくいので、座って落ち着いた状態で圧迫してみてください。

理想は『考える人』のようなポーズです。

危険な鼻血!?すぐに病院に行くべき症状

出血量が多い

先ほどの鼻翼圧迫を行っても血があふれ出て、顔が真っ青になっている場合は貧血になっている可能性がありますし、止血を行った方が良い場合が多いですのでその際は病院へ行きましょう。

出血の時間が長い

20分以上鼻翼圧迫を行っていても全然出血量が減らない場合は、出血場所がキーゼルバッハ部位でないことが多いので、その際は病院へ行きましょう。

頻度が多すぎる

また、1日に5回以上出血を繰り返す場合も、止血できていない可能性がありますので病院へ行くことをお勧めします。

関連記事:男女別に知ってほしい貧血の原因と予防に効く食べ物!

鼻血の予防方法

鼻血の予防法としては、鼻を触らないようにすることです。

偶発的な事故や病気による鼻血は仕方がないことではありますが、花粉症や鼻炎などの疾患をお持ちの方は常に鼻をかんだり、触っていたりすると出血しやすくなります。

薬で症状の制御が可能なので、しっかりと病院での加療をすることをお勧めします。

まとめ

鼻出血の主だった出血箇所はキーゼルバッハ部位といった箇所です。

また、鼻翼圧迫をすることで止血することが多いので、まずは上記で説明した鼻翼圧迫法を行ってみましょう。

 参考文献

・ 病気が見える 耳鼻咽喉科 第1版 

https://www.nanbyou.or.jp/entry/4351

・ Silva BM, et al: Lifestyle and dietary influences on nosebleed severity in
hereditary hemorrhagic telangiectasia. Laryngoscope 123: 1092-1099, 2013

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 理事長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長
・2025年 医療法人 幸龍家 理事長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者